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直接対決
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フェリクスに対して、大胆な行動をとってしまったことは、恥ずかしくいたたまれない気持ちになったけれど、決して後悔はしていなかった。
フェリクスに告げたとおり、ルナの心は彼のものだったから
けれど、どうしても確かめずには居られない…。
ルナは簡素なドレスを身につけると、そっと邸を抜け出した。貸し馬車を拾い、ウィリスハウスの近くで降り立った。
人通りのある昼過ぎの時間。
どうして、ほんとうに来てしまったんだろう。
ルナは帽子を深くかぶって、うつむきながら邸を伺い、門の前を通りすぎ、しばらく歩いては戻り、繰り返した。
どうしても、やはり尋ねる勇気は出なかった。
「…うちにご用なんでしょう?」
後ろから声をかけられ、ルナは飛び上がった。
振り向くと、アネリが居た。
「ずっと門の前を行きつ戻りつしてる女性が居ると聞いたの」
くすっとアネリは笑った。
「あっ…」
見られていたんだと、ルナは真っ赤になった。
「ごめんなさい。不審でしたね…」
「オペラの時のお礼、とおっしゃる訳ではないんでしょう?ちょうどお茶にするところでしたの。お入り下さい」
にこりと、アネリはルナの手をとり導いた。
アネリのお手製のファブリックたちで揃えられた室内はどこか温かみがあり、落ち着く部屋であった。
華美でも、質素でもない調度類は落ち着いた風情で居心地がよい。
「聞きたいことがあるのでしょう?」
そっとお茶を出しながらアネリが言った。
「フェリクス様は貴女を知ってるのに、声をかけませんでした…」
「オペラの時ね?」
「そうです、驚いた顔をしていました」
ルナは単刀直入に言うことに覚悟を決めた。
「貴女はちょっと知っているだけの人に会えば必ず声をかけるかしら?」
「…どうでしょう…」
「ねぇ、貴女が恋人と出掛けていて、恋人がちょっと知っているだけの未亡人にわざわざ声をかけたらどうする?」
「すぐにどんな関係か聞きます」
「そうね」
くすっとアネリは笑った
「貴女はとっても素直ね」
「この近所の人が貴女にはパトロンが居ると、夜に通う男性がいて、朝に1度みたその人は、若くて見目のよい貴公子だったと」
ルナはアネリをじっと見つめた。
「未亡人がこんなところで一人で住んでいれば色々な噂が立つものね」
くすっとアネリはまた笑った。
「ここの持ち主はウィンスレット公爵よ」
「え?」
「私の亡き夫は、ウィンスレット公爵の知人だったの。財産がなく路頭に迷っていたので、ここに住まわせてくれたの」
「つまり、パトロンはウィンスレット公爵、なのですか?」
「はたから見れば愛人だと言われても仕方ないわね。実際、金銭的な援助を受けているもの。ご子息のフェリクス卿とは誓って、貴女が疑うような関係はないわ」
アネリはきっぱりと言った。
「信じられないかしら?」
若い貴公子と言うのは…
「1度朝に、服が汚れたそうでここを思い出して来られたことがあったわ」
ルナはアネリのきっぱり言いきる話にほっとした。
「彼は、清廉潔白で誠実な青年だと思うわ。安心して?」
「あ、はい。安心しました…!」
ルナはにっこりと微笑んだ。
安心すると、アネリは魅力的な女性で、しっとりとした雰囲気や和むしぐさと話す口調。ルナはいかにどきどきとしながらここに来たかを説明していた。
応接間を出ると、応接間意外の部屋には布がかけられているのがわかった。
「あの、どこかに引っ越しを?」
「ええ、その予定なの」
アネリは微笑んだ
「レディ ルナ、色々とおしゃべりが出来て楽しかったわ。フェリクス卿とお幸せに」
にっこりときれいな笑みを見せて、ルナを送り出した。
ルナは晴れやかな気持ちで、家路についた。
フェリクスに告げたとおり、ルナの心は彼のものだったから
けれど、どうしても確かめずには居られない…。
ルナは簡素なドレスを身につけると、そっと邸を抜け出した。貸し馬車を拾い、ウィリスハウスの近くで降り立った。
人通りのある昼過ぎの時間。
どうして、ほんとうに来てしまったんだろう。
ルナは帽子を深くかぶって、うつむきながら邸を伺い、門の前を通りすぎ、しばらく歩いては戻り、繰り返した。
どうしても、やはり尋ねる勇気は出なかった。
「…うちにご用なんでしょう?」
後ろから声をかけられ、ルナは飛び上がった。
振り向くと、アネリが居た。
「ずっと門の前を行きつ戻りつしてる女性が居ると聞いたの」
くすっとアネリは笑った。
「あっ…」
見られていたんだと、ルナは真っ赤になった。
「ごめんなさい。不審でしたね…」
「オペラの時のお礼、とおっしゃる訳ではないんでしょう?ちょうどお茶にするところでしたの。お入り下さい」
にこりと、アネリはルナの手をとり導いた。
アネリのお手製のファブリックたちで揃えられた室内はどこか温かみがあり、落ち着く部屋であった。
華美でも、質素でもない調度類は落ち着いた風情で居心地がよい。
「聞きたいことがあるのでしょう?」
そっとお茶を出しながらアネリが言った。
「フェリクス様は貴女を知ってるのに、声をかけませんでした…」
「オペラの時ね?」
「そうです、驚いた顔をしていました」
ルナは単刀直入に言うことに覚悟を決めた。
「貴女はちょっと知っているだけの人に会えば必ず声をかけるかしら?」
「…どうでしょう…」
「ねぇ、貴女が恋人と出掛けていて、恋人がちょっと知っているだけの未亡人にわざわざ声をかけたらどうする?」
「すぐにどんな関係か聞きます」
「そうね」
くすっとアネリは笑った
「貴女はとっても素直ね」
「この近所の人が貴女にはパトロンが居ると、夜に通う男性がいて、朝に1度みたその人は、若くて見目のよい貴公子だったと」
ルナはアネリをじっと見つめた。
「未亡人がこんなところで一人で住んでいれば色々な噂が立つものね」
くすっとアネリはまた笑った。
「ここの持ち主はウィンスレット公爵よ」
「え?」
「私の亡き夫は、ウィンスレット公爵の知人だったの。財産がなく路頭に迷っていたので、ここに住まわせてくれたの」
「つまり、パトロンはウィンスレット公爵、なのですか?」
「はたから見れば愛人だと言われても仕方ないわね。実際、金銭的な援助を受けているもの。ご子息のフェリクス卿とは誓って、貴女が疑うような関係はないわ」
アネリはきっぱりと言った。
「信じられないかしら?」
若い貴公子と言うのは…
「1度朝に、服が汚れたそうでここを思い出して来られたことがあったわ」
ルナはアネリのきっぱり言いきる話にほっとした。
「彼は、清廉潔白で誠実な青年だと思うわ。安心して?」
「あ、はい。安心しました…!」
ルナはにっこりと微笑んだ。
安心すると、アネリは魅力的な女性で、しっとりとした雰囲気や和むしぐさと話す口調。ルナはいかにどきどきとしながらここに来たかを説明していた。
応接間を出ると、応接間意外の部屋には布がかけられているのがわかった。
「あの、どこかに引っ越しを?」
「ええ、その予定なの」
アネリは微笑んだ
「レディ ルナ、色々とおしゃべりが出来て楽しかったわ。フェリクス卿とお幸せに」
にっこりときれいな笑みを見せて、ルナを送り出した。
ルナは晴れやかな気持ちで、家路についた。
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