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第1章:空から見下ろす場所
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午前十時、関内駅で降りた千晴が横浜スタジアム側の出口に出る。
スーツ姿の天流が壁際でたたずみ、千晴を見つけて微笑んだ。
千晴がそばに近寄ると、天流が告げる。
「よく来てくれたね。
ここから少し歩くけど、大丈夫?」
「どれくらいですか?」
「ん~十分くらいかな」
歩きだした天流のあとを、千晴が追いかける。
「今日もしっぽはつけてないんですね」
天流が楽しそうに笑い声をあげた。
「あれは特別なアクセサリーだからね」
「お店はどうしたんですか?」
「休みをもらってあるよ」
――そこまでして私に下見させたいのか。
千晴は天流と一緒に北方面に歩いて行く。
天流が千晴に尋ねる。
「この辺にはよく来るの?」
「伊勢佐木町なら、多少は」
「じゃあ、みなとみらいは?」
千晴が眉をひそめて応える。
「あんな観光地価格の場所、用事がなきゃ行きませんよ」
横浜駅周辺や伊勢佐木町、なんなら元町で大抵のものはそろう。
洒落たものが欲しければ、自由が丘に出ても良い。
地元民がみなとみらいに行きたがるのは、滅多にない。
珍しい物はあるが高いばかりで人が多く、疲れるだけだ。
千晴がそう告げると、天流が楽しそうに笑い声をあげていた。
十分少し歩くと、天流が区画の角にあるマンションの前で止まった。
「ここだよ。ついてきて」
エントランスに入ると、壁には郵便受けが並んでいた。
脇にはインターホンが設置されている。
その奥にはまたドアがあり、天流はそれにスマホをかざす。
カチリと音がしてロックが解除され、天流がドアを開けた。
「さぁ、こっちだ」
千晴がうなずいて天流のあとに続き、エレベーターに乗りこんだ。
天流がコンソールを操作するとドアが閉まり、エレベーターは上へと上がっていった。
****
エレベーターが七階で止まり、天流がドアを手で押さえた。
「ここだよ、さぁ降りて」
千晴が先に降り、そのあとから天流が続く。
天流が千晴を追い越して歩く先には、一人の老齢男性が立っていた。
「すまない克己、待たせたかな」
老齢男性――克己が天流を見て微笑んだ。
「いや、大して待っとりゃせんよ。
後ろの子が入居希望者かな?」
千晴が眉をひそめて応える。
「今日は下見に来ただけです。
――あなたは誰ですか?」
天流が横から千晴に告げる。
「このビルのオーナー、俵克己だよ。
私の古い友人なんだ」
克己がニカっと千晴に笑いかけた。
「鞍馬の知人なら、無料でも貸してやるぞ?」
千晴が思わず手を横に振った。
「そんな、悪いですよ!」
克己が楽し気に笑いながら応える。
「まぁそうだろうな。
――どれ、いま鍵を開けてやる」
克己がスマホをドアにかざすと、ロックが外れる音がした。
天流がドアを手で示して千晴に告げる。
「さぁどうぞ、思う存分に」
千晴がおずおずとドアノブに手を伸ばし、ゆっくりと回していく。
ドアを引くと、わずかな音を立ててドアが開いて行った。
千晴は緊張しながら、新築の玄関に足を踏み入れた。
****
玄関から上がると、フローリングの短い廊下が待っていた。
トイレとバスルームらしき扉を素通りし、廊下を抜ける。
広いワンルーム、十畳はあろうかという広さだ。
南向きの窓で採光もしっかりしている。
振り返ると、北側にはカウンターキッチンがついていた。
料理をするには充分な広さだ。
東側にはクローゼットと押し入れがあり、容量もたっぷりある。
窓を開けると遠くから電車の音が聞こえ、ビルの向こうに線路が見えた。
「すご……これが二万円なの?」
思わずもらした千晴の言葉に、克己が笑って応える。
「共益費込みで二万。これ以上は、あんたが嫌だろう?」
「――共益費込み?!
それでいいんですか?!」
振り返った千晴に、克己はニヤリと微笑んだ。
「鞍馬の紹介だからな。
そういう相手には無条件で貸している。
あんたが住みたいだけ住んでいて構わんぞ」
館内徒歩十分、新築ワンルーム。
トイレバスが分かれていたら、十万どころじゃないだろう。
「……洗濯機はどうなるんですか?」
「んー? 脱衣所に備え付けの全自動が置いてある。
気に入らないなら取り換えるから、希望の機種を言ってくれ」
呆然とする千春に、天流が微笑んで告げる。
「どうかな? 悪くない物件だと思うんだけど」
「……どうして、こんな物件を?」
天流がニヤリと笑って告げる。
「こういうことさ――」
天流の足元から煙が立ち上り、その全身を覆い隠した。
煙が消えるとそこには、長い白髪をした天流の姿。
背後には天を突くようなしっぽがそそり立っている。
天流が楽し気な笑みで告げる。
「君は私の姿を見た――だから、囲い込んでおきたいんだ」
頭が真っ白になった千晴は、天流の姿を見てただ茫然としていた。
****
克己が楽しそうに笑って告げる。
「鞍馬のその姿を見るのも、久しぶりだな」
「最近はずっと隠してたからね」
二人の会話に、千晴がようやく言葉を絞り出す。
「……オーナーは、天流さんのこと知ってるの?」
克己がうなずいて応える。
「ああ。知ってるとも。
こいつは天狐――狐の『あやかし』だ。
このマンションを建てる前、敷地にあった稲荷神社に住んでいた。
今は神社を屋上に移してあるがな」
「私を囲うって……」
天流が微笑んで応える。
「外で私のことを口外されても困るからね。
そういうことが無いよう、身近で見張っておきたいんだ」
「なんで、最初はさっきみたいにちゃんと隠してなかったのよ……」
天流がチャーミングなウィンクを飛ばして応える。
「『あやかし』が見える人間ってのは珍しいんだ。
だからちょっと油断して気を抜いていた。
最近連勤だったからね、疲れてたのかな」
千晴が脱力してフローリングにへたり込んだ。
新築の木材の香りが、ふわりと鼻をくすぐる。
千晴の頭の中は混乱するばかりだ。
仕事を辞めたと思ったら、狐の『あやかし』に憑りつかれていた。
今さら再就職を白紙にしようとしても、新卒二年目で自主退職。
拾ってくれる企業は多くはない。
貯金が尽きるのは明白だった。
そんな千晴を見た克己が、その方に手を置いた。
「心配するこたーないぞ?
鞍馬は悪い『あやかし』じゃない。
ありがた~い天狐だからな。
――どれ、引っ越し業者も見繕ってやろうか?」
千晴は力のない声で応える。
「少し……考えさせてください」
「ん? そうか。
まぁ嫌なら構わんよ。
無理強いする気はないからな」
そう言うと克己は、壁際で天流と世間話を始めた。
千晴はこれからどうしようか途方に暮れながら、目の前の天流を見つめて居た。
****
再就職先を探す苦労を嫌がる心。
一人暮らしをしてみたい冒険心。
そんな気持ちが千晴の心を押した。
――決めた。
立ち上がった千晴が、天流に告げる。
「天流さん、ここで私が逃げても追いかけてくるんでしょ?」
天流がニコリと微笑んで応える。
「それは君の想像に任せるよ」
「それなら、ここに住むわよ。
――でも! 合鍵を持ってるとかは無しよ?!」
天流が両手を上げて降参ポーズを取った。
「持っていないとも――稲荷様に誓うよ」
ふぅ、と千晴がため息をつく。
「それで? 私はいつここに引っ越してくればいいの?」
「そうだなぁ……。
――克己、どれくらいかかる?」
克己が顎に手を当てながら応える。
「まぁ独り身用のプランなら、三日で用意させられる。
敷金礼金はなし、退去時も別に金はとらん。
これで構わんか?」
まさに至れり尽くせりだ。
千晴は力なくうなずいた。
「わかったわ、それまでに荷造りすればいいのね?」
「んー荷づくり支援のサービスもつけるぞ?
あんたは『何を持ち込むか』だけ指示すればいい」
千晴が克己を見て尋ねる。
「それって、引っ越し費用も持ってくれるってこと?」
「嫌なら自腹でも構わんが、荷物の量次第では結構かかるぞ?」
「……いえ、こうなったら厚意は有難く受け取っておくわ」
克己が満足げにうなずいた。
「ああ、そうするといい。
転職してすぐは金が心もとないだろう。
節約できる分は、節約しておきなさい」
千晴は小さくうなずいたあと、深いため息をついた。
スーツ姿の天流が壁際でたたずみ、千晴を見つけて微笑んだ。
千晴がそばに近寄ると、天流が告げる。
「よく来てくれたね。
ここから少し歩くけど、大丈夫?」
「どれくらいですか?」
「ん~十分くらいかな」
歩きだした天流のあとを、千晴が追いかける。
「今日もしっぽはつけてないんですね」
天流が楽しそうに笑い声をあげた。
「あれは特別なアクセサリーだからね」
「お店はどうしたんですか?」
「休みをもらってあるよ」
――そこまでして私に下見させたいのか。
千晴は天流と一緒に北方面に歩いて行く。
天流が千晴に尋ねる。
「この辺にはよく来るの?」
「伊勢佐木町なら、多少は」
「じゃあ、みなとみらいは?」
千晴が眉をひそめて応える。
「あんな観光地価格の場所、用事がなきゃ行きませんよ」
横浜駅周辺や伊勢佐木町、なんなら元町で大抵のものはそろう。
洒落たものが欲しければ、自由が丘に出ても良い。
地元民がみなとみらいに行きたがるのは、滅多にない。
珍しい物はあるが高いばかりで人が多く、疲れるだけだ。
千晴がそう告げると、天流が楽しそうに笑い声をあげていた。
十分少し歩くと、天流が区画の角にあるマンションの前で止まった。
「ここだよ。ついてきて」
エントランスに入ると、壁には郵便受けが並んでいた。
脇にはインターホンが設置されている。
その奥にはまたドアがあり、天流はそれにスマホをかざす。
カチリと音がしてロックが解除され、天流がドアを開けた。
「さぁ、こっちだ」
千晴がうなずいて天流のあとに続き、エレベーターに乗りこんだ。
天流がコンソールを操作するとドアが閉まり、エレベーターは上へと上がっていった。
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エレベーターが七階で止まり、天流がドアを手で押さえた。
「ここだよ、さぁ降りて」
千晴が先に降り、そのあとから天流が続く。
天流が千晴を追い越して歩く先には、一人の老齢男性が立っていた。
「すまない克己、待たせたかな」
老齢男性――克己が天流を見て微笑んだ。
「いや、大して待っとりゃせんよ。
後ろの子が入居希望者かな?」
千晴が眉をひそめて応える。
「今日は下見に来ただけです。
――あなたは誰ですか?」
天流が横から千晴に告げる。
「このビルのオーナー、俵克己だよ。
私の古い友人なんだ」
克己がニカっと千晴に笑いかけた。
「鞍馬の知人なら、無料でも貸してやるぞ?」
千晴が思わず手を横に振った。
「そんな、悪いですよ!」
克己が楽し気に笑いながら応える。
「まぁそうだろうな。
――どれ、いま鍵を開けてやる」
克己がスマホをドアにかざすと、ロックが外れる音がした。
天流がドアを手で示して千晴に告げる。
「さぁどうぞ、思う存分に」
千晴がおずおずとドアノブに手を伸ばし、ゆっくりと回していく。
ドアを引くと、わずかな音を立ててドアが開いて行った。
千晴は緊張しながら、新築の玄関に足を踏み入れた。
****
玄関から上がると、フローリングの短い廊下が待っていた。
トイレとバスルームらしき扉を素通りし、廊下を抜ける。
広いワンルーム、十畳はあろうかという広さだ。
南向きの窓で採光もしっかりしている。
振り返ると、北側にはカウンターキッチンがついていた。
料理をするには充分な広さだ。
東側にはクローゼットと押し入れがあり、容量もたっぷりある。
窓を開けると遠くから電車の音が聞こえ、ビルの向こうに線路が見えた。
「すご……これが二万円なの?」
思わずもらした千晴の言葉に、克己が笑って応える。
「共益費込みで二万。これ以上は、あんたが嫌だろう?」
「――共益費込み?!
それでいいんですか?!」
振り返った千晴に、克己はニヤリと微笑んだ。
「鞍馬の紹介だからな。
そういう相手には無条件で貸している。
あんたが住みたいだけ住んでいて構わんぞ」
館内徒歩十分、新築ワンルーム。
トイレバスが分かれていたら、十万どころじゃないだろう。
「……洗濯機はどうなるんですか?」
「んー? 脱衣所に備え付けの全自動が置いてある。
気に入らないなら取り換えるから、希望の機種を言ってくれ」
呆然とする千春に、天流が微笑んで告げる。
「どうかな? 悪くない物件だと思うんだけど」
「……どうして、こんな物件を?」
天流がニヤリと笑って告げる。
「こういうことさ――」
天流の足元から煙が立ち上り、その全身を覆い隠した。
煙が消えるとそこには、長い白髪をした天流の姿。
背後には天を突くようなしっぽがそそり立っている。
天流が楽し気な笑みで告げる。
「君は私の姿を見た――だから、囲い込んでおきたいんだ」
頭が真っ白になった千晴は、天流の姿を見てただ茫然としていた。
****
克己が楽しそうに笑って告げる。
「鞍馬のその姿を見るのも、久しぶりだな」
「最近はずっと隠してたからね」
二人の会話に、千晴がようやく言葉を絞り出す。
「……オーナーは、天流さんのこと知ってるの?」
克己がうなずいて応える。
「ああ。知ってるとも。
こいつは天狐――狐の『あやかし』だ。
このマンションを建てる前、敷地にあった稲荷神社に住んでいた。
今は神社を屋上に移してあるがな」
「私を囲うって……」
天流が微笑んで応える。
「外で私のことを口外されても困るからね。
そういうことが無いよう、身近で見張っておきたいんだ」
「なんで、最初はさっきみたいにちゃんと隠してなかったのよ……」
天流がチャーミングなウィンクを飛ばして応える。
「『あやかし』が見える人間ってのは珍しいんだ。
だからちょっと油断して気を抜いていた。
最近連勤だったからね、疲れてたのかな」
千晴が脱力してフローリングにへたり込んだ。
新築の木材の香りが、ふわりと鼻をくすぐる。
千晴の頭の中は混乱するばかりだ。
仕事を辞めたと思ったら、狐の『あやかし』に憑りつかれていた。
今さら再就職を白紙にしようとしても、新卒二年目で自主退職。
拾ってくれる企業は多くはない。
貯金が尽きるのは明白だった。
そんな千晴を見た克己が、その方に手を置いた。
「心配するこたーないぞ?
鞍馬は悪い『あやかし』じゃない。
ありがた~い天狐だからな。
――どれ、引っ越し業者も見繕ってやろうか?」
千晴は力のない声で応える。
「少し……考えさせてください」
「ん? そうか。
まぁ嫌なら構わんよ。
無理強いする気はないからな」
そう言うと克己は、壁際で天流と世間話を始めた。
千晴はこれからどうしようか途方に暮れながら、目の前の天流を見つめて居た。
****
再就職先を探す苦労を嫌がる心。
一人暮らしをしてみたい冒険心。
そんな気持ちが千晴の心を押した。
――決めた。
立ち上がった千晴が、天流に告げる。
「天流さん、ここで私が逃げても追いかけてくるんでしょ?」
天流がニコリと微笑んで応える。
「それは君の想像に任せるよ」
「それなら、ここに住むわよ。
――でも! 合鍵を持ってるとかは無しよ?!」
天流が両手を上げて降参ポーズを取った。
「持っていないとも――稲荷様に誓うよ」
ふぅ、と千晴がため息をつく。
「それで? 私はいつここに引っ越してくればいいの?」
「そうだなぁ……。
――克己、どれくらいかかる?」
克己が顎に手を当てながら応える。
「まぁ独り身用のプランなら、三日で用意させられる。
敷金礼金はなし、退去時も別に金はとらん。
これで構わんか?」
まさに至れり尽くせりだ。
千晴は力なくうなずいた。
「わかったわ、それまでに荷造りすればいいのね?」
「んー荷づくり支援のサービスもつけるぞ?
あんたは『何を持ち込むか』だけ指示すればいい」
千晴が克己を見て尋ねる。
「それって、引っ越し費用も持ってくれるってこと?」
「嫌なら自腹でも構わんが、荷物の量次第では結構かかるぞ?」
「……いえ、こうなったら厚意は有難く受け取っておくわ」
克己が満足げにうなずいた。
「ああ、そうするといい。
転職してすぐは金が心もとないだろう。
節約できる分は、節約しておきなさい」
千晴は小さくうなずいたあと、深いため息をついた。
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