7 / 49
第1章:神を拾った竜殺し
第7話 下山(2)
しおりを挟む
リストリットたちは竜の群れの中、彼らの視線を受けながら下山していた。
「本当に襲われないんだな……」
ノヴァが呆れたように答える。
『だから、そう言っているだろう。
竜たちはアイリーンを襲わない。
アイリーンの伴侶たる俺もまた、襲われない』
リストリットに背負われたアイリーンが真っ赤になりながら声を上げる。
『――ちょっと?! 今、聞き捨てならないことを口走らなかった?!』
ノヴァが歩みを止めずに答える。
『“伴侶”に反応したのか?
俺の姿はアイリーンの好みの造形をしていると思わなかったか?
俺の体は“お前の傍に永遠に在る者”として作られている。
――つまり、伴侶だ』
アイリーンがヒステリックに答える。
『私の死後に縁談を組んだとでも言うの?!
しかも、私の好みがお父様に把握されていたってこと?!
デリカシー無さすぎじゃない?!』
ノヴァがフッと笑みを漏らした。
『縁談か、そうとも言えるだろう。
だがホムンクルスは人間とも生殖が可能だ。
アイリーンが人間と恋に落ち、その男と添い遂げる道もある。
――どちらにせよ、俺はお前の傍に居るがな』
アイリーンが驚いたように目を見開いた。
『ホムンクルスの生殖機能を残しているの?!
そんなの、機能削減の最優先項目じゃない!
ということは、ノヴァにも生殖機能があるの?!』
ノヴァが頷いて答える。
『もちろん残っている。
お前の父親は、俺とお前が子を成せるように設計したからな。
健康的な子が生まれるだろう』
アイリーンがリストリットの背中で深いため息をついた。
『……お父様に死後再会したら、言いたいことが一つ増えたわ。
みっちり“デリカシー”という言葉を教えてあげなきゃ』
ニアがノヴァとアイリーンを見ながら思案していた。
「貴方たちの子供は、果たして何と呼べばいいのかしら。
人間? ホムンクルス? それとも、半人半神なの?」
ノヴァが額に玉のような汗を浮かべながら答える。
『俺たちの子供であれば、体は人間と変わらん。魂もまた、人間と変わらん。
人間とホムンクルスもまた、同じ結果となる。
これはお前たちが“先史文明”と呼ぶ時代の魔導の初歩だぞ?』
ニアがショックを受けたように肩を落とした。
「そう、魔導の初歩なの……そんなに現代の魔導は後退してたのね。
これでも一流のプライドがあったんだけど、貴方たちの前では形無しね……」
『仕方あるまい。ホムンクルス製造技術が失われているのだ。
あれは魔導理論を飛躍的に進めた技術革新だからな』
アイリーンがニアに告げる。
『魂を扱う分野は、魔導理論の根幹よ。
そこが抜けていては、魔導理論は頭打ちになってしまうわ。
魂の定義と世界との調和、そして融合。
それが私たちの時代――先史文明における魔導理論の基礎にして深奥よ』
リストリットが歩みを止めずに告げる。
「あー、楽しそうな会話を邪魔して悪いんだが、しゃべるより足を動かしてくれ。
ノヴァの体もヤバいんだろう? 魔力装填薬はお前たちの食事を差っ引いても余るはずだ。
野営を張ったら、そこでノヴァの体を修復しよう」
今は侵入者が居ないとしても、途中で新しい侵入者に鉢合わせないとも限らないのだ。
万全ではないノヴァ、アイリーンを護衛しながらの戦い。それは避けたかった。
ノヴァとニアが頷き、リストリットたちは下山速度を速めた。
****
日が落ち、夕暮れが山道を包みこむ中でリストリットが告げる。
「ちっと場所が悪いが、この辺で野営をしよう。
だが焚火の用意がない。
俺たちの外套を貸すから、それで風を凌いでくれ」
竜峰山の内部で火を起こせば、竜を呼び寄せる。
だからリストリットは火の用意をしてこなかったが、それがここで裏目に出た。
広い山道は風通しがよく、体温を奪いやすいのだ。
周囲も山肌が剥き出しで、薪となる樹木がある様子はない。
ノヴァが荷物を下ろしながらため息をついた。
『要らん心配だ。火なら俺が起こしてやる』
野営場所の中央に向かって、ノヴァが火炎魔法を展開すると、そこに焚火程度の火が起こった。
『この程度なら維持してやれる。
――リストリット、補給用の薬をもらうぞ』
ノヴァは地面に置いた荷物から魔力装填薬を二本取り出した。
地面に座り込んでいたアイリーンに一本を差し出しながら告げる。
『これは魔力の回復薬だ。
酷い味だが、今はこれしかない』
魔力装填薬を受け取ったアイリーンが、それに検査魔法を施していく。
アイリーンが眉をひそめて告げる。
『なんて低品質なの? 子供でももっとマシな物を作るわよ?
でも、他にないならしょうがないわね』
アイリーンにバッサリと切って捨てられた。
この薬はウェルト第一王子が開発したものだ。
リストリットは敬愛する兄の発明が『児戯未満』と評され、乾いた笑いを浮かべていた。
ノヴァがアイリーンに尋ねる。
『どうだ、空腹は満たされたか』
アイリーンが頷いて答える。
『食事一回分くらいの満足感があるわ。
これなら一食一本で足りそう』
ノヴァが頷いてリストリットに告げる。
『下山まで三日、町まで二日と言っていたな。
ではその分の食事を差し引いて、残りの薬をもらうぞ。
それで俺の体の再構築を行う』
リストリットが慌てて手で制した。
「待て待て待て! それでも高級品なんだ。
最寄りの町で補充できるとは限らん。
王都まで七日から十日、そのぐらいは見ておいてくれ」
ノヴァが頷いて答える。
『いいだろう』
わずかな魔力装填薬を残し、それ以外を服用したノヴァが自分の周囲に魔法を多重並列展開する。
アイリーンの時より控えめだが、それでも優に百を超える魔法の同時発動だ。
ニアが茫然としながら言葉をこぼす。
「相変わらず、圧巻ね。
――ねぇアイリーンちゃん。先史文明ではこれくらいの魔導が普通だったの?』
アイリーンが首を横に振って答える。
『そんなわけない。
“稀代の天才魔導士”と呼ばれた私でも、この数は無理よ。
ノヴァが神様の魂を持つというのは本当みたいね。
こんなの、常識はずれだわ』
ノヴァがアイリーンに告げる。
『俺の魔導技術はアイリーンの父親の知識を引き継いでいるだけだ。
だがある程度は神の力を引き出せるようだな』
アイリーンが少し遠い目をして答える。
『……そうね、テディの体を星幽界に送り届けるなんて、大魔法もいいところよ。
あっさりと行使してみせたけど、あれもとんでもない神業ね』
ニアが目を輝かせてアイリーンに尋ねる。
「星幽界って、物質界より上位にあると言われる世界よね。
どんなところなのかは、様々な説があるけれど」
『星幽界は神の世界。魔力に満ちた、最も世界の根源に近い世界よ』
ニアがきょとんとした顔で答える。
「神の世界なの? 神が住む世界は天界だと伝わってるわ」
アイリーンが肩を落としながら答える。
『それは古き神々の世界ね。
古き神々と新しき神――星の神テスケウシスが争い、天界は世界から追放されたの。
テスケウシスは星幽界に移り住んだ神。だから星の神というの。
テスケウシスはそれ以後、新しき神々を生み出し、物質界を作り直したと言われているわ。
――神話すら後退してるだなんて、どういうことかしら』
ニアが満足気に頷いていた。
「先史文明の創世神話……興味深いわぁ。
現代では星の神メルティキと炎の神アールマティが世界を作ったと伝わってるの。
これは大陸で広く信仰されている、エウセリア正教の神話だけどね」
ノヴァが魔法を行使しながら、楽しそうに笑い声を上げた。
『星の神と炎の神か。
ニア、お前は翻訳魔法に惑わされず、俺たちの言葉によく耳を傾けてみろ。
それは先史文明の言葉だ。
メルティキにはもっと古い名前がなかったか?
――それこそ、テスケウシスと呼ばれていなかったか?』
ニアは目を伏せ、口の中で「テスケウシス……」と繰り返し呟いていた
「――あっ! エウセリア正教より古いアルトゲイル教では、主神がテスケウシスよ!」
『新しい宗派で使われている名が、先史文明の言葉か。引っかかるな。
テスケウシスは星の神、ならばアルトゲイル教から分派したのがエウセリア正教だろう』
ニアがまた目を伏せ、思案するように呟く。
「……確か、『直接名前を呼ぶのが不敬』という話じゃなかったかしら。
神学はそこまで詳しくないから、それ以上は分からないけど」
アイリーンがニアたちに告げる。
『主神テスケウシスには妻が居たわ。炎の神メネグエラというの。
でも古き神々との闘いで、メネグエラは命を落としたとされているわ。
――ノヴァが神様だとしたら、新しき神だったはず。
従属神の誰かだったのかしら』
ニアが納得するようにうなずいた。
「星の神テスケウシスと炎の神メネグエラが、メルティキとアールマティとして伝わったのね」
二人の会話を聞いていたノヴァがぽつりと呟く。
『テスケウシス……メネグエラ……どこか覚えがある。
特にテスケウシスは、妙にしっくりくる名だ。
星の神、というのもそうだな』
アイリーンが笑いながら答える。
『ホムンクルスの体に、テスケウシスのような強大な神の魂なんて入りきらないわ!
さすがに本人とは思えないわね。
それに、ノヴァなんて名前の神様は聞いたこともないの。
別の世界の神様なのかしら』
ノヴァが首を振りながら答える。
『――記憶がはっきりせんな。
あるいは、この体に神の記憶が欠けているのかもしれん。
それで思い出せぬというのであれば、もうどうにもなるまい。
幸い、魔法はアイリーンの父親の知識内で使える。それでやっていくしかないだろう』
ノヴァはびっしりと額に汗を浮かべながら、体の再構築を進めていった。
「本当に襲われないんだな……」
ノヴァが呆れたように答える。
『だから、そう言っているだろう。
竜たちはアイリーンを襲わない。
アイリーンの伴侶たる俺もまた、襲われない』
リストリットに背負われたアイリーンが真っ赤になりながら声を上げる。
『――ちょっと?! 今、聞き捨てならないことを口走らなかった?!』
ノヴァが歩みを止めずに答える。
『“伴侶”に反応したのか?
俺の姿はアイリーンの好みの造形をしていると思わなかったか?
俺の体は“お前の傍に永遠に在る者”として作られている。
――つまり、伴侶だ』
アイリーンがヒステリックに答える。
『私の死後に縁談を組んだとでも言うの?!
しかも、私の好みがお父様に把握されていたってこと?!
デリカシー無さすぎじゃない?!』
ノヴァがフッと笑みを漏らした。
『縁談か、そうとも言えるだろう。
だがホムンクルスは人間とも生殖が可能だ。
アイリーンが人間と恋に落ち、その男と添い遂げる道もある。
――どちらにせよ、俺はお前の傍に居るがな』
アイリーンが驚いたように目を見開いた。
『ホムンクルスの生殖機能を残しているの?!
そんなの、機能削減の最優先項目じゃない!
ということは、ノヴァにも生殖機能があるの?!』
ノヴァが頷いて答える。
『もちろん残っている。
お前の父親は、俺とお前が子を成せるように設計したからな。
健康的な子が生まれるだろう』
アイリーンがリストリットの背中で深いため息をついた。
『……お父様に死後再会したら、言いたいことが一つ増えたわ。
みっちり“デリカシー”という言葉を教えてあげなきゃ』
ニアがノヴァとアイリーンを見ながら思案していた。
「貴方たちの子供は、果たして何と呼べばいいのかしら。
人間? ホムンクルス? それとも、半人半神なの?」
ノヴァが額に玉のような汗を浮かべながら答える。
『俺たちの子供であれば、体は人間と変わらん。魂もまた、人間と変わらん。
人間とホムンクルスもまた、同じ結果となる。
これはお前たちが“先史文明”と呼ぶ時代の魔導の初歩だぞ?』
ニアがショックを受けたように肩を落とした。
「そう、魔導の初歩なの……そんなに現代の魔導は後退してたのね。
これでも一流のプライドがあったんだけど、貴方たちの前では形無しね……」
『仕方あるまい。ホムンクルス製造技術が失われているのだ。
あれは魔導理論を飛躍的に進めた技術革新だからな』
アイリーンがニアに告げる。
『魂を扱う分野は、魔導理論の根幹よ。
そこが抜けていては、魔導理論は頭打ちになってしまうわ。
魂の定義と世界との調和、そして融合。
それが私たちの時代――先史文明における魔導理論の基礎にして深奥よ』
リストリットが歩みを止めずに告げる。
「あー、楽しそうな会話を邪魔して悪いんだが、しゃべるより足を動かしてくれ。
ノヴァの体もヤバいんだろう? 魔力装填薬はお前たちの食事を差っ引いても余るはずだ。
野営を張ったら、そこでノヴァの体を修復しよう」
今は侵入者が居ないとしても、途中で新しい侵入者に鉢合わせないとも限らないのだ。
万全ではないノヴァ、アイリーンを護衛しながらの戦い。それは避けたかった。
ノヴァとニアが頷き、リストリットたちは下山速度を速めた。
****
日が落ち、夕暮れが山道を包みこむ中でリストリットが告げる。
「ちっと場所が悪いが、この辺で野営をしよう。
だが焚火の用意がない。
俺たちの外套を貸すから、それで風を凌いでくれ」
竜峰山の内部で火を起こせば、竜を呼び寄せる。
だからリストリットは火の用意をしてこなかったが、それがここで裏目に出た。
広い山道は風通しがよく、体温を奪いやすいのだ。
周囲も山肌が剥き出しで、薪となる樹木がある様子はない。
ノヴァが荷物を下ろしながらため息をついた。
『要らん心配だ。火なら俺が起こしてやる』
野営場所の中央に向かって、ノヴァが火炎魔法を展開すると、そこに焚火程度の火が起こった。
『この程度なら維持してやれる。
――リストリット、補給用の薬をもらうぞ』
ノヴァは地面に置いた荷物から魔力装填薬を二本取り出した。
地面に座り込んでいたアイリーンに一本を差し出しながら告げる。
『これは魔力の回復薬だ。
酷い味だが、今はこれしかない』
魔力装填薬を受け取ったアイリーンが、それに検査魔法を施していく。
アイリーンが眉をひそめて告げる。
『なんて低品質なの? 子供でももっとマシな物を作るわよ?
でも、他にないならしょうがないわね』
アイリーンにバッサリと切って捨てられた。
この薬はウェルト第一王子が開発したものだ。
リストリットは敬愛する兄の発明が『児戯未満』と評され、乾いた笑いを浮かべていた。
ノヴァがアイリーンに尋ねる。
『どうだ、空腹は満たされたか』
アイリーンが頷いて答える。
『食事一回分くらいの満足感があるわ。
これなら一食一本で足りそう』
ノヴァが頷いてリストリットに告げる。
『下山まで三日、町まで二日と言っていたな。
ではその分の食事を差し引いて、残りの薬をもらうぞ。
それで俺の体の再構築を行う』
リストリットが慌てて手で制した。
「待て待て待て! それでも高級品なんだ。
最寄りの町で補充できるとは限らん。
王都まで七日から十日、そのぐらいは見ておいてくれ」
ノヴァが頷いて答える。
『いいだろう』
わずかな魔力装填薬を残し、それ以外を服用したノヴァが自分の周囲に魔法を多重並列展開する。
アイリーンの時より控えめだが、それでも優に百を超える魔法の同時発動だ。
ニアが茫然としながら言葉をこぼす。
「相変わらず、圧巻ね。
――ねぇアイリーンちゃん。先史文明ではこれくらいの魔導が普通だったの?』
アイリーンが首を横に振って答える。
『そんなわけない。
“稀代の天才魔導士”と呼ばれた私でも、この数は無理よ。
ノヴァが神様の魂を持つというのは本当みたいね。
こんなの、常識はずれだわ』
ノヴァがアイリーンに告げる。
『俺の魔導技術はアイリーンの父親の知識を引き継いでいるだけだ。
だがある程度は神の力を引き出せるようだな』
アイリーンが少し遠い目をして答える。
『……そうね、テディの体を星幽界に送り届けるなんて、大魔法もいいところよ。
あっさりと行使してみせたけど、あれもとんでもない神業ね』
ニアが目を輝かせてアイリーンに尋ねる。
「星幽界って、物質界より上位にあると言われる世界よね。
どんなところなのかは、様々な説があるけれど」
『星幽界は神の世界。魔力に満ちた、最も世界の根源に近い世界よ』
ニアがきょとんとした顔で答える。
「神の世界なの? 神が住む世界は天界だと伝わってるわ」
アイリーンが肩を落としながら答える。
『それは古き神々の世界ね。
古き神々と新しき神――星の神テスケウシスが争い、天界は世界から追放されたの。
テスケウシスは星幽界に移り住んだ神。だから星の神というの。
テスケウシスはそれ以後、新しき神々を生み出し、物質界を作り直したと言われているわ。
――神話すら後退してるだなんて、どういうことかしら』
ニアが満足気に頷いていた。
「先史文明の創世神話……興味深いわぁ。
現代では星の神メルティキと炎の神アールマティが世界を作ったと伝わってるの。
これは大陸で広く信仰されている、エウセリア正教の神話だけどね」
ノヴァが魔法を行使しながら、楽しそうに笑い声を上げた。
『星の神と炎の神か。
ニア、お前は翻訳魔法に惑わされず、俺たちの言葉によく耳を傾けてみろ。
それは先史文明の言葉だ。
メルティキにはもっと古い名前がなかったか?
――それこそ、テスケウシスと呼ばれていなかったか?』
ニアは目を伏せ、口の中で「テスケウシス……」と繰り返し呟いていた
「――あっ! エウセリア正教より古いアルトゲイル教では、主神がテスケウシスよ!」
『新しい宗派で使われている名が、先史文明の言葉か。引っかかるな。
テスケウシスは星の神、ならばアルトゲイル教から分派したのがエウセリア正教だろう』
ニアがまた目を伏せ、思案するように呟く。
「……確か、『直接名前を呼ぶのが不敬』という話じゃなかったかしら。
神学はそこまで詳しくないから、それ以上は分からないけど」
アイリーンがニアたちに告げる。
『主神テスケウシスには妻が居たわ。炎の神メネグエラというの。
でも古き神々との闘いで、メネグエラは命を落としたとされているわ。
――ノヴァが神様だとしたら、新しき神だったはず。
従属神の誰かだったのかしら』
ニアが納得するようにうなずいた。
「星の神テスケウシスと炎の神メネグエラが、メルティキとアールマティとして伝わったのね」
二人の会話を聞いていたノヴァがぽつりと呟く。
『テスケウシス……メネグエラ……どこか覚えがある。
特にテスケウシスは、妙にしっくりくる名だ。
星の神、というのもそうだな』
アイリーンが笑いながら答える。
『ホムンクルスの体に、テスケウシスのような強大な神の魂なんて入りきらないわ!
さすがに本人とは思えないわね。
それに、ノヴァなんて名前の神様は聞いたこともないの。
別の世界の神様なのかしら』
ノヴァが首を振りながら答える。
『――記憶がはっきりせんな。
あるいは、この体に神の記憶が欠けているのかもしれん。
それで思い出せぬというのであれば、もうどうにもなるまい。
幸い、魔法はアイリーンの父親の知識内で使える。それでやっていくしかないだろう』
ノヴァはびっしりと額に汗を浮かべながら、体の再構築を進めていった。
0
あなたにおすすめの小説
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる