19 / 19
これから
結婚してから、エリアスとセリナはまるで夢のような生活を送っている。南の辺境の中でも小さな領地をいただいて、そこを二人三脚で運営し始めてからもう数年が経った。最初はただの小さな領地だったけれど、セリナの植物魔法とエリアスの優れた指導力で、少しずつその土地は豊かになっていった。
最初は、ただ食べ物を作るだけの土地だったけれど、セリナが魔法で手を加えて、植物を改良し、作物の収穫量を増やしたり、土地の栄養を補う工夫をしたりした。さらには、見た目にも美しい庭を作り、色とりどりの花が咲き乱れる場所を作ったり、城の周りに木々を並べて森のようなエリアを整備したり。その庭は、まるでテーマパークのように美しく、訪れた人々が思わず息をのむほどだった。
エリアスも、最初はただの農業支援だけだと思っていたけれど、セリナが作った庭に魅せられて、その美しさに感動してくれた。最初は、領地の管理をすることに必死だった彼も、庭を手入れしながら「これが君の魔法なんだな」と言って微笑むことが増えた。
セリナも、エリアスの支えがあってこそ、こんなに楽しく過ごせるんだと実感していた。彼は本当に優しい。セリナが植物魔法で夜遅くまで作業しているときも、黙ってそばにいて、暖かい飲み物を差し出してくれる。困った顔をしていると、「休んだほうがいい」と言って、無理をさせないようにしてくれるのだ。
そして、あれからしばらくして、セリナたちには子供ができた。最初は、エリアスが少し照れた様子でセリナに言った「セリナ、君が母親になるなんて、本当に信じられないな」という言葉を聞いて、セリナは驚きながらも嬉しかった。その言葉に含まれる、彼の純粋な気持ちがとても愛おしかったからだ。
今、セリナたちの家には、笑い声が絶えない。子供たちが走り回り、庭の花を摘んだり、エリアスと一緒に遊んだりしている光景は、セリナにとって最高の幸せだった。エリアスは子供たちに優しく、たまにおちゃめな一面を見せてくれる。そんな彼を見ていると、日々の忙しさもすべて忘れてしまう。
子供たちは、セリナが作った庭で遊ぶことが大好きだ。草花の間を駆け回り、木の実を拾ってはセリナに持ってきてくれる。セリナの魔法で作った小さな動物たちも、子供たちにとっては最高の遊び相手だ。時々、エリアスも子供たちに魔法を使って見せてくれるが、セリナが教えてきた植物魔法のほうが、子供たちにとってはより魅力的なようだ。
セリナたちの領地には、今では観光客がたくさん訪れるようになった。元々小さな領地だったが、セリナたちが作り上げた美しい庭と、土地の発展、豊かな作物を目の当たりにした人々は、口々にその魅力を伝えてくれた。観光の人々は、セリナが手入れをした庭や、改良した土地で育った作物を見て、感心し、驚いていた。時には、セリナに「どうしてこんなことができるんですか?」と尋ねてくることもあった。
そのたびに、セリナは少し照れながらも、「魔法のおかげです」と言って、微笑み返す。それに対して、エリアスが優しく言う。「君の努力があってこそだよ。」その言葉を聞くと、セリナはさらに誇らしく感じた。何も言わなくても、彼がちゃんと理解してくれているのが、何よりも嬉しい。そして、女性が魔法を使うことに少しでも理解が広がればいいなと思う。
セリナたちの城の庭は、観光地としての人気も上がり、さらに多くの人々が訪れるようになった。どこを見ても美しい景色が広がり、その中で過ごす時間が、観光客にとってはまるで夢のようだった。セリナはこの土地が、ただの美しい場所ではなく、人々に幸せや安らぎを与える場所になっていることを誇りに思っていた。
そして、家族全員が幸せそうに過ごしているのを見て、セリナも心から幸せを感じることができた。エリアスと一緒に築いたこの新しい家が、セリナたちの夢を実現してくれる場所だった。セリナにとって、この小さな領地、そしてエリアスとの生活が、何よりの宝物だった。
これからも、セリナたちは共に手を取り合い、さらにこの領地を豊かにしていくつもりだ。そして、子供たちにもこの土地の美しさや、命の大切さを伝えながら、彼らと一緒に未来を作っていけたらと思っている。
エリアスと出会い、共に過ごした日々が、セリナにとってどれほど幸せだったか、言葉では言い表せない。それでも、セリナは確信している。これから先の人生も、エリアスと共に歩むことで、さらに素晴らしいものになっていくと。
そして、セリナたちの領地が、ただの観光地ではなく、人々が幸せを感じ、心が豊かになる場所であり続けるよう、セリナは心を込めて魔法を使い続けるだろう。それが、セリナの新しい役目だと感じているから。
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
あなたにおすすめの小説
【完結】無関心夫の手を離した公爵夫人は、異国の地で運命の香りと出会う
佐原香奈
恋愛
建国祭の夜、冷徹な公爵セドリック・グランチェスターは、妻セレスティーヌを舞踏会に残し、早々に会場を後にした。
それが、必死に縋り付いていた妻が、手を離す決意をさせたとも知らず、夜中まで仕事のことしか考えていなかった。
セドリックが帰宅すると、屋敷に残されていたのは、一通の離縁届と脱ぎ捨てられた絹の靴。そして、彼女が置いていった嗅いだことのない白檀の香りだけだった。
すべてを捨てて貿易都市カリアへ渡った彼女は、名もなき調香師「セレス」として覚醒する。
一方、消えた妻を追うセドリックの手元に届いたのは、かつての冷たい香りとは似て非なる、温かな光を宿した白檀の香水。
「これは、彼女の復讐か、それとも再生か——」
執念に駆られ、見知らぬ地へ降り立った公爵が目にしたのは、異国の貿易王の隣で、誰よりも自由に、見たこともない笑顔で微笑む「他人」となった妻の姿だった。
誤字、修正漏れ教えてくださってありがとうございます!
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
面白かったです!最後までサクサク読めて読後感よくて楽しかったですが、最終話、皆様言ってるように途中まで主役級マスコットだったヴィリオたんが全然出てこなくて寂しかったです(´;ω;`)
ヴィリオ何処いったー??
おすすめから読みました。
確かにヴィリオの事もおや?と思いましたが、勝手にセリナとエリアスの庭の一等地に根を下ろして後々巨木になる予定、という事にしていますw
私が気になったのは実家の姉。
素敵な婚約者がいたはずなのに結婚しなかったのでしょうか?
婿入して領地経営していくための人選だったと思ったのに。
お金に困って妹の元婚約者と…と目論んだものの、本来の婚約者とも どちらからもそっぽ向かれた感じでしょうか。
ハッピーエンドで良かったです。