64 / 78
第3部 アウラ領、開発中 第2章 ミラーシア湖観光と新しい街
64. 観光客第一陣
しおりを挟む
各地からの結果が届いたのか、あたしのところに迎えに行ってほしいと連絡があった。
ただ、第一陣の利用者の中には第一王子殿下も混じっているんだよね。
何を考えているのやら。
ともかく、あたしは馬車馬をやりますよ。
********************
***とある観光客
「ここがミラーシア湖にできたって言う観光都市レイキか?」
「ずいぶんとなにもない街だな。本当にやる気があるのか?」
私はこの街への招待ツアーに参加した客のひとりだ。
ツアー参加は無料でいいと言うから、物見遊山として参加したが本当になにもない街に連れて来られてしまった。
これでは無駄に1泊2日を過ごしてしまうことになる。
何かいい話は……。
「あちらからミラーシア湖が見えるそうだぞ」
「ああ、見てきた。さすがは王族の保養地、雄大な景色だったな」
ああ、そうだ。
ミラーシア湖は王族の保養地だった。
そこに来たのだから、その眺めを堪能しないわけにも行くまい。
そう考え展望台に足を運ぶと、立派な服に身を包み騎士たちに守られた青年が景色を見渡していた。
このお方、もしや……。
「おや? ああ、すまない。人がいなかったからこちら側からの景色を堪能させてもらったが、ミラーシア湖というのは見る場所によって姿がまるで違うね」
「やはりあなた様は第一王子殿下でございますか!?」
「まあね。ああ、今回の旅はあくまで視察なんだ。街がどの程度できているかって事のね。街自体は完成しているようだけど、まだまだ人を呼び込めていないみたいだな」
「そ、そのようでございますな」
「ブレインとしてついているフェデラーが何も考えていないはずがないと思うが、ちょっと心配だね。せめて、もう少し店が増えればいいのに」
「左様でございます。ですが、儲かるかわからない街に出資する商会も少ないでしょう」
「儲かるかどうかか。それなら、僕の持っている商会を動かそうか。早めに動けば、大きな見返りが取れそうだ」
「は?」
「なに、こっちの話だよ。それでは、邪魔をしたね。ゆっくりと観光を楽しむといいよ」
第一王子殿下は行ってしまわれた。
殿下はこの街に何を見いだしたというのだ?
確かに、ここからの眺めは素晴らしかったが……それだけで人が集まる都市になるというのだろうか?
その後、夕食として出された食事は格別に美味かった。
なんと言っても野菜の味が格別だ。
近くにあるアグリーノ産かと尋ねれば、この街の農家が作った野菜と聞く。
そちらに焦点を合わせた街作りをすれば街ももっと活気づく気がするのだが……。
そんな考えを見事に吹き飛ばしてくれた施設があった。
温泉という風呂だ。
利用するには別料金がかかるらしいが、湯からかすかに変わった匂いがただよいその湯につかっていると肌がつるつるになる。
これは女性客に向けてヒットする!
個室風呂が楽しめるのは私が利用している最上級ホテルだけのようだが、他のホテルでも利用可能なようだ。
なるほど、これが観光の基軸か。
あとは、様々な出店さえあれば問題ないと。
主催者の思惑にまんまと乗せられるようだが、ここは一口噛ませてもらおうじゃないか。
だが、その考えも翌日には砕け散る。
第一王子殿下が利用した最上級部屋からはミラーシア湖が見えるらしいのだ!
最上級である5部屋からのみ見えるらしいがこれは熾烈な争いになる。
各街がこの5部屋をめぐって予約競争になるのは必須だ。
第一王子殿下がお泊まりになったというのも箔がつく。
これは施設の充実への貢献度合いも含め、部屋の奪い合いも過酷な街になるようだ!
********************
***アウラ
「ねえ、クロさん。最初に行った観光客の受け入れ以降、出資の申し入れがすごいんだけど」
「早速かかりましたか」
「第一王子殿下も来ていたとは聞いたけど、なにかした?」
「ちょっと釣り糸を垂らしただけでございます。出資の餞別はフェデラー様がお得意かと」
「あ、うん」
クロさんもやっぱり腹黒いな。
でも、これで観光都市としても稼働できそうだし、よかったのかな?
ただ、第一陣の利用者の中には第一王子殿下も混じっているんだよね。
何を考えているのやら。
ともかく、あたしは馬車馬をやりますよ。
********************
***とある観光客
「ここがミラーシア湖にできたって言う観光都市レイキか?」
「ずいぶんとなにもない街だな。本当にやる気があるのか?」
私はこの街への招待ツアーに参加した客のひとりだ。
ツアー参加は無料でいいと言うから、物見遊山として参加したが本当になにもない街に連れて来られてしまった。
これでは無駄に1泊2日を過ごしてしまうことになる。
何かいい話は……。
「あちらからミラーシア湖が見えるそうだぞ」
「ああ、見てきた。さすがは王族の保養地、雄大な景色だったな」
ああ、そうだ。
ミラーシア湖は王族の保養地だった。
そこに来たのだから、その眺めを堪能しないわけにも行くまい。
そう考え展望台に足を運ぶと、立派な服に身を包み騎士たちに守られた青年が景色を見渡していた。
このお方、もしや……。
「おや? ああ、すまない。人がいなかったからこちら側からの景色を堪能させてもらったが、ミラーシア湖というのは見る場所によって姿がまるで違うね」
「やはりあなた様は第一王子殿下でございますか!?」
「まあね。ああ、今回の旅はあくまで視察なんだ。街がどの程度できているかって事のね。街自体は完成しているようだけど、まだまだ人を呼び込めていないみたいだな」
「そ、そのようでございますな」
「ブレインとしてついているフェデラーが何も考えていないはずがないと思うが、ちょっと心配だね。せめて、もう少し店が増えればいいのに」
「左様でございます。ですが、儲かるかわからない街に出資する商会も少ないでしょう」
「儲かるかどうかか。それなら、僕の持っている商会を動かそうか。早めに動けば、大きな見返りが取れそうだ」
「は?」
「なに、こっちの話だよ。それでは、邪魔をしたね。ゆっくりと観光を楽しむといいよ」
第一王子殿下は行ってしまわれた。
殿下はこの街に何を見いだしたというのだ?
確かに、ここからの眺めは素晴らしかったが……それだけで人が集まる都市になるというのだろうか?
その後、夕食として出された食事は格別に美味かった。
なんと言っても野菜の味が格別だ。
近くにあるアグリーノ産かと尋ねれば、この街の農家が作った野菜と聞く。
そちらに焦点を合わせた街作りをすれば街ももっと活気づく気がするのだが……。
そんな考えを見事に吹き飛ばしてくれた施設があった。
温泉という風呂だ。
利用するには別料金がかかるらしいが、湯からかすかに変わった匂いがただよいその湯につかっていると肌がつるつるになる。
これは女性客に向けてヒットする!
個室風呂が楽しめるのは私が利用している最上級ホテルだけのようだが、他のホテルでも利用可能なようだ。
なるほど、これが観光の基軸か。
あとは、様々な出店さえあれば問題ないと。
主催者の思惑にまんまと乗せられるようだが、ここは一口噛ませてもらおうじゃないか。
だが、その考えも翌日には砕け散る。
第一王子殿下が利用した最上級部屋からはミラーシア湖が見えるらしいのだ!
最上級である5部屋からのみ見えるらしいがこれは熾烈な争いになる。
各街がこの5部屋をめぐって予約競争になるのは必須だ。
第一王子殿下がお泊まりになったというのも箔がつく。
これは施設の充実への貢献度合いも含め、部屋の奪い合いも過酷な街になるようだ!
********************
***アウラ
「ねえ、クロさん。最初に行った観光客の受け入れ以降、出資の申し入れがすごいんだけど」
「早速かかりましたか」
「第一王子殿下も来ていたとは聞いたけど、なにかした?」
「ちょっと釣り糸を垂らしただけでございます。出資の餞別はフェデラー様がお得意かと」
「あ、うん」
クロさんもやっぱり腹黒いな。
でも、これで観光都市としても稼働できそうだし、よかったのかな?
0
あなたにおすすめの小説
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる