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第四章
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フェリクスを追い出した…その、数日の後の事。
新年を迎えてからはじめて、ライアンが訪ねてきた。
「エレナ、心配をさせてしまってすまなかった…それから、フェリクスの事も…君に任せたままになってしまった…本当ならもっと早く、私からフェリクスに告げるべきだったな…」
ライアンは、フェリクスが形ばかりの愛人であるアネリの事を、律儀に通い続けていたことを失念していた…と言ってもいい。
「フェリクスが、君が良くしてくれたと。ここと、領地にある家の名義をと頼んできたよ…」
「領地の家?」
「たぶん、未亡人だから家を追い出されたと思ったんじゃないのか?」
エレナはとまどった。事実に少し近い。
「珍しく苦しげな顔を見れたよ」
ライアンは苦笑した。
息子が、大人になったと実感させられた。
「フェリクスが幸せになると良いと心から思ってます…私は」
ライアンもうなずいた。
「ここにいたアネリ・メルヴィル夫人は消えるのね…」
ポツリとエレナは言った。
アネリはもう書類上もおらず、エレナ・ヘプバーンの名を取り戻している。フェリクスが来なくなる以上この居心地が良かったこの家も、もはやいれるはずはなかった。
「もうすぐすべての片がつく…。そうなれば、私と結婚をして、そして一緒に暮らそう…」
ライアンが囁き、エレナもそうしたいと願いうなずいた。
「待っているわ…あともう少し…」
何も出来ない自分が不甲斐ない…。
エリザベスの望みはヨーク・ブリッジの屋敷。それは今は人手にあったが、ライアンは持ち主には、いい条件で買うと言い、そこを手に入れた。
屋敷を購入するのに、お金はかかったものの、それはライアンには容易い事ともいえた。
離婚の件は、ジェラルドに頼んでいた根回しがあるので、エリザベスさえ条件を了解すればすぐにでも叶う。
弁護士のコリン・メージャーがエリザベスとの間に入り、様々な取り決めを行うと、離婚のサインをして終わりだ。
「エリザベスこれで離婚は成立した…だが、今フェリクスはまもなく婚約が決まるかも知れない…」
ライアンはエリザベスに告げた。
「それで何が言いたいのかしら?」
「離婚の公表と、別居はもうしばらく待ってほしい…頼む」
ライアンは頭を下げて頼んだ。
エリザベスの機嫌は途端に悪くなった…。
「フェリクスの婚約…貴方が奨めた娘よね…」
ライアンは眉をしかめた。
ライアンが奨めた娘、というところに何かしら不快感があるようだ。
「フェリクスは君の息子でもある。幸せを願うだろう?」
エリザベスは、ため息をつくと、
「フェリクス…あの子も貴族の男だわ…わたくしの父と、そして貴方と同じ」
きらりと目を向けられて
「フェリクスは私とは違う。高潔な魂の持ち主だ」
ライアンは反論した。
エリザベスとこれほど長く話す事は、これまでかつてにあっただろうか…
「どうかしら?わたくしの父だって、そんな風に見せていたわ…だけど…死んだのよ、愛人の所でね」
ライアンは肩を強ばらせた。
嫌悪感と憎悪の滲むエリザベスの顔。確か、エリザベスの父は、ライアンと結婚をする以前に亡くなっていた。だから、その真相も知らないし、それが本当ならそこから男に嫌悪感を抱いたのかと納得もいくように思えた。
「だからわたくしは父もあなたも、貴族の男なんて大嫌い」
憎しみの目を向けられても、浮気をしていた自分は仕方なく思えるが、フェリクスは違うと言いたい。
「エリザベス…」
「でもまあ、いいわ今年の社交シーズンが終わるまでは我慢して妻を演じてあげる。その文謝礼は頂くわよ」
高飛車に言い放つと、同じ空間にいるのすら耐えられないと、踵を返す
「わかった…」
とその背に返した。
エリザベスの根深い闇を感じたのははじめてかも知れない…。
しかし、なんとか説得は出来たし、正式に離婚も出来た…。
後味はよくないものの、結果は良好と言えた。
ライアンは、エレナに報告に行った。
「エレナ、エリザベスとの離婚が成立したよ」
エレナは息を飲んだ
「ただ、公表は今年の社交シーズンが終わるまではしない…それまでにフェリクスが婚約をしてほしいものだ…」
ライアンとエリザベスの離婚は、フェリクスの婚約に影響が出るかもしれない…。
エレナはうなずいた。
「エレナ…改めて言うよ…結婚してほしい…こんな年で初恋かと笑われるだろうが、愛する君と幸せになりたい」
エレナはゆっくりとうなずいて
「ありがとう、ライアン。貴方にばかりたくさん犠牲にさせてしまったわ…」
「私だってたくさん我慢をさせた…何年も…」
二人はゆっくりと唇をよせて、誓うようにキスをした。
ほとんどの障害が取り払われ、二人の未来はようやくわずかな陽が射してきたように思える。
その事に喜びを感じながら、二人だけの誓いの口づけを交わし、愛し合う一夜を過ごしたのだった。
新年を迎えてからはじめて、ライアンが訪ねてきた。
「エレナ、心配をさせてしまってすまなかった…それから、フェリクスの事も…君に任せたままになってしまった…本当ならもっと早く、私からフェリクスに告げるべきだったな…」
ライアンは、フェリクスが形ばかりの愛人であるアネリの事を、律儀に通い続けていたことを失念していた…と言ってもいい。
「フェリクスが、君が良くしてくれたと。ここと、領地にある家の名義をと頼んできたよ…」
「領地の家?」
「たぶん、未亡人だから家を追い出されたと思ったんじゃないのか?」
エレナはとまどった。事実に少し近い。
「珍しく苦しげな顔を見れたよ」
ライアンは苦笑した。
息子が、大人になったと実感させられた。
「フェリクスが幸せになると良いと心から思ってます…私は」
ライアンもうなずいた。
「ここにいたアネリ・メルヴィル夫人は消えるのね…」
ポツリとエレナは言った。
アネリはもう書類上もおらず、エレナ・ヘプバーンの名を取り戻している。フェリクスが来なくなる以上この居心地が良かったこの家も、もはやいれるはずはなかった。
「もうすぐすべての片がつく…。そうなれば、私と結婚をして、そして一緒に暮らそう…」
ライアンが囁き、エレナもそうしたいと願いうなずいた。
「待っているわ…あともう少し…」
何も出来ない自分が不甲斐ない…。
エリザベスの望みはヨーク・ブリッジの屋敷。それは今は人手にあったが、ライアンは持ち主には、いい条件で買うと言い、そこを手に入れた。
屋敷を購入するのに、お金はかかったものの、それはライアンには容易い事ともいえた。
離婚の件は、ジェラルドに頼んでいた根回しがあるので、エリザベスさえ条件を了解すればすぐにでも叶う。
弁護士のコリン・メージャーがエリザベスとの間に入り、様々な取り決めを行うと、離婚のサインをして終わりだ。
「エリザベスこれで離婚は成立した…だが、今フェリクスはまもなく婚約が決まるかも知れない…」
ライアンはエリザベスに告げた。
「それで何が言いたいのかしら?」
「離婚の公表と、別居はもうしばらく待ってほしい…頼む」
ライアンは頭を下げて頼んだ。
エリザベスの機嫌は途端に悪くなった…。
「フェリクスの婚約…貴方が奨めた娘よね…」
ライアンは眉をしかめた。
ライアンが奨めた娘、というところに何かしら不快感があるようだ。
「フェリクスは君の息子でもある。幸せを願うだろう?」
エリザベスは、ため息をつくと、
「フェリクス…あの子も貴族の男だわ…わたくしの父と、そして貴方と同じ」
きらりと目を向けられて
「フェリクスは私とは違う。高潔な魂の持ち主だ」
ライアンは反論した。
エリザベスとこれほど長く話す事は、これまでかつてにあっただろうか…
「どうかしら?わたくしの父だって、そんな風に見せていたわ…だけど…死んだのよ、愛人の所でね」
ライアンは肩を強ばらせた。
嫌悪感と憎悪の滲むエリザベスの顔。確か、エリザベスの父は、ライアンと結婚をする以前に亡くなっていた。だから、その真相も知らないし、それが本当ならそこから男に嫌悪感を抱いたのかと納得もいくように思えた。
「だからわたくしは父もあなたも、貴族の男なんて大嫌い」
憎しみの目を向けられても、浮気をしていた自分は仕方なく思えるが、フェリクスは違うと言いたい。
「エリザベス…」
「でもまあ、いいわ今年の社交シーズンが終わるまでは我慢して妻を演じてあげる。その文謝礼は頂くわよ」
高飛車に言い放つと、同じ空間にいるのすら耐えられないと、踵を返す
「わかった…」
とその背に返した。
エリザベスの根深い闇を感じたのははじめてかも知れない…。
しかし、なんとか説得は出来たし、正式に離婚も出来た…。
後味はよくないものの、結果は良好と言えた。
ライアンは、エレナに報告に行った。
「エレナ、エリザベスとの離婚が成立したよ」
エレナは息を飲んだ
「ただ、公表は今年の社交シーズンが終わるまではしない…それまでにフェリクスが婚約をしてほしいものだ…」
ライアンとエリザベスの離婚は、フェリクスの婚約に影響が出るかもしれない…。
エレナはうなずいた。
「エレナ…改めて言うよ…結婚してほしい…こんな年で初恋かと笑われるだろうが、愛する君と幸せになりたい」
エレナはゆっくりとうなずいて
「ありがとう、ライアン。貴方にばかりたくさん犠牲にさせてしまったわ…」
「私だってたくさん我慢をさせた…何年も…」
二人はゆっくりと唇をよせて、誓うようにキスをした。
ほとんどの障害が取り払われ、二人の未来はようやくわずかな陽が射してきたように思える。
その事に喜びを感じながら、二人だけの誓いの口づけを交わし、愛し合う一夜を過ごしたのだった。
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