ヘファイストスの灯火 ~森の中で眠り続けている巨大ゴーレムを発見した少女、継承した鍛冶魔法の力を操り剣でもドレスでもどんどん作りあげる~

あきさけ

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第3部 アウラ領、開発中 第2章 ミラーシア湖観光と新しい街

60. 特製農耕道具

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 あたしは土の質を確かめる移住者たちを一旦集め、農耕用の道具を閉まっている倉庫へと案内した。
 その中には様々な機材がしまってある。
 中には大型の魔導車両も置いてありみんなの注目を集めていた。
 うん、つかみはばっちりね!

「領主様、この大きな魔導機械はなんですか?」

「これね。これは麦を刈るための機械よ!」

「麦を刈る?」

「ええ、そう。車両前面についているカッターで麦を刈り取って後方へと麦わらだけをはじき出すの。脱穀された麦は麦刈り機の横にあるタンクの中に貯まるから、最後にまとめて取り出せるわ」

「は、はあ? 俺たち、そんなすごい機械をもらっていいんでしょうか?」

「いいのよ。あたしの領地で農業をするなら」

 このアウラ領で農業をするならとことん無駄を省いて農業をするって決めたんだ。
 そのためなら、ヘファイストスの知識にだって頼ってやるんだから!

「それではありがたくお借りします」

「そうして。使い方は麦が実ったときにまた説明に来るから」

「はい、そうしてください」

 麦刈り機はこれで終了ね。
 次はその隣にある畑を耕すための機械について説明しなくっちゃ。

「次はこっちの機械ね」

 あたしは麦刈り機の隣に並べてある小型の手押し式機械を指さした。

「あん、こちらの機械はなんでしょう?」

「こっちは畑を耕すための機械よ。そうだ、1回実践してみましょうか」

「えぇッ!? いいんですか!?」

「そのために汚れてもいい服を着てきているんだもの。さあ、これを持って畑に行くわよ」

 あたしは機械を1台持って畑の予定地へとくり出した。
 そこで畑になる予定の場所に機械をセット、魔導機械のスイッチをオンにする。
 すると、機械の株にあったカッターが回転を始め、大地を削り出した。
 農家のみんなは驚いているけど、あたしは気にしないでそのまま機械を押し進めていく。
 すると、機械の背面部にある籠の中に石が貯まってきた。
 これくらいでデモンストレーションはいいかな?

「……とまあ、こんな感じで使う機械よ。いまは浅くしか耕していないけれど、耕す深さによって何度も機械をかけたり、大型の機械を使ったりする必要があるわ」

「あ、あの! その籠の中に貯まった石は!?」

「ああ、これ。土の中にあった石よ。土を耕すと同時にある程度の大きさの石はこうしてはじき出してくれるの。便利でしょう?」

「は、はあ。便利ですが、ここまで厚遇していただいてもよろしいのですか?」

「構わないわよ。あ、これらの魔導機械はこの街の外に持ち出せないような仕掛けを施してあるから、持ち逃げはできないわよ」

「そんなことはいたしません! ですが、このような技術、どうやって……」

「内緒。あと、作る作物だけど最初の内はこちらで提供する種の範囲でならなんでもいいわ。逆に、あたしたちが提供しない作物は作らないでちょうだい」

「わかりました。それで、いつ頃から作業を始めましょうか?」

「そうね……いつぐらいからなら始められそう?」

「ええと、家の整理とかもありますんで2日後くらいでしょうか」

「2日後ね。じゃあ、その時に種を持ってまた来るわ」

 あたしってばフットワークの軽い領主ね。
 でも、せっかくあたしの領地に来てくれた最初の領民なんだもの大切にしてあげなくちゃ。
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