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邪魔なアイツ
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アイリーン・シュバイツァーは嘗て女性として唯一の生徒として騎士養成学校に通っていた。
アイリーンの自慢は何と言ってもそのスピードにあった。
縦横無尽に素早く動き、相手の目を眩ませ、隙を見て攻撃を仕掛ける。
すばしっこい忍者のような戦術だった。
そんな体術に長ける一方、魔術については、からっきし駄目で、戦術は体術に任せる一方だった。
そのため、騎士養成学校の成績は体術以外は伸び悩み、アイリーン自身も魔術については苦手意識を出していた。
しかしながら、生徒同士の実技ともなると得意の体術で他の男子生徒を圧倒させていた。
特に1対1での戦闘には強く、負けたことがなかった。
そう、アイリーンは体術だけでのしあがってきた女なのである。
そんな中、アイリーンも思春期を迎える。
女性特有の体の変化、特に胸と尻に余計な肉が着くようになった。
そして初潮まで迎えるとあろうことか、アイリーンの体の動きが鈍くなった。
それどころか月経の周期に合わせて能力が変わるようになり、月経中となると本来の力の半分も出せなくなってしまった。
これにはアイリーンも困った。
そして、体つきが女らしくなるに連れて周りの男子生徒の対応も変わっていった。
明らかに性的な目で見られるようになったのである。
確かに騎士養成学校には女性の生徒が1人しか居ない。
裏で男子生徒の慰み物の対象となっていたらしいのだ。
アイリーンは、それを薄々感じ取っていて物凄く嫌だった。
そして、そんな邪心を抱えた男子生徒達は実技の時間ともなるとアイリーンの体を触ろうとしてきた。
アイリーンはその手を易々と避け、1番の強みである拳を相手に喰らわせてやっていた。
一度攻撃が当たってしまえばこっちのものでアイリーンは一気に相手を攻め立てる。
相手の顔をボコボコにし、ノックアウトを狙う。
元々、スケベ心を出しての対戦だ。アイリーンが負けるはずがない。
最後の一撃を喰らわせると相手は倒れた。
こうやってアイリーンは自分で自分の身を守っていた。
そのため、次第にアイリーンは男子生徒から嫌われ、可愛げのない女として扱われるようになった。
しかし、そんな中、1人だけアイリーンに付きまとってくる男子生徒が居た。
同郷のショーン・マクレイリーだ。
ショーンは185cmの長身で銀髪、紅い瞳で目鼻立ちが整っているいわゆる美丈夫だった。
そうゆう見た目の良さがあるからか昔から軟派な男で、挨拶代わりに肩を抱こうとしたりしてきてその度にアイリーンから拒絶されてきた。
「ちょっとやめてよ」
「良いじゃないか。少しくらい」
そんな浮わついた男ではあるが、不思議なことにショーンは魔術について非常に長けた能力を持っていた。
そればかりでなく体術に関しても素晴らしい才能を持ち、剣術の腕前も教員以上であった。
そのため、ショーンはいつも成績優秀者に選ばれていた。
アイリーンはショーンと居ると劣等感に苛まれた。
それと同時にショーンが時折囁く「女だから守られても良いんだよ?」や「将来、子供を持つために体が女らしくなってるんだよ」という言葉にも悩まされてきた。
ショーンはいつもアイリーンを女として見てくる。
それがアイリーンにとって認めたくない事実の核心を突いているようで凄く嫌だった。
そういった学生生活を送っていて、とうとうアイリーン達も最終学年を迎えた。
3年生ともなれば就活で忙しく、色んな貴族の護衛騎士の募集に応募したり、成績優秀者であれば国の王族の護衛騎士の就職の募集もあった。
そんな中、アイリーンも就活を頑張っているのだがなかなか上手く行かなかった。
何故ならば“女”というだけで書類審査で落ちてしまう。
続々と同級生が就職先を決める中、アイリーンはいつも落ち続けていた。
しかし、アイリーンは希望を捨てなかった。
何故ならばアイリーンの第一志望の就職先は国の戦闘部隊“黒炎の龍”だったからである。
黒炎の龍は公には部員を募集していない。
一部の優秀な生徒のみが内密に案内状を配られる。
そして、行った先では己の実力次第で合否が決まる。
他の教科では駄目でも体術で学年の1番を取ったアイリーンにも黒炎の龍からの案内状が届いた。
しかし、それを知ったショーンからは「絶対に受けるな」と言われる。
黒炎の龍は戦時において戦闘部隊の特効部隊として活躍をする。
要は御国のために命を捨てるような部隊なのだ。
表向きはショーンにも
「受けるつもりはないわ」
と言っていたアイリーン。
だがアイリーンはこれに賭けるしかないと思っており、ショーンの言葉に従わず案内状にあった募集に応募した。
エントリーシートを記入し黒炎の龍からの返信を待った。
そして1ヶ月が経ったある日とうとう返信が来て書類審査に合格したことが分かる。
アイリーンは実技の面接に備えることにした。
※※※
黒炎の龍に指定された面接会場は寂れたビルの一角だった。
会場に着くまでも幾つかのダミー試験会場があり、それを掻い潜っての到着だった。
会場には、むさ苦しい男達が沢山揃っていた。
それを見越してアイリーンは男装して潜入をしていた。
そして暫く待っていると、突然会場が揺れだした。
「なんだなんだ」
「何が起きてるんだ」
「地震か」
周りが騒ぎ出す。
ゴゴゴゴゴという音が鳴り響く。
アイリーンも何事かと身構える。
すると上空から声がした。
「さて、お集まりの皆さん」
その声に上を見上げると天井近くに全身黒い服を着た禿げたチビのおじさんが浮かび上がっていた。
そのおじさんはニコニコした顔で言う。
「ここでして貰うのは純粋な殺し合いです」
アイリーンの自慢は何と言ってもそのスピードにあった。
縦横無尽に素早く動き、相手の目を眩ませ、隙を見て攻撃を仕掛ける。
すばしっこい忍者のような戦術だった。
そんな体術に長ける一方、魔術については、からっきし駄目で、戦術は体術に任せる一方だった。
そのため、騎士養成学校の成績は体術以外は伸び悩み、アイリーン自身も魔術については苦手意識を出していた。
しかしながら、生徒同士の実技ともなると得意の体術で他の男子生徒を圧倒させていた。
特に1対1での戦闘には強く、負けたことがなかった。
そう、アイリーンは体術だけでのしあがってきた女なのである。
そんな中、アイリーンも思春期を迎える。
女性特有の体の変化、特に胸と尻に余計な肉が着くようになった。
そして初潮まで迎えるとあろうことか、アイリーンの体の動きが鈍くなった。
それどころか月経の周期に合わせて能力が変わるようになり、月経中となると本来の力の半分も出せなくなってしまった。
これにはアイリーンも困った。
そして、体つきが女らしくなるに連れて周りの男子生徒の対応も変わっていった。
明らかに性的な目で見られるようになったのである。
確かに騎士養成学校には女性の生徒が1人しか居ない。
裏で男子生徒の慰み物の対象となっていたらしいのだ。
アイリーンは、それを薄々感じ取っていて物凄く嫌だった。
そして、そんな邪心を抱えた男子生徒達は実技の時間ともなるとアイリーンの体を触ろうとしてきた。
アイリーンはその手を易々と避け、1番の強みである拳を相手に喰らわせてやっていた。
一度攻撃が当たってしまえばこっちのものでアイリーンは一気に相手を攻め立てる。
相手の顔をボコボコにし、ノックアウトを狙う。
元々、スケベ心を出しての対戦だ。アイリーンが負けるはずがない。
最後の一撃を喰らわせると相手は倒れた。
こうやってアイリーンは自分で自分の身を守っていた。
そのため、次第にアイリーンは男子生徒から嫌われ、可愛げのない女として扱われるようになった。
しかし、そんな中、1人だけアイリーンに付きまとってくる男子生徒が居た。
同郷のショーン・マクレイリーだ。
ショーンは185cmの長身で銀髪、紅い瞳で目鼻立ちが整っているいわゆる美丈夫だった。
そうゆう見た目の良さがあるからか昔から軟派な男で、挨拶代わりに肩を抱こうとしたりしてきてその度にアイリーンから拒絶されてきた。
「ちょっとやめてよ」
「良いじゃないか。少しくらい」
そんな浮わついた男ではあるが、不思議なことにショーンは魔術について非常に長けた能力を持っていた。
そればかりでなく体術に関しても素晴らしい才能を持ち、剣術の腕前も教員以上であった。
そのため、ショーンはいつも成績優秀者に選ばれていた。
アイリーンはショーンと居ると劣等感に苛まれた。
それと同時にショーンが時折囁く「女だから守られても良いんだよ?」や「将来、子供を持つために体が女らしくなってるんだよ」という言葉にも悩まされてきた。
ショーンはいつもアイリーンを女として見てくる。
それがアイリーンにとって認めたくない事実の核心を突いているようで凄く嫌だった。
そういった学生生活を送っていて、とうとうアイリーン達も最終学年を迎えた。
3年生ともなれば就活で忙しく、色んな貴族の護衛騎士の募集に応募したり、成績優秀者であれば国の王族の護衛騎士の就職の募集もあった。
そんな中、アイリーンも就活を頑張っているのだがなかなか上手く行かなかった。
何故ならば“女”というだけで書類審査で落ちてしまう。
続々と同級生が就職先を決める中、アイリーンはいつも落ち続けていた。
しかし、アイリーンは希望を捨てなかった。
何故ならばアイリーンの第一志望の就職先は国の戦闘部隊“黒炎の龍”だったからである。
黒炎の龍は公には部員を募集していない。
一部の優秀な生徒のみが内密に案内状を配られる。
そして、行った先では己の実力次第で合否が決まる。
他の教科では駄目でも体術で学年の1番を取ったアイリーンにも黒炎の龍からの案内状が届いた。
しかし、それを知ったショーンからは「絶対に受けるな」と言われる。
黒炎の龍は戦時において戦闘部隊の特効部隊として活躍をする。
要は御国のために命を捨てるような部隊なのだ。
表向きはショーンにも
「受けるつもりはないわ」
と言っていたアイリーン。
だがアイリーンはこれに賭けるしかないと思っており、ショーンの言葉に従わず案内状にあった募集に応募した。
エントリーシートを記入し黒炎の龍からの返信を待った。
そして1ヶ月が経ったある日とうとう返信が来て書類審査に合格したことが分かる。
アイリーンは実技の面接に備えることにした。
※※※
黒炎の龍に指定された面接会場は寂れたビルの一角だった。
会場に着くまでも幾つかのダミー試験会場があり、それを掻い潜っての到着だった。
会場には、むさ苦しい男達が沢山揃っていた。
それを見越してアイリーンは男装して潜入をしていた。
そして暫く待っていると、突然会場が揺れだした。
「なんだなんだ」
「何が起きてるんだ」
「地震か」
周りが騒ぎ出す。
ゴゴゴゴゴという音が鳴り響く。
アイリーンも何事かと身構える。
すると上空から声がした。
「さて、お集まりの皆さん」
その声に上を見上げると天井近くに全身黒い服を着た禿げたチビのおじさんが浮かび上がっていた。
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