1 / 3
1.
しおりを挟む
今日も掃除が行き届いた店内を見回し、私は満足の吐息を漏らす。
たとえお客さんが一人も来なくても、お店を構える以上はきちんとしないとね!
外のドアにかけてあるプレートを『閉店中』から『開店中』に裏返し、私は気合を入れて声を上げる。
「よし、今日も頑張ろう!」
誰も来ない午前が終わり、昼食のサンドイッチを食べながらお客さんが来るのを待つ。
食べ終わったお皿を奥の台所で洗っていると、ドアベルがカランコロンと来店者を告げた。
私は慌ててお皿を片付け、手をタオルで拭きながら店のカウンターに出て告げる。
「いらっしゃいませ! 雑貨屋ネルケにようこそ!」
店の中に居たのは、気品のある貴族風の青年だった。
サテンのシャツの上にベルベットのシャマールを羽織り、フェルトの帽子をかぶっている。かなりの上流階級だなぁ。
彼は肩までの黄金色の髪の毛を揺らしながら、その琥珀色の瞳で店内を見回して告げる。
「アルヴィーラ殿はおられるか」
バリトンの低い声は、その男性らしい容貌によく似合っていた。
私は奇妙な胸の高鳴りを覚えながら、元気一杯の営業スマイルで応える。
「おばあちゃんですか? 先月亡くなりましたよ?
お客さんはおばあちゃんに用事があったんですか?」
お客さんは驚いたように目を見開いて私を見つめた。
「……『終焉の魔女』アルヴィーラ殿が、死んだ?」
「ええ、いくら凄い魔導士とはいっても、おばあちゃんだって人間ですから。
老いには勝てませんよ。
それで、お客さんの用件はなんだったんですか?」
貴族風の青年が、カウンターに目を落としながら応える。
「そうか、老齢とは聞いていたが、亡くなったか。
――私はライナーという。
終焉の魔女に、苦痛を覚えずに死を与える魔法薬を頼もうと思っていた」
おやおや、なんだか物騒なお話だぞ?
私は眉をひそめてライナーに応える。
「お客さん、そんな危ない薬を何に使うつもりなんですか?」
ライナーは暗い顔で応える。
「母上が病床に伏していてな。
医者や魔導士たちは、さじを投げてしまった。
父上も、母上のことは諦めてしまわれたようだ。
母上は今も、死に至る病で苦しい思いをしている。
ならばもういっそのこと、苦しまずに死を与えられないかと相談に来たのだ」
あら、なんだか母親想いの青年だった。
「それじゃあお客さんが母殺しになってしまいませんか?
罪を背負ってまで、お母さんを楽にしてあげたいんですか?」
「このままでは、何年も生きられないと言われている。
時間をかけて苦しみ抜き、衰弱して死ぬくらいなら、『あらゆるものに終わりを告げる』と言われる終焉の魔女に、母上の死を頼めないかと、こうして来たのだ。
それで私が罪を被ろうと、これ以上母上が苦しむよりはずっとマシだろう」
「でも、お母さんは息子にそんなこと、してほしくないと思うんじゃないんですか?」
ライナーがフッと辛そうな笑みを浮かべた。
「そうだな。母上は私の前では、気丈に明るく振る舞ってしまわれる。
だが侍女たちから聞く様子では、毎日とても苦しい思いをしておられるようだ。
私自身、扉の外で母上の苦しむ声を何度も聞いた。
救えるものなら救いたいが、救う手段がわからない。
ならばせめて、苦しみを早く終えて欲しいと思ったのだ」
「お母さんから、恨まれませんか?」
「構うものか。母上には最後くらい、安らかに眠っていただきたい」
んー、お母さん思いだけど、少し考えが凝り固まっちゃってるな。
なんだかこの人も、死に取りつかれてしまって居るように思える。
それだけ家族が、お母さんの病気で苦悩してるんだろうな。
「お客さん、おいくつなんですか?
若いように見えるのに、随分と大人びた考えをしてるんですね」
「もうじき十七になる――そういうお前は、いくつだ?
なぜ子供が店番をしている?」
「私ですか? この間、十五歳を迎えたので立派な成人ですよ?
このお店をおばあちゃんから受け継いだんです」
ライナーの目が、私の束ねた髪の毛と目を眺めていた。
「七色に輝く銀髪と燃えるような赤い瞳は、噂に聞くアルヴィーラの容貌と同じだな。
お前はアルヴィーラの孫か? 両親はどうした?」
「両親は私が物心つく前に、流行り病で死んだと聞かされました。
それからはおばあちゃんに引き取られて育てられたんです。
ですから今の私は、天涯孤独という奴ですね」
「お前はひとりで、生きていけるのか?」
私はニコリと営業スマイルで応える。
「大丈夫ですよ、ありがとうございます」
ライナーが小さく「そうか」とつぶやいて息をついた。
「……どうやら、無駄足になってしまったな。邪魔をした」
身を翻して店を出ていこうとするライナーに、私は声をかける。
「あ、お客さん! ちょっと待って?!」
ライナーがこちらに振り向き、私の言葉を待った。
「あのね、私の作った薬で良ければ、売ってあげられますよ?
『苦しみを取り除き、安らかになる薬』がご注文の品でいいんですよね?」
ライナーが私の目を、疑い深く見つめてきた。
「……お前が、魔法薬を作れるというのか」
私は上目遣いで、両手の指先を合わせながら応える。
「本当は、おばあちゃんから『まだ未熟だから、魔法を使ってはいけない』と言われてるんですけどね。
お客さんのお母さんを助けるためなら、おばあちゃんも許してくれると思うんです」
「それは、本当に母上を苦しみから解き放てる薬なのだな?」
「始めて作る魔法薬なので、自信はないですけど……たぶん大丈夫だと思います!
これから作成に入りますので、三日後くらいに取りに来てください」
ライナーが私の目を見つめて告げる。
「三日後だな? わかった。村に滞在して、三日後にまた来よう」
「ええ、お待ちしておりますね!」
彼は今度こそ店を出ていき、店内には私だけが取り残された。
「……よし、私の初めてのお客さんだし、頑張らないと!」
私は外のドアプレートを『閉店中』に裏返し、店の奥にある魔導工房へと向かった。
****
三日後、ライナーが朝から店にやってきた。
「魔法薬はできているか」
私は驚きながらライナーに応える。
「もちろんできてますけど……まだ開店前ですよ?
そんなに待ちきれなかったんですか?」
「当然だろう、母上の苦しみを早く終わらせて差し上げたい」
ライナーは、とっても情に篤い人みたいだ。
私は魔法薬の瓶を取り出し、カウンターの上に置いた。
「代金は大金貨一枚――と言いたいところですが、私が初めて作った魔法薬です。
サービスでお客さんには、金貨五百枚でいいですよ」
大金貨は金貨千枚分。普通は貴族や大商人が扱うような大金だ。
平民ならそれだけで、一生遊んで暮らせる。そんな金額。
さすがにライナーも目を見開いて驚いていた。
「それほど高いのか」
「おばあちゃんが『大金貨以外で売ってはいけない』って、口を酸っぱくして私に言ってました。
でも最初の薬くらい、半額サービスしてもいいかなって思うんです」
ライナーが懐の革袋をカウンターにおいて、私に告げる。
「今の手持ちは金貨百枚しかない。普通の魔法薬なら、これで充分に釣りが来るはずなんだがな。
これを前金にするから、その魔法薬を売ってくれないか。
残金は改めて、私が持って来よう」
「ええ、それで構いませんよ」
私は革袋の中身をカウンターに並べ、金貨の数を数え始めた。
ライナーが私を見て告げる。
「……目の下に隈がある。徹夜をしたのか」
私は金貨を数えながら応える。
「何度も失敗しちゃいましたからね。
でもきちんと間に合いましたし、結果オーライです。
――はい、金貨百枚。丁度ですね。前金として頂きます」
ライナーが大事そうに魔法薬の瓶を抱え、私に頭を下げて告げる。
「ありがとう、これで母上を苦しみから救って差し上げられる。
……お前の名前を、聞いてもいいか」
私はニッコリと営業スマイルで応える。
「マルティナです。マルティナ・ネルケが私の名前です」
「そうか、マルティナ。また会おう」
身を翻し、ドアベルを鳴らしながら店を出ていくライナーの背中を、私は最後まで見送っていた。
たとえお客さんが一人も来なくても、お店を構える以上はきちんとしないとね!
外のドアにかけてあるプレートを『閉店中』から『開店中』に裏返し、私は気合を入れて声を上げる。
「よし、今日も頑張ろう!」
誰も来ない午前が終わり、昼食のサンドイッチを食べながらお客さんが来るのを待つ。
食べ終わったお皿を奥の台所で洗っていると、ドアベルがカランコロンと来店者を告げた。
私は慌ててお皿を片付け、手をタオルで拭きながら店のカウンターに出て告げる。
「いらっしゃいませ! 雑貨屋ネルケにようこそ!」
店の中に居たのは、気品のある貴族風の青年だった。
サテンのシャツの上にベルベットのシャマールを羽織り、フェルトの帽子をかぶっている。かなりの上流階級だなぁ。
彼は肩までの黄金色の髪の毛を揺らしながら、その琥珀色の瞳で店内を見回して告げる。
「アルヴィーラ殿はおられるか」
バリトンの低い声は、その男性らしい容貌によく似合っていた。
私は奇妙な胸の高鳴りを覚えながら、元気一杯の営業スマイルで応える。
「おばあちゃんですか? 先月亡くなりましたよ?
お客さんはおばあちゃんに用事があったんですか?」
お客さんは驚いたように目を見開いて私を見つめた。
「……『終焉の魔女』アルヴィーラ殿が、死んだ?」
「ええ、いくら凄い魔導士とはいっても、おばあちゃんだって人間ですから。
老いには勝てませんよ。
それで、お客さんの用件はなんだったんですか?」
貴族風の青年が、カウンターに目を落としながら応える。
「そうか、老齢とは聞いていたが、亡くなったか。
――私はライナーという。
終焉の魔女に、苦痛を覚えずに死を与える魔法薬を頼もうと思っていた」
おやおや、なんだか物騒なお話だぞ?
私は眉をひそめてライナーに応える。
「お客さん、そんな危ない薬を何に使うつもりなんですか?」
ライナーは暗い顔で応える。
「母上が病床に伏していてな。
医者や魔導士たちは、さじを投げてしまった。
父上も、母上のことは諦めてしまわれたようだ。
母上は今も、死に至る病で苦しい思いをしている。
ならばもういっそのこと、苦しまずに死を与えられないかと相談に来たのだ」
あら、なんだか母親想いの青年だった。
「それじゃあお客さんが母殺しになってしまいませんか?
罪を背負ってまで、お母さんを楽にしてあげたいんですか?」
「このままでは、何年も生きられないと言われている。
時間をかけて苦しみ抜き、衰弱して死ぬくらいなら、『あらゆるものに終わりを告げる』と言われる終焉の魔女に、母上の死を頼めないかと、こうして来たのだ。
それで私が罪を被ろうと、これ以上母上が苦しむよりはずっとマシだろう」
「でも、お母さんは息子にそんなこと、してほしくないと思うんじゃないんですか?」
ライナーがフッと辛そうな笑みを浮かべた。
「そうだな。母上は私の前では、気丈に明るく振る舞ってしまわれる。
だが侍女たちから聞く様子では、毎日とても苦しい思いをしておられるようだ。
私自身、扉の外で母上の苦しむ声を何度も聞いた。
救えるものなら救いたいが、救う手段がわからない。
ならばせめて、苦しみを早く終えて欲しいと思ったのだ」
「お母さんから、恨まれませんか?」
「構うものか。母上には最後くらい、安らかに眠っていただきたい」
んー、お母さん思いだけど、少し考えが凝り固まっちゃってるな。
なんだかこの人も、死に取りつかれてしまって居るように思える。
それだけ家族が、お母さんの病気で苦悩してるんだろうな。
「お客さん、おいくつなんですか?
若いように見えるのに、随分と大人びた考えをしてるんですね」
「もうじき十七になる――そういうお前は、いくつだ?
なぜ子供が店番をしている?」
「私ですか? この間、十五歳を迎えたので立派な成人ですよ?
このお店をおばあちゃんから受け継いだんです」
ライナーの目が、私の束ねた髪の毛と目を眺めていた。
「七色に輝く銀髪と燃えるような赤い瞳は、噂に聞くアルヴィーラの容貌と同じだな。
お前はアルヴィーラの孫か? 両親はどうした?」
「両親は私が物心つく前に、流行り病で死んだと聞かされました。
それからはおばあちゃんに引き取られて育てられたんです。
ですから今の私は、天涯孤独という奴ですね」
「お前はひとりで、生きていけるのか?」
私はニコリと営業スマイルで応える。
「大丈夫ですよ、ありがとうございます」
ライナーが小さく「そうか」とつぶやいて息をついた。
「……どうやら、無駄足になってしまったな。邪魔をした」
身を翻して店を出ていこうとするライナーに、私は声をかける。
「あ、お客さん! ちょっと待って?!」
ライナーがこちらに振り向き、私の言葉を待った。
「あのね、私の作った薬で良ければ、売ってあげられますよ?
『苦しみを取り除き、安らかになる薬』がご注文の品でいいんですよね?」
ライナーが私の目を、疑い深く見つめてきた。
「……お前が、魔法薬を作れるというのか」
私は上目遣いで、両手の指先を合わせながら応える。
「本当は、おばあちゃんから『まだ未熟だから、魔法を使ってはいけない』と言われてるんですけどね。
お客さんのお母さんを助けるためなら、おばあちゃんも許してくれると思うんです」
「それは、本当に母上を苦しみから解き放てる薬なのだな?」
「始めて作る魔法薬なので、自信はないですけど……たぶん大丈夫だと思います!
これから作成に入りますので、三日後くらいに取りに来てください」
ライナーが私の目を見つめて告げる。
「三日後だな? わかった。村に滞在して、三日後にまた来よう」
「ええ、お待ちしておりますね!」
彼は今度こそ店を出ていき、店内には私だけが取り残された。
「……よし、私の初めてのお客さんだし、頑張らないと!」
私は外のドアプレートを『閉店中』に裏返し、店の奥にある魔導工房へと向かった。
****
三日後、ライナーが朝から店にやってきた。
「魔法薬はできているか」
私は驚きながらライナーに応える。
「もちろんできてますけど……まだ開店前ですよ?
そんなに待ちきれなかったんですか?」
「当然だろう、母上の苦しみを早く終わらせて差し上げたい」
ライナーは、とっても情に篤い人みたいだ。
私は魔法薬の瓶を取り出し、カウンターの上に置いた。
「代金は大金貨一枚――と言いたいところですが、私が初めて作った魔法薬です。
サービスでお客さんには、金貨五百枚でいいですよ」
大金貨は金貨千枚分。普通は貴族や大商人が扱うような大金だ。
平民ならそれだけで、一生遊んで暮らせる。そんな金額。
さすがにライナーも目を見開いて驚いていた。
「それほど高いのか」
「おばあちゃんが『大金貨以外で売ってはいけない』って、口を酸っぱくして私に言ってました。
でも最初の薬くらい、半額サービスしてもいいかなって思うんです」
ライナーが懐の革袋をカウンターにおいて、私に告げる。
「今の手持ちは金貨百枚しかない。普通の魔法薬なら、これで充分に釣りが来るはずなんだがな。
これを前金にするから、その魔法薬を売ってくれないか。
残金は改めて、私が持って来よう」
「ええ、それで構いませんよ」
私は革袋の中身をカウンターに並べ、金貨の数を数え始めた。
ライナーが私を見て告げる。
「……目の下に隈がある。徹夜をしたのか」
私は金貨を数えながら応える。
「何度も失敗しちゃいましたからね。
でもきちんと間に合いましたし、結果オーライです。
――はい、金貨百枚。丁度ですね。前金として頂きます」
ライナーが大事そうに魔法薬の瓶を抱え、私に頭を下げて告げる。
「ありがとう、これで母上を苦しみから救って差し上げられる。
……お前の名前を、聞いてもいいか」
私はニッコリと営業スマイルで応える。
「マルティナです。マルティナ・ネルケが私の名前です」
「そうか、マルティナ。また会おう」
身を翻し、ドアベルを鳴らしながら店を出ていくライナーの背中を、私は最後まで見送っていた。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
答えられません、国家機密ですから
ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。
悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~
オレンジ方解石
ファンタジー
恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。
世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。
アウラは二年後に処刑されるキャラ。
桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
帝国後宮の精霊巫女~冷徹皇帝と落第令嬢~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
ウィンコット王国の出来損ない精霊巫女と呼ばれるトリシア。
彼女は公爵令嬢としても出来損ないと言われる落ちこぼれ貴族令嬢だった。
ある日、彼女と隣国クロムウェル帝国の皇帝キーファーとの婚姻が発表される。
突然の婚姻締結の報せに驚くトリシア。しかしウィンコット王国の国王は彼女に帝国行きを命じるのだった。
トリシアは帝国第三側妃として、後宮で皇帝に溺愛されつつ他の妃たちとの権力闘争に巻き込まれて行く。
敗戦国の元王子へ 〜私を追放したせいで貴国は我が帝国に負けました。私はもう「敵国の皇后」ですので、頭が高いのではないでしょうか?〜
六角
恋愛
「可愛げがないから婚約破棄だ」 王国の公爵令嬢コーデリアは、その有能さゆえに「鉄の女」と疎まれ、無邪気な聖女を選んだ王太子によって国外追放された。
極寒の国境で凍える彼女を拾ったのは、敵対する帝国の「氷の皇帝」ジークハルト。 「私が求めていたのは、その頭脳だ」 皇帝は彼女の才能を高く評価し、なんと皇后として迎え入れた!
コーデリアは得意の「物流管理」と「実務能力」で帝国を黄金時代へと導き、氷の皇帝から極上の溺愛を受けることに。 一方、彼女を失った王国はインフラが崩壊し、経済が破綻。焦った元婚約者は戦争を仕掛けてくるが、コーデリアの完璧な策の前に為す術なく敗北する。
和平交渉の席、泥まみれで土下座する元王子に対し、美しき皇后は冷ややかに言い放つ。 「頭が高いのではないでしょうか? 私はもう、貴国を支配する帝国の皇后ですので」
これは、捨てられた有能令嬢が、最強のパートナーと共に元祖国を「実務」で叩き潰し、世界一幸せになるまでの爽快な大逆転劇。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる