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謝りにきました
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ウィンスレット家とアシュフォード家は、近所…と言えなくもなかった。馬車なら少し走る程度。
ただ、高位の貴族の家は敷地が広いため歩くには遠い距離があった。
ジョージアナは、あまり訪れたことのないアシュフォード家の門をくぐり、馬車から降りた。
緊張しつつも、ベルを鳴らすと執事が応対に出てくる。
玄関ホールに通されたジョージアナは、
「ジョージアナ・ウィンスレットです。フレデリック卿にお会いしたくお訪ね致しました」
ジョージアナは名刺のカードを渡した。上品な紙を使ったそのカードはお気に入りのものだった。
「レディ ジョージアナ、生憎フレデリック様は外出中でございます。しばらくお待ちになりますか?お席をご用意させて頂きます」
勢いこんできたのに、留守だなんて…。
待ち伏せみたいにして、どんな顔で待っていればいいの?
ジョージアナは急に居たたまれなくなり、タイミングの悪い自分が嫌になる。
「いいえ、結構ですわ。また次の機会に…」
屋敷内から出ると、ウィンスレット家の御者はアシュフォード家の使用人と話をしている。
使用人同士仲が良いのだろう…。
ジョージアナは、もう帰るから、と楽しそうな所を引き剥がすのも、そして何の成果もなく帰るのも侘しく、ふらりと歩き出した。
少しばかり散歩でもしよう…
ジョージアナは、アシュフォードの敷地をふらりと歩き出した。
タウンハウスの前の庭をでると、ウィンスレット家の方につながる馬車道と、そして、所々に馬車道から逸れる小道があった。
時間を潰そうとジョージアナはその小道の方へ向かい、そして少し奥の方へ歩くと木陰の中に小川がさらさらと流れていた。
心が洗われるかのようなせせらぎに、ジョージアナは何故か泣けてきた。
この辺りは社交場でもなんでもなく、人通りは全くない…。
「…なにをやってるんだろう…本当に情けない…」
ジョージアナは、拭うこともなく涙が頬を伝うままに立ち尽くしていた。
「どうしてこうなるのかしら?どうして何も上手くいかない…」
公爵令嬢という肩書き…それがなかったら?ジョージアナはもっと素直な少女になれていただろうか?
公爵令嬢らしく振る舞えば振る舞うほど。
いつも微笑みを絶やさず、涙を見せず、弱みを見せず、つけ入らせず、貴族らしく振る舞うこと。
母の教えは守ってきたのに…。
誰もがジョージアナを、褒め称えた。美しい公爵令嬢、とても教養のある素晴らしいレディらしいレディだと。
なのにどうして今はこんなに惨めな気持ちなの?
公爵令嬢だということ、レディらしいことがどんな役にたったというのだろう。
みんな幸せそうにしていて、ジョージアナは一人きり。それがすべての答えだとそう思った。
「謝りに来たら留守だなんて…。運にも見放されてるのね…」
ジョージアナは思いきり泣きたい気持ちが押し寄せて、スカートのすそを押さえて、そっと座った。
泣いた事なんて本当に久しぶりだ。
鼻も喉も熱くなって、頬は涙で濡れている。
今は思いきり泣いてしまえ…。
ここには誰もいない。ジョージアナ一人きり…。
背後でカサリと音を立てたのは、ひとしきり泣いて少しばかり気持ちが落ち着いた頃。
慌てて振り向くと、そこには…
銀髪に青い瞳…。驚いた顔のフレデリック…。
「ジョージアナ…?」
「ち、違うの。泣いてなんかないわ、目にゴミが入ったのよ」
慌てて立ち上がり、バッグからハンカチを出して顔を押さえた。
こういう所が可愛いげがないんだわ…きっと…。
「…さっき帰宅したら、ジョージアナが来ていたと聞いて、なのにまだ馬車があったから…探しに来た…」
わざわざ…ジョージアナを探しに来たと?
「どうして?探しにきたの?わたくしの事なんてどうでもいいのでしょう…?」
ああ、また…。
フレデリックは少し困った顔をした。
「気にはなるさ。昨日、君を傷つけたと思ったから…、今日どうして俺を訪ねてきたのかと」
フレデリックの整った顔が自嘲がちに歪む。
「邪魔をしたなら悪かった…」
と横を向いた。
どうしよう…また行ってしまう?
なんて言えっていっていた?
そうだ、あれだ
「ま、待ってフレデリック…!」
フレデリックのフロックコートの袖を掴んだ。
「謝りに、来たの」
勢いで口にした。
たったそれだけの言葉に、全身の力を振り絞った気分で息切れがした。
「…うん…」
フレデリックはそこにちゃんと留まり、ジョージアナを見た。
「これまで本当に、ちゃんと考えて見ていなくて…フレデリックが側にいるのが当たり前みたいに思っていて…本当にごめんなさい…」
「…うん…」
「ちゃんと、今から真剣に考えるから、もう少しだけ待って欲しいの。だから…」
ジョージアナは息を整えた。
「だから…わたくしを嫌いにならないで…」
…これって謝ってる?
「…ジョージアナ…」
フレデリックはジョージアナに完全に体を向けた。
「…ちゃんと可愛く出来るんだ…」
くすっとフレデリックが笑った
「な、なんで笑うのよ。わたくしは必死なのよ…!」
笑われてジョージアナは急に恥ずかしくなる。間違えたのかもしれない。
「昨日の事は俺も謝りたかった。親たちにせっつかれて、ついジョージアナにきつく言ってしまった…悪かったよ」
思わぬ謝罪の返しに、ジョージアナはつんと横を向いた。
「わたくしから去って行って、本当に…!」
…何をいうつもり?ジョージアナ
「本当に?なに?ジョージアナ…」
「なんでもないわ…とりあえず謝ったのだから、これまで通り仲良くしてくれるでしょう?」
ジョージアナはちらりと横目でフレデリックを見上げた。真っ直ぐに見ることはとても出来なかった。
慣れない言葉をいい、そわそわしていると、フレデリックは面白そうにジョージアナを見つめていた。
「…ふぅん?」
フレデリックは笑うと、
身を少し屈めて、ジョージアナの唇にフレデリックの唇を合わせた。
…えっ?…
なにこれ…
柔らかな感触は意外なほどの心地よい物だった。
これは!ライアンとエレナがしていたキスではないか!!
ジョージアナは慌ててフレデリックを押した
「な、何をするのよ!」
「仲直りのキス」
しれっとフレデリックは言った。
「これまで通りかどうかはわからないけれど、ジョージアナがとてつもなくうぶで、不器用だって事がわかったからね?」
「…う、うぶって。不器用って…!」
「キス1つで真っ赤だよ?ジョージアナ」
「……っ!」
ジョージアナは慌てて頬に手を当てた。
「それに…こんなところで一人きりで泣いてるなんて不器用過ぎるだろう?」
フレデリックはぐいっと再び近づくと
「そういうの、可愛いと思うよジョージアナ」
と耳元で囁かれて、再びジョージアナは真っ赤になった。
それをみてフレデリックは肩を震わせて笑った。
とにかく!
仲直りは出来た!
とジョージアナはさっさと歩き出した。
「…も、もう帰るわ!」
「はいはい、わざわざあばら屋にお出ましいただき、有り難き幸せにて、姫をお送りさせて頂きますよ」
フレデリックがジョージアナの手を取って、歩き出した。
フレデリックはニヤニヤ笑ってご機嫌だった…。
ただ、高位の貴族の家は敷地が広いため歩くには遠い距離があった。
ジョージアナは、あまり訪れたことのないアシュフォード家の門をくぐり、馬車から降りた。
緊張しつつも、ベルを鳴らすと執事が応対に出てくる。
玄関ホールに通されたジョージアナは、
「ジョージアナ・ウィンスレットです。フレデリック卿にお会いしたくお訪ね致しました」
ジョージアナは名刺のカードを渡した。上品な紙を使ったそのカードはお気に入りのものだった。
「レディ ジョージアナ、生憎フレデリック様は外出中でございます。しばらくお待ちになりますか?お席をご用意させて頂きます」
勢いこんできたのに、留守だなんて…。
待ち伏せみたいにして、どんな顔で待っていればいいの?
ジョージアナは急に居たたまれなくなり、タイミングの悪い自分が嫌になる。
「いいえ、結構ですわ。また次の機会に…」
屋敷内から出ると、ウィンスレット家の御者はアシュフォード家の使用人と話をしている。
使用人同士仲が良いのだろう…。
ジョージアナは、もう帰るから、と楽しそうな所を引き剥がすのも、そして何の成果もなく帰るのも侘しく、ふらりと歩き出した。
少しばかり散歩でもしよう…
ジョージアナは、アシュフォードの敷地をふらりと歩き出した。
タウンハウスの前の庭をでると、ウィンスレット家の方につながる馬車道と、そして、所々に馬車道から逸れる小道があった。
時間を潰そうとジョージアナはその小道の方へ向かい、そして少し奥の方へ歩くと木陰の中に小川がさらさらと流れていた。
心が洗われるかのようなせせらぎに、ジョージアナは何故か泣けてきた。
この辺りは社交場でもなんでもなく、人通りは全くない…。
「…なにをやってるんだろう…本当に情けない…」
ジョージアナは、拭うこともなく涙が頬を伝うままに立ち尽くしていた。
「どうしてこうなるのかしら?どうして何も上手くいかない…」
公爵令嬢という肩書き…それがなかったら?ジョージアナはもっと素直な少女になれていただろうか?
公爵令嬢らしく振る舞えば振る舞うほど。
いつも微笑みを絶やさず、涙を見せず、弱みを見せず、つけ入らせず、貴族らしく振る舞うこと。
母の教えは守ってきたのに…。
誰もがジョージアナを、褒め称えた。美しい公爵令嬢、とても教養のある素晴らしいレディらしいレディだと。
なのにどうして今はこんなに惨めな気持ちなの?
公爵令嬢だということ、レディらしいことがどんな役にたったというのだろう。
みんな幸せそうにしていて、ジョージアナは一人きり。それがすべての答えだとそう思った。
「謝りに来たら留守だなんて…。運にも見放されてるのね…」
ジョージアナは思いきり泣きたい気持ちが押し寄せて、スカートのすそを押さえて、そっと座った。
泣いた事なんて本当に久しぶりだ。
鼻も喉も熱くなって、頬は涙で濡れている。
今は思いきり泣いてしまえ…。
ここには誰もいない。ジョージアナ一人きり…。
背後でカサリと音を立てたのは、ひとしきり泣いて少しばかり気持ちが落ち着いた頃。
慌てて振り向くと、そこには…
銀髪に青い瞳…。驚いた顔のフレデリック…。
「ジョージアナ…?」
「ち、違うの。泣いてなんかないわ、目にゴミが入ったのよ」
慌てて立ち上がり、バッグからハンカチを出して顔を押さえた。
こういう所が可愛いげがないんだわ…きっと…。
「…さっき帰宅したら、ジョージアナが来ていたと聞いて、なのにまだ馬車があったから…探しに来た…」
わざわざ…ジョージアナを探しに来たと?
「どうして?探しにきたの?わたくしの事なんてどうでもいいのでしょう…?」
ああ、また…。
フレデリックは少し困った顔をした。
「気にはなるさ。昨日、君を傷つけたと思ったから…、今日どうして俺を訪ねてきたのかと」
フレデリックの整った顔が自嘲がちに歪む。
「邪魔をしたなら悪かった…」
と横を向いた。
どうしよう…また行ってしまう?
なんて言えっていっていた?
そうだ、あれだ
「ま、待ってフレデリック…!」
フレデリックのフロックコートの袖を掴んだ。
「謝りに、来たの」
勢いで口にした。
たったそれだけの言葉に、全身の力を振り絞った気分で息切れがした。
「…うん…」
フレデリックはそこにちゃんと留まり、ジョージアナを見た。
「これまで本当に、ちゃんと考えて見ていなくて…フレデリックが側にいるのが当たり前みたいに思っていて…本当にごめんなさい…」
「…うん…」
「ちゃんと、今から真剣に考えるから、もう少しだけ待って欲しいの。だから…」
ジョージアナは息を整えた。
「だから…わたくしを嫌いにならないで…」
…これって謝ってる?
「…ジョージアナ…」
フレデリックはジョージアナに完全に体を向けた。
「…ちゃんと可愛く出来るんだ…」
くすっとフレデリックが笑った
「な、なんで笑うのよ。わたくしは必死なのよ…!」
笑われてジョージアナは急に恥ずかしくなる。間違えたのかもしれない。
「昨日の事は俺も謝りたかった。親たちにせっつかれて、ついジョージアナにきつく言ってしまった…悪かったよ」
思わぬ謝罪の返しに、ジョージアナはつんと横を向いた。
「わたくしから去って行って、本当に…!」
…何をいうつもり?ジョージアナ
「本当に?なに?ジョージアナ…」
「なんでもないわ…とりあえず謝ったのだから、これまで通り仲良くしてくれるでしょう?」
ジョージアナはちらりと横目でフレデリックを見上げた。真っ直ぐに見ることはとても出来なかった。
慣れない言葉をいい、そわそわしていると、フレデリックは面白そうにジョージアナを見つめていた。
「…ふぅん?」
フレデリックは笑うと、
身を少し屈めて、ジョージアナの唇にフレデリックの唇を合わせた。
…えっ?…
なにこれ…
柔らかな感触は意外なほどの心地よい物だった。
これは!ライアンとエレナがしていたキスではないか!!
ジョージアナは慌ててフレデリックを押した
「な、何をするのよ!」
「仲直りのキス」
しれっとフレデリックは言った。
「これまで通りかどうかはわからないけれど、ジョージアナがとてつもなくうぶで、不器用だって事がわかったからね?」
「…う、うぶって。不器用って…!」
「キス1つで真っ赤だよ?ジョージアナ」
「……っ!」
ジョージアナは慌てて頬に手を当てた。
「それに…こんなところで一人きりで泣いてるなんて不器用過ぎるだろう?」
フレデリックはぐいっと再び近づくと
「そういうの、可愛いと思うよジョージアナ」
と耳元で囁かれて、再びジョージアナは真っ赤になった。
それをみてフレデリックは肩を震わせて笑った。
とにかく!
仲直りは出来た!
とジョージアナはさっさと歩き出した。
「…も、もう帰るわ!」
「はいはい、わざわざあばら屋にお出ましいただき、有り難き幸せにて、姫をお送りさせて頂きますよ」
フレデリックがジョージアナの手を取って、歩き出した。
フレデリックはニヤニヤ笑ってご機嫌だった…。
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