番の巫女・改訂版~神様?!突然伴侶になれと言われても困るんですが?!~

みつまめ つぼみ

文字の大きさ
28 / 28
第3章:嫉妬って怖いんですね

28.

 翌週末の休日、王宮傍の闘技場が解放された。

 成竜の儀の最終戦が、御前試合として開かれることになったのだ。

 ヤンクとエルミナ、そしてミルスが『今ならば対等以上の戦いが出来る』と納得したからだ。

 武台の上では軽鎧を着こんだヤンクと、巫女の正装を着込んだアレミアが並んでいる。

 対峙するのは、同様に軽鎧を着こんだミルスと、巫女装束に初めて身を包んだリオだ。

 真っ白なローブを着込んだリオは、動きやすさを確認するように手足を動かしていた。

 ヤンクがミルスに告げる。

「ようやく私の念願が叶う。
 お前と本気の勝負をするこの時を、ずっと待ち侘びていたのだ。
 ――がっかりさせるなよ?」

 ミルスがヤンクに応える。

「今の俺なら、兄上にそう簡単に負けることはないさ。
 勝てるかどうかは、つがい次第だ。
 そして俺はリオを信じている。
 ――つまり、俺たちが勝つ!」

 アレミアがリオに微笑んで告げる。

「本質的には、私とリオさんの技量勝負ですね。
 義姉あねとして、巫女の先輩として、簡単に負ける訳にはいかないわ。
 三年間の重み、味わわせてあげる」

 リオも不敵に笑って応える。

「共に過ごした期間が短くても、私とミルスは死闘を演じられる仲よ?
 私を舐めるとどうなるか、アレミアさんにも思い知らせないといけないのかしら?」


 国王が闘技場の王族観覧席から声高こわだかに告げる。

「ではこれより、成竜の儀、最終戦を始める!
 互いに悔いの無いよう、全力を尽くすが良い!」

 四人が身構え、アレミアとリオの瞳が金色に染まる。

 ミルスがヤンクを見据えたまま、リオに告げる。

「お前はお前の好きに動け。
 補佐は俺がしてやる」

 リオはアレミアを見据えたまま、ミルスに応える。

「ミルスこそ、好きに動いていいのよ?
 竜将を補佐するのがつがいの務め。
 私は私なりの補佐をするだけよ」

 二人が同時に、楽し気に微笑んだ。

「それじゃあお互い――」

「好きに動くとしましょうか!」




 その闘いは後に、ウェラウルム王国の歴史に残る名勝負として語られることになった。

 勝者は次代の王として確定し、国民全てがそれを祝福した。

 後に王が譲位した後、その次代の王は名君としても語られることになる。

 その名君は正室のみを作り、生涯側室を作ることはなかったという。

 どちらに軍配が上がったのか、それを語る野暮は、此処では控える事としよう。
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――