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25話 尊い命
しおりを挟むレイルへの門を括ると、そこには想像を遥かに上回る光景が待っていた。
建物は崩壊し、その建物の下敷きになってたり、大量出血で息絶えている人間が数え切れないほどいた。
道路や崩壊した建物の残骸にはたくさんの血が飛び散っており、赤く染まっていた。
一切予想していなかった光景を目の当たりにした俺たちは、驚きと恐怖で手が震え門の前で立ち止まってしまった。
すると突然門の警備員が慌てるように言った。
「あ、あんたたち! もしかして依頼した医者か?」
突然の大声に驚き、咄嗟に後ろ警備員の方へ振り向く。その警備員の顔は、目が見開いており焦りで顔に汗をたくさんかいていた。
その警備員の顔を見た瞬間俺は察した。来るのが遅かったと。
「俺たちはあんた達に2日前から依頼を出していたんだぞ!」
その時俺たちは、転入試験への合格で任務の事なんて一切頭になかった。その間にレイルでは数え切れないほどの命が絶っていた。
その光景を目の当たりにした俺たちは急に膨大な責任感を感じ何も考えられなくなってしまった。
無心のまま王城へと案内された俺たちは、王様の部屋に入るとまるで人間じゃないものを見る目で見られた。
「あんたら本当に医者か?」
王様に言われた言葉に対して正論すぎで何も言い返せなかった。このパーティーのリーダーとして責任を取らなきゃいけないのはもちろんだが一人で背負うには重すぎる。
「おっしゃる通りでございます。誠に申し訳ございません」
隣にいるカナが必死に頭を下げ謝罪をする。だがそんな事で許してくれるはずない。王様はさらに怒りのメーターが上がった。
「そんな謝罪で絶った命が返ってくるとでも思ってるのか! 命というものはとても脆い。大きな傷を負い、大量の血を流した状態で1日も経過したらその命は消滅してしまう。痛くて辛い。けれどその辛さでさえ声に出すことは出来ない。ただただ痛さと辛さに襲われ最終的にその感情は消滅し何も残らなくなる」
俺は王様の言葉を聞いた瞬間自分の虚しさと悔しさで涙が出てきた。
「あんたらがなぜ泣いている。わしには理解できない。いいか、よく聞け。
命の尊さすら分からない奴に白衣を羽織る資格などない。」
俺たちは王様にそう言われ部屋を追い出された。そして俺はすぐに二人の方へ振り向く。
「ごめん。俺は医者失格だ」
俺は二人にそう言いその場を立ち去った、
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