ヘファイストスの灯火 ~森の中で眠り続けている巨大ゴーレムを発見した少女、継承した鍛冶魔法の力を操り剣でもドレスでもどんどん作りあげる~

あきさけ

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第4部 浅はかな戦争 第3章 愚かな王の終わり

78. 最終打ち合わせ

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 あたしたちは今回の電撃戦を行うためにたっぷり1カ月間準備期間を取った。
 だけど、リードアロー王国軍が攻めてくることは一度もなく、防衛に就いていた兵士が暇を持て余すほどだったんだよね。
 これも敵の作戦かと勘ぐってしまうほど何もないんだから。
 でも、準備期間を取ったことでエンシェントフレームの改造と搭乗訓練も完璧にこなせたし、こちらにはありがたかったかな。
 そして、いよいよ電撃戦が開始される。
 まずは王配殿下による作戦内容の確認からだ。

「さて、諸君。今回の作戦内容は至って単純。リードアロー王国王都リードアローを我らエンシェントフレーム部隊だけで攻め落とす」

「王配殿下。攻め落とすことは可能でしょうが占領はどうなさるおつもりでしょう? 十分な兵士がいなければ、占領状態を続けるのは」

「うん、占領はしない。あくまでもリードアローを攻め落とすだけだ。敵エンシェントフレーム部隊の破壊が主目標、可能であれば国王の首を取る」

 この発言に一部の将校がざわついた。
 これって全員が共有していたわけじゃないんだ。
 あたしは知っていたんだけど。

「王配殿下、本気ですか?」

「もちろん、本気だとも。マナストリア聖華国王配である私と、あちらが要求してきた人物のひとりであるアウラ名誉伯爵が出ていくんだ。あちらの国王が出てくる可能性は十分に考えられる。聞いた話だとあまり物ごとを考えないタイプのようだしね」

「いや、しかし」

「まあ、これは実際に出てくれば、かな? 基本は相手のエンシェントフレーム部隊を可能な限り排除すること。同時にこの砦に駐留している軍を侵攻させ、相手の出方をうかがう」

「侵攻軍はおとりでしょうか?」

「おとりだね。あちらには王都まですぐに連絡を取る手段なんて残っていないはずだけど、一応使える手段は使っておくさ」

「それで、あちらの降伏条件は?」

「とりあえず、王の首。それから戦争賛成派の貴族も首をもらわなくちゃね。貴族の方は後回しにしてもいいから、まずは王を排除することかな」

「かしこまりました。駐留軍は進軍準備が整い次第出発いたします」

「頼むよ。私たち電撃作戦部隊は先行して出発するから」

 これで、作戦開始前最後の打ち合わせも完了。
 王配殿下のいうとおり、あたしたち電撃作戦部隊は一気に攻め込むだけだ。
 出発時間は真夜中になってから夜に紛れての予定。
 リードアロー王国王都までは1週間で着く計算。
 道中、なにも起こりませんように。
 何か起こっても武力で解決することになるんだろうけどさ。
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