22 / 26
公爵令息の独白⑤
しおりを挟む
ルナは完璧な相手だ。
窓越しの光に照らされたルナの髪と肌は、幻想的に輪郭を輝かせて、その姿を浮かび上がらせた。
白く透き通る肌に触れて口づけたい欲求をフェリクスにもたらした。
そんなフェリクスの葛藤を、知ってか知らずか恐らくなにも計算なく、フェリクスの手を持って触れされた。
すべらかな肌と早鐘を打つルナの鼓動。そして、そのほどよい弾力。
いったいどれだけの男がこの状況で我慢が出来るというのか…!
唇を合わせ、抱き寄せたルナの体はしっくりとフェリクスに寄り添った。キスをするのにちょうどよい高さにあるルナの唇は、フェリクスの唇をまるでとろけさせるように柔らかで、どんな美食より甘美なものだった。
ルナの体香がフェリクスの鼻腔をくすぐり、フェリクスはその先に進みたくなる。
自制心を働かせて、必死に自分を叱咤して引き剥がした。
他ならぬ、ルナを自分から守るために。
万が一ここで二人きりになっていたことが、他人に知られたなら、男の自分はともかくルナには致命的な傷がついてしまう。
責任をとる覚悟ならもちろんあるが、そういう形でルナと結ばれるのはフェリクスの本意ではない。
ルナが立ち去った後、北の回廊に独り残ったフェリクスは、どさりと力を抜いて、座り込んだ。
礼装が皺になろうがもはやどうでも良かった。
まさかルナの方からあんな風に、愛を伝えられようとは、思いもしなかった。
先制パンチをくらったような気分でもあり、恍惚な気分でもあった。
自分がルナに対して、自制が働かないという自覚はあったというのに、ルナの言葉通り迷うことなくここにきていた。
ルナの言葉のひとつずつが、フェリクスの心を揺さぶり、仕草のひとつずつが身体中の血を熱くさせ、触れたその部分から理性を麻痺させた。
ルナの存在そのものが、フェリクスを捉えて離さない。
なるほど、ルナはブロンテ家の血を引いている。
気をつけろ、と父は言ったが、無理そうな話だ。
最初からずっと振り回され続けている。
ここまでされて、ウジウジしていては男ではない。
ふっとフェリクスは笑った。
まさに清々しく完敗した。彼女は見た目よりそして本人が思っているよりずっと強い。
何よりも、ルナと接すれば大概が彼女を好きになるだろう。
悔しいがライアンの見る目は確かだった。
フェリクスが愛し、そして公爵夫人として並び立つのにふさわしい…。
フェリクスは、まっすぐ広間には戻らずにシガレットルームに向かい煙草に火をつけた。
ふらりと入ってきたライアンが隣に並び同じように火をつけた。
「ルナを邸に招待します、私の紹介で。」
ライアンが微笑む
「父上に言われて、ではない事をこの場ではっきりとお伝えします」
「そうか楽しみにしている」
窓越しの光に照らされたルナの髪と肌は、幻想的に輪郭を輝かせて、その姿を浮かび上がらせた。
白く透き通る肌に触れて口づけたい欲求をフェリクスにもたらした。
そんなフェリクスの葛藤を、知ってか知らずか恐らくなにも計算なく、フェリクスの手を持って触れされた。
すべらかな肌と早鐘を打つルナの鼓動。そして、そのほどよい弾力。
いったいどれだけの男がこの状況で我慢が出来るというのか…!
唇を合わせ、抱き寄せたルナの体はしっくりとフェリクスに寄り添った。キスをするのにちょうどよい高さにあるルナの唇は、フェリクスの唇をまるでとろけさせるように柔らかで、どんな美食より甘美なものだった。
ルナの体香がフェリクスの鼻腔をくすぐり、フェリクスはその先に進みたくなる。
自制心を働かせて、必死に自分を叱咤して引き剥がした。
他ならぬ、ルナを自分から守るために。
万が一ここで二人きりになっていたことが、他人に知られたなら、男の自分はともかくルナには致命的な傷がついてしまう。
責任をとる覚悟ならもちろんあるが、そういう形でルナと結ばれるのはフェリクスの本意ではない。
ルナが立ち去った後、北の回廊に独り残ったフェリクスは、どさりと力を抜いて、座り込んだ。
礼装が皺になろうがもはやどうでも良かった。
まさかルナの方からあんな風に、愛を伝えられようとは、思いもしなかった。
先制パンチをくらったような気分でもあり、恍惚な気分でもあった。
自分がルナに対して、自制が働かないという自覚はあったというのに、ルナの言葉通り迷うことなくここにきていた。
ルナの言葉のひとつずつが、フェリクスの心を揺さぶり、仕草のひとつずつが身体中の血を熱くさせ、触れたその部分から理性を麻痺させた。
ルナの存在そのものが、フェリクスを捉えて離さない。
なるほど、ルナはブロンテ家の血を引いている。
気をつけろ、と父は言ったが、無理そうな話だ。
最初からずっと振り回され続けている。
ここまでされて、ウジウジしていては男ではない。
ふっとフェリクスは笑った。
まさに清々しく完敗した。彼女は見た目よりそして本人が思っているよりずっと強い。
何よりも、ルナと接すれば大概が彼女を好きになるだろう。
悔しいがライアンの見る目は確かだった。
フェリクスが愛し、そして公爵夫人として並び立つのにふさわしい…。
フェリクスは、まっすぐ広間には戻らずにシガレットルームに向かい煙草に火をつけた。
ふらりと入ってきたライアンが隣に並び同じように火をつけた。
「ルナを邸に招待します、私の紹介で。」
ライアンが微笑む
「父上に言われて、ではない事をこの場ではっきりとお伝えします」
「そうか楽しみにしている」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる