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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第3章 砦攻め開始
84. 砦門前制圧
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サンドロックさんとデイビッド教官がこじ開けた砦の門部分を通り抜け、先輩冒険者方が突撃していった結果、砦の中庭はほぼ制圧状態になっていた。
残っていたオークナイトもサンドロックさんたちが始末したようだし、これで問題はなくなったかな?
「シズク、来たか」
「はい。遅くなりました」
「こんだけの竜巻を維持しながらじゃしょうがねぇ。で、そろそろ竜巻を止めてもらえないか? 砦の城壁を魔道具で吹っ飛ばすからよ」
「わかりました、いま止めます」
発動していた《トルネードセイバー》を止めて、先輩冒険者の皆さんがなにかの魔道具を設置していくのを見守る。
しばらくすると、壁一面に設置が終わったら魔道具を作動させたみたいで、砦の壁一面がものすごい爆裂に包まれた!
そして、城壁はガラガラと音を立てて崩れ落ちていき、一面ガレキの山になっちゃった。
「よし、壁の攻略は完了だな。シズク頼みだってのが気になるが、ここまで重傷者なしで進んでこれたのは快挙だ」
「私頼りだとなにかまずいんですか?」
「お前がいなくなったあと、街の防衛をどうするか考えなくちゃいけねぇってことだよ。いまは問題ないだろうが必ずこの先問題になる。その代替手段を早めに考えないとな」
「はあ?」
「俺たち街の上層部が考えなくちゃいけないことだ。気にするな」
よくわからないけれど、私が考えることじゃないらしいし、とりあえず置いておこう。
問題はこの先どうするかだし。
「さて、中庭は制圧した。だが、のんびりしていると二階からまた弓兵や魔術兵が出てくるな」
「どうするんですか、サンドロックさん?」
「まずは、シズク。お前は一度アイリーンの街まで戻れ。今日の戦利品を持ってな」
「ああ、今日もたくさんの金属が手に入りましたからね」
「武具職人には申し訳ないがあっちにもフル稼働してもらう。ついでだから、完成している予備装備も全部回収してこい」
「わかりました。他にやることは?」
「今日のところ、お前の出番はそれでおしまいだ。あとは本営でゆっくり休んでいろ」
「え? いいんですか?」
「俺たちはこれから砦内部へと攻め込む。今日のところはオークブラックスミスやオークアルケミストを相手取らないが、遅れての合流は難しいだろう。大人しく本営で待っていてくれ。俺たちが本営に戻ったあとは、負傷者の治療を頼む」
「わかりました。それでは、アイリーンの街まで一旦戻ります」
「おう、頼んだぜ」
私はキントキの背中に乗ってアイリーンの街へと急いで戻った。
そこで今日の戦利品を預け、完成している武具を受け取るとそのまま本営まで戻る。
サンドロックさんたち本隊の帰還をそこで待つんだけれど……暗くなってきてもなかなか戻ってこないのは不安になっちゃうよ。
結局、本隊が戻ってきたのは日が沈んでから。
重傷者もかなりいて、そういった人たちは私とシラタマが手分けして《命魔法》をかけて回る。
今日のところは死人が出なかったらしいけれど、やっぱり〝オークの砦〟内部ではたくさんのオークが待ち構えていたって。
地の利もオーク側にあるし、狭い通路の上から矢を降り注がされたりすることもあって大変だったらしい。
明日は私が持って来た予備装備の中にあった盾を持っていって対抗するようだけど、それもどこまで持つか怪しいって。
明日以降もしばらくの間は普通の砦攻めを続け、1週間ほど経ったころから私たち隠密行動部隊がオークブラックスミスやオークアルケミストを暗殺して回るそうだ。
どちらにしても、1週間は砦の全体像を把握するための時間らしいね。
今日のところの大きな戦果は地下に隠されていた、オークシャーマンの儀式場を破壊できたってこと。
これによってオークキラーが攻めてくることがなくなったから、呪いで怯える心配もなくなったそうだ。
オークキラー、本当に嫌い。
「さて、今日のところの報告は以上だが、明日の攻め方はどうする? 城壁を失っている以上、やつらに地の利は薄いんだが」
サンドロックさんの問いかけに対して先輩冒険者の誰かが応えた。
「今日と同じでいいのでは? オークどもも竜巻を恐れて砦2階部分から攻撃してこようなんてことは考えないでしょう」
「……それもそうか。砦の2階部分も制圧してしまえば、砦正面を宿営地にすることも考えられるんだけどなぁ」
「2階を押さえないことには、オークアサシンが怖いですからね」
「そういうこった。うまいこと2階につながる通路を見つけて爆破材で爆破してしまえば、やつらもそう簡単にせめてこれなくなるんだが」
うーん、砦2階部分の制圧か……。
私が飛んでいけばすぐなんだろうけど、だめだよね、絶対。
「あとは裏道の発見も課題だな」
「裏道、ですか?」
「ああ、裏道だ。シズク、お前も砦は見てきただろう? 正面の大門はどうなっていた?」
「あ、岩が崩れ落ちて通れなくなっていました」
「そういうことだ。俺たちは横手にある通用口から侵入したが、オークジェネラルみたいなデカブツはそこからじゃ出入りできねぇ。必ずどこかに出入り口があるはずなんだよ」
「なるほど、それを見つけて潰さないといけないと」
「潰すか俺たちの進入路にするかは状況次第だ。どちらにせよ、俺たち不在のときにオークジェネラルが本営を襲って来ちまったら壊滅しちまう。そうなる前に、裏道を発見し破壊するか俺たちもそこから入るかしねぇと」
「でも、通用口も放っておくと普通のオークたちが攻め込んできますよね?」
「そうなんだよな。そこが悩ましい」
『む? それならば、いい方法があるぞ?』
「本当、ミネル?」
『うむ。少々手荒じゃがな』
********************
「……なるほど。《大地魔法》で通用口を両方とも塞いじまうのか」
『これならば普通のオークどもでは出入りできまい。あとは2階から飛び降りてくることができるというオークアサシンのみを警戒すればよいだけじゃ』
「ミネル。そっちも《大地魔法》で壁を作るとかして防げない?」
『さすがに難しいのではないか? 多少の高さの壁なら乗り越えられるのじゃろう? それに、警戒すべきオーク族はそれだけでもないはずじゃ』
「ああ、オークテイマー」
「確かにあいつらも、空を飛ぶモンスターで壁を飛び越えていきそうだ」
「何事もうまくいかないね」
『そんなもんじゃよ』
どちらにせよ、通用口は両方とも閉鎖。
本隊は二手に分かれて裏口を探すって。
私たち隠密行動部隊は抜け出してくるオークアサシンやオークテイマーを除去する役目。
諦めればいいのに引っ切りなしに襲いかかってくるものだから、この日もアイリーンの街に戦利品を届けることになったじゃない。
早く本格的な〝オークの砦〟攻めに移りたいよ。
残っていたオークナイトもサンドロックさんたちが始末したようだし、これで問題はなくなったかな?
「シズク、来たか」
「はい。遅くなりました」
「こんだけの竜巻を維持しながらじゃしょうがねぇ。で、そろそろ竜巻を止めてもらえないか? 砦の城壁を魔道具で吹っ飛ばすからよ」
「わかりました、いま止めます」
発動していた《トルネードセイバー》を止めて、先輩冒険者の皆さんがなにかの魔道具を設置していくのを見守る。
しばらくすると、壁一面に設置が終わったら魔道具を作動させたみたいで、砦の壁一面がものすごい爆裂に包まれた!
そして、城壁はガラガラと音を立てて崩れ落ちていき、一面ガレキの山になっちゃった。
「よし、壁の攻略は完了だな。シズク頼みだってのが気になるが、ここまで重傷者なしで進んでこれたのは快挙だ」
「私頼りだとなにかまずいんですか?」
「お前がいなくなったあと、街の防衛をどうするか考えなくちゃいけねぇってことだよ。いまは問題ないだろうが必ずこの先問題になる。その代替手段を早めに考えないとな」
「はあ?」
「俺たち街の上層部が考えなくちゃいけないことだ。気にするな」
よくわからないけれど、私が考えることじゃないらしいし、とりあえず置いておこう。
問題はこの先どうするかだし。
「さて、中庭は制圧した。だが、のんびりしていると二階からまた弓兵や魔術兵が出てくるな」
「どうするんですか、サンドロックさん?」
「まずは、シズク。お前は一度アイリーンの街まで戻れ。今日の戦利品を持ってな」
「ああ、今日もたくさんの金属が手に入りましたからね」
「武具職人には申し訳ないがあっちにもフル稼働してもらう。ついでだから、完成している予備装備も全部回収してこい」
「わかりました。他にやることは?」
「今日のところ、お前の出番はそれでおしまいだ。あとは本営でゆっくり休んでいろ」
「え? いいんですか?」
「俺たちはこれから砦内部へと攻め込む。今日のところはオークブラックスミスやオークアルケミストを相手取らないが、遅れての合流は難しいだろう。大人しく本営で待っていてくれ。俺たちが本営に戻ったあとは、負傷者の治療を頼む」
「わかりました。それでは、アイリーンの街まで一旦戻ります」
「おう、頼んだぜ」
私はキントキの背中に乗ってアイリーンの街へと急いで戻った。
そこで今日の戦利品を預け、完成している武具を受け取るとそのまま本営まで戻る。
サンドロックさんたち本隊の帰還をそこで待つんだけれど……暗くなってきてもなかなか戻ってこないのは不安になっちゃうよ。
結局、本隊が戻ってきたのは日が沈んでから。
重傷者もかなりいて、そういった人たちは私とシラタマが手分けして《命魔法》をかけて回る。
今日のところは死人が出なかったらしいけれど、やっぱり〝オークの砦〟内部ではたくさんのオークが待ち構えていたって。
地の利もオーク側にあるし、狭い通路の上から矢を降り注がされたりすることもあって大変だったらしい。
明日は私が持って来た予備装備の中にあった盾を持っていって対抗するようだけど、それもどこまで持つか怪しいって。
明日以降もしばらくの間は普通の砦攻めを続け、1週間ほど経ったころから私たち隠密行動部隊がオークブラックスミスやオークアルケミストを暗殺して回るそうだ。
どちらにしても、1週間は砦の全体像を把握するための時間らしいね。
今日のところの大きな戦果は地下に隠されていた、オークシャーマンの儀式場を破壊できたってこと。
これによってオークキラーが攻めてくることがなくなったから、呪いで怯える心配もなくなったそうだ。
オークキラー、本当に嫌い。
「さて、今日のところの報告は以上だが、明日の攻め方はどうする? 城壁を失っている以上、やつらに地の利は薄いんだが」
サンドロックさんの問いかけに対して先輩冒険者の誰かが応えた。
「今日と同じでいいのでは? オークどもも竜巻を恐れて砦2階部分から攻撃してこようなんてことは考えないでしょう」
「……それもそうか。砦の2階部分も制圧してしまえば、砦正面を宿営地にすることも考えられるんだけどなぁ」
「2階を押さえないことには、オークアサシンが怖いですからね」
「そういうこった。うまいこと2階につながる通路を見つけて爆破材で爆破してしまえば、やつらもそう簡単にせめてこれなくなるんだが」
うーん、砦2階部分の制圧か……。
私が飛んでいけばすぐなんだろうけど、だめだよね、絶対。
「あとは裏道の発見も課題だな」
「裏道、ですか?」
「ああ、裏道だ。シズク、お前も砦は見てきただろう? 正面の大門はどうなっていた?」
「あ、岩が崩れ落ちて通れなくなっていました」
「そういうことだ。俺たちは横手にある通用口から侵入したが、オークジェネラルみたいなデカブツはそこからじゃ出入りできねぇ。必ずどこかに出入り口があるはずなんだよ」
「なるほど、それを見つけて潰さないといけないと」
「潰すか俺たちの進入路にするかは状況次第だ。どちらにせよ、俺たち不在のときにオークジェネラルが本営を襲って来ちまったら壊滅しちまう。そうなる前に、裏道を発見し破壊するか俺たちもそこから入るかしねぇと」
「でも、通用口も放っておくと普通のオークたちが攻め込んできますよね?」
「そうなんだよな。そこが悩ましい」
『む? それならば、いい方法があるぞ?』
「本当、ミネル?」
『うむ。少々手荒じゃがな』
********************
「……なるほど。《大地魔法》で通用口を両方とも塞いじまうのか」
『これならば普通のオークどもでは出入りできまい。あとは2階から飛び降りてくることができるというオークアサシンのみを警戒すればよいだけじゃ』
「ミネル。そっちも《大地魔法》で壁を作るとかして防げない?」
『さすがに難しいのではないか? 多少の高さの壁なら乗り越えられるのじゃろう? それに、警戒すべきオーク族はそれだけでもないはずじゃ』
「ああ、オークテイマー」
「確かにあいつらも、空を飛ぶモンスターで壁を飛び越えていきそうだ」
「何事もうまくいかないね」
『そんなもんじゃよ』
どちらにせよ、通用口は両方とも閉鎖。
本隊は二手に分かれて裏口を探すって。
私たち隠密行動部隊は抜け出してくるオークアサシンやオークテイマーを除去する役目。
諦めればいいのに引っ切りなしに襲いかかってくるものだから、この日もアイリーンの街に戦利品を届けることになったじゃない。
早く本格的な〝オークの砦〟攻めに移りたいよ。
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