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ジャッジメント
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一ヶ月後、サキュバス王国、宮廷城内——。
全ての司法手続きが終わり、玉座の間にアーチェ・レガイロが連行されて来た。
両手を、背中で手錠に拘束され、首輪をされて鎖に繋がれた状態だ。サキュバスの警察官が両側にいて一人が鎖を持っている。
玉座に座る、サファイア・テレジア女王の前に両膝を突かされた。
「貴様の国、ドイツを含む全ての国で、被害者も共犯に堕ちた者も、我が王国での厳罰を望んだ」
声も表情も冷淡にサファイア・テレジア女王は言い放つ。全ての感情を殺しているのだろう。
被害者か加害者が魔人だった場合、若しくは人間が魔人の犯罪に加担していた場合は、魔界で裁く事が可能になる。どの場合でも最優先は被害者の同意だ。現状、多くの被害者は、魔界の方が遥かに刑罰が重い為、魔界での裁きを選択している。
「誤解なんです……。嵌められた、私も被害者なんですっ」
ガタガタと震えながらアーチェ・レガイロは弁解する。
「裁判長、アンティファクトの使用許可を——」
目前のアーチェ・レガイロに、女王は目もくれず、向かって右側に並んで座る裁判官に命じた。
「許可します」
事務的な態度で裁判長は承諾した。
玉座の間には三人の裁判官と二人の検察官が立ち会っていた。他に刑務官が二人と、シェリー・ミッシェルとサリノ・セシル近衛隊長がいる。
近衛隊長が近付き、アーチェ・レガイロの顎を乱暴に右手で掴んだ。左手の中指を立て魔方陣を見せる。
「……全てお調べの通りです。いい金儲けを思い付き、ドラキュラに協力をお願いしたら、王女の誘拐を踏み絵にされました」
操られ、焦りの表情で真実を自白した。
「裁判長、焼印を——」
一瞬、女王は顔を引き攣らせたが冷徹に命じた。
「承諾します。刑は確定しました」
裁判長がガベルを叩いた。
燃えている焼きごてが付いた棒を持つ刑務官がアーチェ・レガイロに近付く。
見た瞬間に、アーチェ・レガイロは泣き叫び女王に許しを乞う。……が、女王は全く気に留めずに玉座に座っている。
「待って下さいっ!」
シェリーが止めに入った。
「助けてっ! 助けて下さいっ‼︎ 誤解なんだっ。どうか慈悲をっ!」
希望が見えたアーチェ・レガイロは泣きながらシェリーに助けを乞う。
「私にやらせて下さいっ」
シェリーの発言がアーチェ・レガイロを絶望の底に打ち付ける。
「……許可します」
裁判長は目で女王を窺ったが無反応だった。是非が分からないまま裁判長は許可を下した。
シェリーには個人的な恨みもあった。
誘拐された後、感情的に捲くし立て当たり散らしてしまった。その後、責任を取り除隊したと聞き、激しく後悔した。何も知らず、自責の念に苛まれていたと知ると、腹正しくてならない。
——シャツが裂かれた。
煙が上がり、心臓の上に焼印が押される。皮膚の焼ける音と共に耐え難い悲鳴がこだまする。
この焼印を押されると、刑罰からは逃れられない魔術に掛かる。
「これから刑期は五十年——。何度も死ぬ拷問死刑だ」
冷徹に刑務官の一人が告げる。業火の苦悶と絶望に覆われたアーチェ・レガイロは、力無く鎖に引き摺られ連れて行かれた。
「セシル近衛隊長、藤井大臣にアポを——。まだ、インフラ設備が不充分な国の、インフラ事業を斡旋したい」
何時も通りの余裕溢れる薄笑みを見せる。女王は軽やかに命じた。
「承知致しました」
相変わらずの無表情で言う。近衛隊長は人形の様に敬礼した。
「名案ですね。藤井大臣は信用出来るし、日本の技術は優秀で確かな物ですから。通貨価値は、日本の三倍から五倍ですし、日本からも大変感謝されますね」
裁判長が笑顔で称賛した。
人間界との貿易は、サキュバス王国が主導してマーケットを展開している。仲介を受け持ったサキュバス王国は、莫大な国益を得て多大な恩を売った。
アーチェ・レガイロは、この貿易から発案し、犯罪を企てていた。
全ての司法手続きが終わり、玉座の間にアーチェ・レガイロが連行されて来た。
両手を、背中で手錠に拘束され、首輪をされて鎖に繋がれた状態だ。サキュバスの警察官が両側にいて一人が鎖を持っている。
玉座に座る、サファイア・テレジア女王の前に両膝を突かされた。
「貴様の国、ドイツを含む全ての国で、被害者も共犯に堕ちた者も、我が王国での厳罰を望んだ」
声も表情も冷淡にサファイア・テレジア女王は言い放つ。全ての感情を殺しているのだろう。
被害者か加害者が魔人だった場合、若しくは人間が魔人の犯罪に加担していた場合は、魔界で裁く事が可能になる。どの場合でも最優先は被害者の同意だ。現状、多くの被害者は、魔界の方が遥かに刑罰が重い為、魔界での裁きを選択している。
「誤解なんです……。嵌められた、私も被害者なんですっ」
ガタガタと震えながらアーチェ・レガイロは弁解する。
「裁判長、アンティファクトの使用許可を——」
目前のアーチェ・レガイロに、女王は目もくれず、向かって右側に並んで座る裁判官に命じた。
「許可します」
事務的な態度で裁判長は承諾した。
玉座の間には三人の裁判官と二人の検察官が立ち会っていた。他に刑務官が二人と、シェリー・ミッシェルとサリノ・セシル近衛隊長がいる。
近衛隊長が近付き、アーチェ・レガイロの顎を乱暴に右手で掴んだ。左手の中指を立て魔方陣を見せる。
「……全てお調べの通りです。いい金儲けを思い付き、ドラキュラに協力をお願いしたら、王女の誘拐を踏み絵にされました」
操られ、焦りの表情で真実を自白した。
「裁判長、焼印を——」
一瞬、女王は顔を引き攣らせたが冷徹に命じた。
「承諾します。刑は確定しました」
裁判長がガベルを叩いた。
燃えている焼きごてが付いた棒を持つ刑務官がアーチェ・レガイロに近付く。
見た瞬間に、アーチェ・レガイロは泣き叫び女王に許しを乞う。……が、女王は全く気に留めずに玉座に座っている。
「待って下さいっ!」
シェリーが止めに入った。
「助けてっ! 助けて下さいっ‼︎ 誤解なんだっ。どうか慈悲をっ!」
希望が見えたアーチェ・レガイロは泣きながらシェリーに助けを乞う。
「私にやらせて下さいっ」
シェリーの発言がアーチェ・レガイロを絶望の底に打ち付ける。
「……許可します」
裁判長は目で女王を窺ったが無反応だった。是非が分からないまま裁判長は許可を下した。
シェリーには個人的な恨みもあった。
誘拐された後、感情的に捲くし立て当たり散らしてしまった。その後、責任を取り除隊したと聞き、激しく後悔した。何も知らず、自責の念に苛まれていたと知ると、腹正しくてならない。
——シャツが裂かれた。
煙が上がり、心臓の上に焼印が押される。皮膚の焼ける音と共に耐え難い悲鳴がこだまする。
この焼印を押されると、刑罰からは逃れられない魔術に掛かる。
「これから刑期は五十年——。何度も死ぬ拷問死刑だ」
冷徹に刑務官の一人が告げる。業火の苦悶と絶望に覆われたアーチェ・レガイロは、力無く鎖に引き摺られ連れて行かれた。
「セシル近衛隊長、藤井大臣にアポを——。まだ、インフラ設備が不充分な国の、インフラ事業を斡旋したい」
何時も通りの余裕溢れる薄笑みを見せる。女王は軽やかに命じた。
「承知致しました」
相変わらずの無表情で言う。近衛隊長は人形の様に敬礼した。
「名案ですね。藤井大臣は信用出来るし、日本の技術は優秀で確かな物ですから。通貨価値は、日本の三倍から五倍ですし、日本からも大変感謝されますね」
裁判長が笑顔で称賛した。
人間界との貿易は、サキュバス王国が主導してマーケットを展開している。仲介を受け持ったサキュバス王国は、莫大な国益を得て多大な恩を売った。
アーチェ・レガイロは、この貿易から発案し、犯罪を企てていた。
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