4 / 78
四話『水中に心を映せるか』
しおりを挟む
先生と約束した翌週の土曜日。私たちは水族館に来ていた。
白壁に囲まれた四角形。三方に分かれたガラス張りの入り口。大きな柱は檻にも見える。
シンプルですっきりしたデザイン。人もあんまりいない。シーズンじゃないからかな。それとも時間? 私にとってはありがたいような、そうでもないような。
「綺麗なお魚さんに会えるでしょうか。楽しみで昨夜はあまり眠れませんでした」
付き添いの形で来てくれた夢国さんと七津さん。今日は七津さんよりも夢国さんの方が元気だ。
付き合わせちゃって申し訳ないって思ってたけど、楽しそうで良かった。
「あはは。あーちゃん趣旨忘れてそう。ブラウンのワンピースかわいいね、古町さん。デザインも素敵だよ~」
「ありがとう、七津さん。お気に入りなんだ」
ハイテンションな夢国さんと対照的に、今日の七津さんは物静かだ。満足そうな笑顔で夢国さんを見つめている。
二人は恋人同士なだし、相手が嬉しそうだと、自分も嬉しくなるよね。
楽しい時間を予感しながら、私たちは建物の近くで待機していた。
「しかし、ターゲットが遅刻とは感心しませんわね」
「もうちょっとで来ると思うけど」
先生が約束の時間を過ぎてもまだ来ていない。焦らされる恋人気分が半分。来てくれないかもしれない不安が半分。スマホの時計を見る回数が徐々に増えていく。
「そんなむくれないでよ、あーちゃん。顔が怖い怖いだよ~」
七津さんが後ろから覆い被さり、夢国さんのほっぺたをムニムニしている。夢国さんはいつものように抵抗していたけれど、あまり強く抵抗していなかった。
それがわかっていたのか、七津さんはギュッと抱きしめた。
そっか。二人は私に協力するために来てくれたけど、二人にとってもこれはデートになるんだ。すぐ気がついてもいいのに、私って鈍いな。
先輩カップルを微笑ましい気持ちで見ていると、こちらに人影が一つ近づいてきた。
ショートの黒髪。すらっとした体格、少し悪そうな吊り目。ベージュのロングカーディガン、黒いシャツにダークブラウンのフレアパンツ。
「悪い、待たせたな」
その声を聞いただけで、心臓がドクンと跳ねた。
初めて会ったときは男装してたけれど、今日はレーディースファッション。新しい先生の姿に、つい見惚れてしまう。
「もう。夢国さん、すごい楽しみにしてたんですからね」
うるさい鼓動を気づかれないように、なんでもないフリをする。面と向かって話すには時間がかかりそうだ。
先生から視線を逸らして二人を見ると、二人して固まっていた。状況が理解できていないような顔をしている。
「八戸波先生、なぜこちらに?」
「引率だよ。なんだ、聞いてなかったか?」
二人には事前に話して、というか二人が発端みたいな感じなんだけど、どうしたんだろう。
「あーちゃん、これってさ……」
「はい。……でも確かに……」
二人は私と先生から離れて、ヒソヒソと話している。話の内容は聞き取れないものの、困惑と同時に納得しているように見える。
何かおかしいとこあったかな。二人とも応援してくれるって言ってたけど。
「すみません。少々、脳の処理に不具合があっただけですわ。おほほ」
「え、えへへ」
確実に二人にとって、何か想定外の事態が起きたことだけはわかった。夢国さんは「おほほ」とは笑わないし、七津さんがそれにフォローを入れないのもおかしい。
(ここに来て相手を間違えてたとか言えませんわ)
(三条会長のことだとばっかり。話聞くのって大事)
先生も状況がよくわからないようで、首を傾げている。
何か支障がありそうな感じはしないから、あんまり気にしないでも良さそうだけど、大丈夫かな?
不安に駆られていると、夢国さんの瞳が普段の力強いものになっていった。今まで見たどの時よりも覇気を感じる。
「外で話していても時間がもったいないですし、早く入りましょう」
「お、おう。急にハキハキしてんな、夢国。いいことだが」
スイッチの入った夢国さんを先頭に、入場券を入り口のお姉さんに切ってもらう。
「一度退館しますと無効になってしまうので、お気をつけください。……魅力的な海の世界をどうぞお楽しみください」
中は薄暗く、ライトアップされた水槽から、小さなお魚さんたちがお出迎えしてくれた。
小さいけど、色鮮やかでとっても綺麗。こんなに真面目に見るのは初めてかも。
行事で連れて来られるのとは、また違った風に見える。
「さてさて、パンフレット~。あ、イルカショー始まっちゃう。行っくよ~、あーちゃん」
「ちょっと、楓さん! 私、見たいお魚さんがーーー!」
外では大人しく夢国さんを見守っていた七津さんが、いつも以上の元気を取り戻して暴走してしまった。夢国さんは意思に関係なく連れて行かれた。
「走るんじゃ………って、聞こえやしないか」
「あはは。イルカ、大好きなんですかね?」
夢国さんが振り回されているだけに見えることもあるけど、お互いに信頼しあっているから、今日まで二人で過ごして来られたんだろうな。私も先生とそんな関係に……って、あれ?
七津さんの暴走に気を取られて、自分の現状に気づくのが遅れた。先生と二人きり。
ここここれは、完全にデートになってしまったのでは! どうしよう、自分への言い訳が思いつかない。
四人でお出かけして、もしもの時は二人にフォローを入れてもらう。デートと気負わずに過ごす。これが当初の予定。
ただ、七津さんの暴走によって破綻してしまった。
そのうち夢国さんがはぐれるかもとか少し思ってたけど、まさかいきなり二人ともいなくなるなんて。
でもこれは、見方を変えればチャンス。そうチャンスなんだ。
なんとかこの機会を活かす言葉を。
「追いかけましょうか?」
それできるなら、私は最初から二人を巻き込んだりしてないよねぇぇ……。
二人きりの緊張。普段と違う先生へのドキドキ。そもそもの意識。長時間この状況が続くと、心臓が壊れてしまうような気がする。
「まぁ、楽しんでるなら問題ないだろ」
先生は髪をクシャッとして、視線を私に移した。
「古町は目当ての魚いないのか? あいつらが見に行ったのは哺乳類だが」
「えっと、特には。色々見て回りたいなぁ、って」
先生の視線から隠れるように、入場口でとってきたパンフレットを開いた。大まかな生息域や、サイズで場所が分けられている。
どこに何がいるとかザックリとしか書いてないし、グルッと見て回るのが最適かな。
「せ、先生は、見たいお魚、いますか?」
「いや、引率だからな。お前の行きたいところに行け。夢国と七津はそのうち合流できるだろ。最悪メールすればいい」
そう言いながら、先生は私の開いたパンフレットを覗き込んだ。
「結構いるもんだな」
ち、近い。近過ぎる~。
ほんの少し視線を右にずらすと、先生の凛々しい横顔が映る。僅かに動くだけで触れてしまう距離。自然と意識が持って行かれてしまう。
澄んだ海のような瞳。鷹のような目つき。整った鼻筋に、艶やかな唇。普段感じている、かっこよさや、可愛さとは別の魅力。
なんて、美しい人なんだろう。
今なら、事故を装ってキスを。ほっぺにくらいならできそう。いい匂いがする。触れたい。
魅了され切っている邪な心とは裏腹に、体は行動を起こさなかった。触れるのも憚られるほど心を奪われているというよりーー普通に恥ずかしくて無理! 時と場合! 節度! 風紀! ーー常識と羞恥心が勝っただけだった。
静かな水面を気取る表情とは逆に、嵐の海の如く、心は荒れ狂っていた。そんな私に気づくことなく先生は顔を引っ込めた。
「ま、計画立てずに順番に回るか」
迷って私が動き出せないと思ったのか、優しく提案しくれた。
「は、はい。そうですね。そうしましょう」
ここで考えてても始まらないし、色々と見て回りながら考えよう。お魚のことも考えとけば、きっと緊張もマシになるはず。……それすらできなくなりかけたのは、心の奥にしまっておこう。
先生と並んで、ゆっくりと歩き出し、小さな水槽が並ぶスペースを見て回る。
「お、チンアナゴか。ひょっこり顔出してんな。……隠れやがった」
「警戒心強いですね。恥ずかしがり屋さんかな?」
私がチンアナゴなら、八戸波先生を見た瞬間に隠れちゃいそう。なんとなくシンパシーを感じる。
「チンアナゴはプランクトン食べるんだってな」
「へぇ、理科で見るようなやつですよね。確かに小さいしなぁ」
「ああ。昨日調べて初めて知った。面白い発見は、細かい分類がややこしいってことぐらいだがな」
先生は内ポケットから手帳を取り出すと、何目何亜目何科目と呪文のように唱えると「細かすぎんだろ」と呆れたように言った。
先生の手にしている手帳は百均に置いてあるようなシンプルなものだが、縁がカラフルな付箋で覆われている。
ここからだと読めないけれど、一枚一枚に何か書いてある。多分魚の名前だよね。
わざわざ調べてきてくれたんだ。水族館に行くって決まってから。付箋の数からして、昨日一昨日じゃないんだろうな。
海が好きだと、先生が言っていたから選んだ今日の舞台。好きなだけで、詳しいとは一言も言っていなかった。教師として教えられるように、私たちのために調べてくれていた。
そんなことされたらもっと好きになっちゃいますよ、先生。
水族館に来てからまだ一時間と経っていない。だというのに、私の中で先生の存在が大きくなってく。好きという想いが膨らんでいく。
溢れそうな私の心のように、隠れたチンアナゴがほんの少しだけ顔を覗かせた。
伝える前に、溢れてしまわないようにしないと。
「こっちにカクレクマノミいるぞ」
悶々としているうちに、先生は別の水槽を見に移動していた。引率で来ただけと言っていたけれど、楽しんでくれているみたいで嬉しい。
実は海の生き物も含めて、海が好きなのかな?
「見てると映画を思い出しちゃいますね」
「わかる。つい連想しちまうよな」
先生は「それな」と言いたげに指を刺した。ただ、教師としてふさわしくない行動だと思ったのか「やべ」と言いそうな顔ですぐに引っ込めて、誤魔化すように手帳を開いた。
「カクレクマノミは毒に耐性あってな」
ほんのり赤く染まった先生の顔を、仄暗い空間の小さな光が照らしている。そんな先生を表すように、カクレクマノミはイソギンチャクに潜っていく。
取り繕えないってわかってるのに、かわいいな。
威厳か。教師と生徒としての関係性か。何を気にしているのかは察するしかないけれど、指を刺された瞬間とても嬉しかった。
距離が縮まったような、ほんの僅かでも進展したと思えてしまった。友達同士であるような行動に、数瞬間だけ恋人になれたような錯覚。自然と顔が緩んでしまう。
「何笑ってんだよ」
「え? いえ、別に何も?」
拗ねたように口を尖らせ、文句ありげに先生は言った。
いつも大人なのに、ちょっと子供っぽくてかわいい。でも、自然と笑顔になっちゃっただけだから、深い意味も先生を笑ったりもしてないんだけど。思ってたことはまだ伝えられないし。
本音を隠す言い訳も思いつかず、目を逸らして誤魔化す。
「……調べているうちに楽しくなってな。現地でテンション上がったんだよ」
何も言えずに黙っていると、先生が呟いた。逸らした目を戻すと、さっきよりも頬を赤く染めた先生が立っていた。
「ぷっ、あはは」
そんな先生を見て、つい笑ってしまった。
「な、何さっきよりあからさまに笑ってんだよ」
「ご、ごめんなさい。でも、かわいいなって」
誤魔化し方も、拗ね方も。怒り方も子供みたい。普段かっこいいからギャップで笑っちゃいました。なんて言えないよ。
「くっそ、そういうのは三条いじる時だけにしろよ。……もうテンション上げねぇ。教師らしくしてやる」
「えぇー、いいじゃないですか。休日くらい軽いノリでも」
照れている先生に、私は強気にグイグイ迫っていく。前屈みで覗き込むように、先生の顔を見上げる。
私、ちゃんと先生と話せてる。
「引率だって言ってんだろ。調子のんな」
いじりすぎてしまい、デコピンをされた。
「痛いです」
ジーンと響く痛みにおでこをさする。触れられたこと、距離感の近いやり取りにまた口角が上がる。
いつもより距離感の近い先生と二人。他にも色々な海の生き物を見て回る。
海月に烏賊。イワシの群れ。大小様々な鮫。別の水槽に移るたび、先生は生態や雑学を解説をしてくれる。移動するたびに期待で胸を弾ませ、雑学に驚き、楽しそうな先生を見て心が満たされる。
水族館という施設を、人生で一番楽しんでいると実感する。
「先生、クリオネですよ。クリオネ。不思議な見た目だけど、綺麗」
極寒の中で生きる海の天使。半透明な見た目から海月を連想するけれど、人型でピョコピョコ動いているのが可愛い。似ていても、海月とは別の魅力を感じる。
「こうやって見てる分にはな。ただ、天使ってよりペテン師だな」
先生は嫌味のように言うと、嫌なものでも見たように肩をすくめた。
ペテン師? 天使みたいな見た目で騙すってことかな。魚を惹きつけて食べるには小さすぎるし、人を襲ったりできるようには見えないけど。
じっと観察していると、餌のようなものがゆったり漂ってきた。
「ひぇ……」
餌が近づいてきた瞬間、小さな角が生えた頭がガバッと開いた。枝分かれした頭で餌を取り込む姿はもはや悪魔。食事を終えると、すぐに天使の姿に戻った。
なんて嬉しくないサプライズだろう。志穂ちゃんなら「クリチャーだ」とか言いながらすごい喜びそう。
「テレビで小耳に挟んだりはしてたんだがな。実物見るとすげぇな」
「私も、可愛いから注目されてるとばかり」
意外性は今日の先生と同じくらい。びっくりしたレベルはクリオネの完全勝利。それくらい驚いた。
サプライズを交えて、次は一際大きな水槽のエリアに移動した。
小さな水槽で魚を見るのとはまた違った魅力。大小問わずたくさんの魚が泳ぎ回る、大自然を前にしたような雄大さ。
月並みな感想だけど、すごい。まるでーー
「海の中みたいで悪くない」
先生も私と同じことを感じてくれていたようで、穏やかに笑った。解説の時の楽しそうな笑顔とも、時折見せてくれる優しい笑顔とも違う。心の底から安らいでいるような笑顔。
「ありがとうな、古町。きてよかったよ」
グリグリと頭を撫でながら、先生は言った。
あまりの唐突さに、心が大きく乱れた。今まで頭を撫でられた時とは全く違う。学校の外で会えた。たったそれだけの事実にこうも乱されている。
デートになんてなってないのに、本当にデートしてるみたい。錯覚だって、勘違いだってわかってるはずなのに。
動くことも、声を出すこともなく、顔を俯かせたまま先生の温もりを享受する。
恥ずかしい。嬉しい。もっと撫でてほしい、このままずっと。
「っと、すまん。つい撫でちまった」
その言葉と共に、触れられていた感触と熱が消えた。俯いた顔を上げると、どこかバツの悪そうな顔で水槽を見ていた。
痴漢から助けてくれたあの日、恐怖で動けなかった私を抱き寄せたことを謝られた時に似ている。ただその時と違い、こちらを見ようとはしない。
嬉しかったのに。なんで、急に。遠くに離れちゃったみたい。
「何か……な。撫でやすいんだよ、お前。悪いな、毎度馴れ馴れしくて」
申し訳なさそうな先生に、怒りのような、悲しみのような感情が溢れ出した。
「どうして、謝るんですか」
ワンピースの裾を強く握りしめる。先生のことを直視できない。
「いや、その。あんま馴れ馴れしい教師って嫌だろ」
「嫌だなんて言ってません」
受動的な態度から、責め立てるように強く言葉をぶつける。身勝手な怒りに震えて、裾を掴む力も強くなっていく。
私の気持ちを勝手に決められてしまうのは嫌だ。
「わた、しは。私、は」
口が渇き、何度も唾を飲み込むせいで言葉がつながらない。
怖がらないで、ちゃんと言うんだ。勢い任せでも素直な気持ちを。
自分に言い聞かせるように心の中で唱え、大きく息を吸う。
「私はーー先生の距離感が近くてもいいと思います」
なんで、言えないんだろう。
「褒めてもらえるのは嬉しいんです。生徒に寄り添った目線で話してくれるのも」
なんでこんな遠回りで、伝えたいことをハッキリそのまま伝えられないんだろう。
「だから、先生はそのままでいいと思います」
嘘はついていない。ただ本当に伝えたいことは秘めたまま。
「あはは。いろいろと口走っちゃいました」
時間と共に冷静になって、少しずつ恥ずかしくなってきた。言い訳まじりでも本音をぶつけてしまったから。
「ふっ」
何かが吹っ切れたのか、先生は笑みをこぼした。
「先、生?」
「堅い態度の教師とか、らしくないな。受け入れられてる間は、このままでもいいかもな……。ありがとな、古町」
迷いが吹っ切れた先生は、優しい笑顔を向けてくれた。ただ、欲を綺麗事にした私には少しばかり痛かった。
「勉強はこれぐらいで、ペンギンでも見にいくか?」
「はい、行きましょう」
白壁に囲まれた四角形。三方に分かれたガラス張りの入り口。大きな柱は檻にも見える。
シンプルですっきりしたデザイン。人もあんまりいない。シーズンじゃないからかな。それとも時間? 私にとってはありがたいような、そうでもないような。
「綺麗なお魚さんに会えるでしょうか。楽しみで昨夜はあまり眠れませんでした」
付き添いの形で来てくれた夢国さんと七津さん。今日は七津さんよりも夢国さんの方が元気だ。
付き合わせちゃって申し訳ないって思ってたけど、楽しそうで良かった。
「あはは。あーちゃん趣旨忘れてそう。ブラウンのワンピースかわいいね、古町さん。デザインも素敵だよ~」
「ありがとう、七津さん。お気に入りなんだ」
ハイテンションな夢国さんと対照的に、今日の七津さんは物静かだ。満足そうな笑顔で夢国さんを見つめている。
二人は恋人同士なだし、相手が嬉しそうだと、自分も嬉しくなるよね。
楽しい時間を予感しながら、私たちは建物の近くで待機していた。
「しかし、ターゲットが遅刻とは感心しませんわね」
「もうちょっとで来ると思うけど」
先生が約束の時間を過ぎてもまだ来ていない。焦らされる恋人気分が半分。来てくれないかもしれない不安が半分。スマホの時計を見る回数が徐々に増えていく。
「そんなむくれないでよ、あーちゃん。顔が怖い怖いだよ~」
七津さんが後ろから覆い被さり、夢国さんのほっぺたをムニムニしている。夢国さんはいつものように抵抗していたけれど、あまり強く抵抗していなかった。
それがわかっていたのか、七津さんはギュッと抱きしめた。
そっか。二人は私に協力するために来てくれたけど、二人にとってもこれはデートになるんだ。すぐ気がついてもいいのに、私って鈍いな。
先輩カップルを微笑ましい気持ちで見ていると、こちらに人影が一つ近づいてきた。
ショートの黒髪。すらっとした体格、少し悪そうな吊り目。ベージュのロングカーディガン、黒いシャツにダークブラウンのフレアパンツ。
「悪い、待たせたな」
その声を聞いただけで、心臓がドクンと跳ねた。
初めて会ったときは男装してたけれど、今日はレーディースファッション。新しい先生の姿に、つい見惚れてしまう。
「もう。夢国さん、すごい楽しみにしてたんですからね」
うるさい鼓動を気づかれないように、なんでもないフリをする。面と向かって話すには時間がかかりそうだ。
先生から視線を逸らして二人を見ると、二人して固まっていた。状況が理解できていないような顔をしている。
「八戸波先生、なぜこちらに?」
「引率だよ。なんだ、聞いてなかったか?」
二人には事前に話して、というか二人が発端みたいな感じなんだけど、どうしたんだろう。
「あーちゃん、これってさ……」
「はい。……でも確かに……」
二人は私と先生から離れて、ヒソヒソと話している。話の内容は聞き取れないものの、困惑と同時に納得しているように見える。
何かおかしいとこあったかな。二人とも応援してくれるって言ってたけど。
「すみません。少々、脳の処理に不具合があっただけですわ。おほほ」
「え、えへへ」
確実に二人にとって、何か想定外の事態が起きたことだけはわかった。夢国さんは「おほほ」とは笑わないし、七津さんがそれにフォローを入れないのもおかしい。
(ここに来て相手を間違えてたとか言えませんわ)
(三条会長のことだとばっかり。話聞くのって大事)
先生も状況がよくわからないようで、首を傾げている。
何か支障がありそうな感じはしないから、あんまり気にしないでも良さそうだけど、大丈夫かな?
不安に駆られていると、夢国さんの瞳が普段の力強いものになっていった。今まで見たどの時よりも覇気を感じる。
「外で話していても時間がもったいないですし、早く入りましょう」
「お、おう。急にハキハキしてんな、夢国。いいことだが」
スイッチの入った夢国さんを先頭に、入場券を入り口のお姉さんに切ってもらう。
「一度退館しますと無効になってしまうので、お気をつけください。……魅力的な海の世界をどうぞお楽しみください」
中は薄暗く、ライトアップされた水槽から、小さなお魚さんたちがお出迎えしてくれた。
小さいけど、色鮮やかでとっても綺麗。こんなに真面目に見るのは初めてかも。
行事で連れて来られるのとは、また違った風に見える。
「さてさて、パンフレット~。あ、イルカショー始まっちゃう。行っくよ~、あーちゃん」
「ちょっと、楓さん! 私、見たいお魚さんがーーー!」
外では大人しく夢国さんを見守っていた七津さんが、いつも以上の元気を取り戻して暴走してしまった。夢国さんは意思に関係なく連れて行かれた。
「走るんじゃ………って、聞こえやしないか」
「あはは。イルカ、大好きなんですかね?」
夢国さんが振り回されているだけに見えることもあるけど、お互いに信頼しあっているから、今日まで二人で過ごして来られたんだろうな。私も先生とそんな関係に……って、あれ?
七津さんの暴走に気を取られて、自分の現状に気づくのが遅れた。先生と二人きり。
ここここれは、完全にデートになってしまったのでは! どうしよう、自分への言い訳が思いつかない。
四人でお出かけして、もしもの時は二人にフォローを入れてもらう。デートと気負わずに過ごす。これが当初の予定。
ただ、七津さんの暴走によって破綻してしまった。
そのうち夢国さんがはぐれるかもとか少し思ってたけど、まさかいきなり二人ともいなくなるなんて。
でもこれは、見方を変えればチャンス。そうチャンスなんだ。
なんとかこの機会を活かす言葉を。
「追いかけましょうか?」
それできるなら、私は最初から二人を巻き込んだりしてないよねぇぇ……。
二人きりの緊張。普段と違う先生へのドキドキ。そもそもの意識。長時間この状況が続くと、心臓が壊れてしまうような気がする。
「まぁ、楽しんでるなら問題ないだろ」
先生は髪をクシャッとして、視線を私に移した。
「古町は目当ての魚いないのか? あいつらが見に行ったのは哺乳類だが」
「えっと、特には。色々見て回りたいなぁ、って」
先生の視線から隠れるように、入場口でとってきたパンフレットを開いた。大まかな生息域や、サイズで場所が分けられている。
どこに何がいるとかザックリとしか書いてないし、グルッと見て回るのが最適かな。
「せ、先生は、見たいお魚、いますか?」
「いや、引率だからな。お前の行きたいところに行け。夢国と七津はそのうち合流できるだろ。最悪メールすればいい」
そう言いながら、先生は私の開いたパンフレットを覗き込んだ。
「結構いるもんだな」
ち、近い。近過ぎる~。
ほんの少し視線を右にずらすと、先生の凛々しい横顔が映る。僅かに動くだけで触れてしまう距離。自然と意識が持って行かれてしまう。
澄んだ海のような瞳。鷹のような目つき。整った鼻筋に、艶やかな唇。普段感じている、かっこよさや、可愛さとは別の魅力。
なんて、美しい人なんだろう。
今なら、事故を装ってキスを。ほっぺにくらいならできそう。いい匂いがする。触れたい。
魅了され切っている邪な心とは裏腹に、体は行動を起こさなかった。触れるのも憚られるほど心を奪われているというよりーー普通に恥ずかしくて無理! 時と場合! 節度! 風紀! ーー常識と羞恥心が勝っただけだった。
静かな水面を気取る表情とは逆に、嵐の海の如く、心は荒れ狂っていた。そんな私に気づくことなく先生は顔を引っ込めた。
「ま、計画立てずに順番に回るか」
迷って私が動き出せないと思ったのか、優しく提案しくれた。
「は、はい。そうですね。そうしましょう」
ここで考えてても始まらないし、色々と見て回りながら考えよう。お魚のことも考えとけば、きっと緊張もマシになるはず。……それすらできなくなりかけたのは、心の奥にしまっておこう。
先生と並んで、ゆっくりと歩き出し、小さな水槽が並ぶスペースを見て回る。
「お、チンアナゴか。ひょっこり顔出してんな。……隠れやがった」
「警戒心強いですね。恥ずかしがり屋さんかな?」
私がチンアナゴなら、八戸波先生を見た瞬間に隠れちゃいそう。なんとなくシンパシーを感じる。
「チンアナゴはプランクトン食べるんだってな」
「へぇ、理科で見るようなやつですよね。確かに小さいしなぁ」
「ああ。昨日調べて初めて知った。面白い発見は、細かい分類がややこしいってことぐらいだがな」
先生は内ポケットから手帳を取り出すと、何目何亜目何科目と呪文のように唱えると「細かすぎんだろ」と呆れたように言った。
先生の手にしている手帳は百均に置いてあるようなシンプルなものだが、縁がカラフルな付箋で覆われている。
ここからだと読めないけれど、一枚一枚に何か書いてある。多分魚の名前だよね。
わざわざ調べてきてくれたんだ。水族館に行くって決まってから。付箋の数からして、昨日一昨日じゃないんだろうな。
海が好きだと、先生が言っていたから選んだ今日の舞台。好きなだけで、詳しいとは一言も言っていなかった。教師として教えられるように、私たちのために調べてくれていた。
そんなことされたらもっと好きになっちゃいますよ、先生。
水族館に来てからまだ一時間と経っていない。だというのに、私の中で先生の存在が大きくなってく。好きという想いが膨らんでいく。
溢れそうな私の心のように、隠れたチンアナゴがほんの少しだけ顔を覗かせた。
伝える前に、溢れてしまわないようにしないと。
「こっちにカクレクマノミいるぞ」
悶々としているうちに、先生は別の水槽を見に移動していた。引率で来ただけと言っていたけれど、楽しんでくれているみたいで嬉しい。
実は海の生き物も含めて、海が好きなのかな?
「見てると映画を思い出しちゃいますね」
「わかる。つい連想しちまうよな」
先生は「それな」と言いたげに指を刺した。ただ、教師としてふさわしくない行動だと思ったのか「やべ」と言いそうな顔ですぐに引っ込めて、誤魔化すように手帳を開いた。
「カクレクマノミは毒に耐性あってな」
ほんのり赤く染まった先生の顔を、仄暗い空間の小さな光が照らしている。そんな先生を表すように、カクレクマノミはイソギンチャクに潜っていく。
取り繕えないってわかってるのに、かわいいな。
威厳か。教師と生徒としての関係性か。何を気にしているのかは察するしかないけれど、指を刺された瞬間とても嬉しかった。
距離が縮まったような、ほんの僅かでも進展したと思えてしまった。友達同士であるような行動に、数瞬間だけ恋人になれたような錯覚。自然と顔が緩んでしまう。
「何笑ってんだよ」
「え? いえ、別に何も?」
拗ねたように口を尖らせ、文句ありげに先生は言った。
いつも大人なのに、ちょっと子供っぽくてかわいい。でも、自然と笑顔になっちゃっただけだから、深い意味も先生を笑ったりもしてないんだけど。思ってたことはまだ伝えられないし。
本音を隠す言い訳も思いつかず、目を逸らして誤魔化す。
「……調べているうちに楽しくなってな。現地でテンション上がったんだよ」
何も言えずに黙っていると、先生が呟いた。逸らした目を戻すと、さっきよりも頬を赤く染めた先生が立っていた。
「ぷっ、あはは」
そんな先生を見て、つい笑ってしまった。
「な、何さっきよりあからさまに笑ってんだよ」
「ご、ごめんなさい。でも、かわいいなって」
誤魔化し方も、拗ね方も。怒り方も子供みたい。普段かっこいいからギャップで笑っちゃいました。なんて言えないよ。
「くっそ、そういうのは三条いじる時だけにしろよ。……もうテンション上げねぇ。教師らしくしてやる」
「えぇー、いいじゃないですか。休日くらい軽いノリでも」
照れている先生に、私は強気にグイグイ迫っていく。前屈みで覗き込むように、先生の顔を見上げる。
私、ちゃんと先生と話せてる。
「引率だって言ってんだろ。調子のんな」
いじりすぎてしまい、デコピンをされた。
「痛いです」
ジーンと響く痛みにおでこをさする。触れられたこと、距離感の近いやり取りにまた口角が上がる。
いつもより距離感の近い先生と二人。他にも色々な海の生き物を見て回る。
海月に烏賊。イワシの群れ。大小様々な鮫。別の水槽に移るたび、先生は生態や雑学を解説をしてくれる。移動するたびに期待で胸を弾ませ、雑学に驚き、楽しそうな先生を見て心が満たされる。
水族館という施設を、人生で一番楽しんでいると実感する。
「先生、クリオネですよ。クリオネ。不思議な見た目だけど、綺麗」
極寒の中で生きる海の天使。半透明な見た目から海月を連想するけれど、人型でピョコピョコ動いているのが可愛い。似ていても、海月とは別の魅力を感じる。
「こうやって見てる分にはな。ただ、天使ってよりペテン師だな」
先生は嫌味のように言うと、嫌なものでも見たように肩をすくめた。
ペテン師? 天使みたいな見た目で騙すってことかな。魚を惹きつけて食べるには小さすぎるし、人を襲ったりできるようには見えないけど。
じっと観察していると、餌のようなものがゆったり漂ってきた。
「ひぇ……」
餌が近づいてきた瞬間、小さな角が生えた頭がガバッと開いた。枝分かれした頭で餌を取り込む姿はもはや悪魔。食事を終えると、すぐに天使の姿に戻った。
なんて嬉しくないサプライズだろう。志穂ちゃんなら「クリチャーだ」とか言いながらすごい喜びそう。
「テレビで小耳に挟んだりはしてたんだがな。実物見るとすげぇな」
「私も、可愛いから注目されてるとばかり」
意外性は今日の先生と同じくらい。びっくりしたレベルはクリオネの完全勝利。それくらい驚いた。
サプライズを交えて、次は一際大きな水槽のエリアに移動した。
小さな水槽で魚を見るのとはまた違った魅力。大小問わずたくさんの魚が泳ぎ回る、大自然を前にしたような雄大さ。
月並みな感想だけど、すごい。まるでーー
「海の中みたいで悪くない」
先生も私と同じことを感じてくれていたようで、穏やかに笑った。解説の時の楽しそうな笑顔とも、時折見せてくれる優しい笑顔とも違う。心の底から安らいでいるような笑顔。
「ありがとうな、古町。きてよかったよ」
グリグリと頭を撫でながら、先生は言った。
あまりの唐突さに、心が大きく乱れた。今まで頭を撫でられた時とは全く違う。学校の外で会えた。たったそれだけの事実にこうも乱されている。
デートになんてなってないのに、本当にデートしてるみたい。錯覚だって、勘違いだってわかってるはずなのに。
動くことも、声を出すこともなく、顔を俯かせたまま先生の温もりを享受する。
恥ずかしい。嬉しい。もっと撫でてほしい、このままずっと。
「っと、すまん。つい撫でちまった」
その言葉と共に、触れられていた感触と熱が消えた。俯いた顔を上げると、どこかバツの悪そうな顔で水槽を見ていた。
痴漢から助けてくれたあの日、恐怖で動けなかった私を抱き寄せたことを謝られた時に似ている。ただその時と違い、こちらを見ようとはしない。
嬉しかったのに。なんで、急に。遠くに離れちゃったみたい。
「何か……な。撫でやすいんだよ、お前。悪いな、毎度馴れ馴れしくて」
申し訳なさそうな先生に、怒りのような、悲しみのような感情が溢れ出した。
「どうして、謝るんですか」
ワンピースの裾を強く握りしめる。先生のことを直視できない。
「いや、その。あんま馴れ馴れしい教師って嫌だろ」
「嫌だなんて言ってません」
受動的な態度から、責め立てるように強く言葉をぶつける。身勝手な怒りに震えて、裾を掴む力も強くなっていく。
私の気持ちを勝手に決められてしまうのは嫌だ。
「わた、しは。私、は」
口が渇き、何度も唾を飲み込むせいで言葉がつながらない。
怖がらないで、ちゃんと言うんだ。勢い任せでも素直な気持ちを。
自分に言い聞かせるように心の中で唱え、大きく息を吸う。
「私はーー先生の距離感が近くてもいいと思います」
なんで、言えないんだろう。
「褒めてもらえるのは嬉しいんです。生徒に寄り添った目線で話してくれるのも」
なんでこんな遠回りで、伝えたいことをハッキリそのまま伝えられないんだろう。
「だから、先生はそのままでいいと思います」
嘘はついていない。ただ本当に伝えたいことは秘めたまま。
「あはは。いろいろと口走っちゃいました」
時間と共に冷静になって、少しずつ恥ずかしくなってきた。言い訳まじりでも本音をぶつけてしまったから。
「ふっ」
何かが吹っ切れたのか、先生は笑みをこぼした。
「先、生?」
「堅い態度の教師とか、らしくないな。受け入れられてる間は、このままでもいいかもな……。ありがとな、古町」
迷いが吹っ切れた先生は、優しい笑顔を向けてくれた。ただ、欲を綺麗事にした私には少しばかり痛かった。
「勉強はこれぐらいで、ペンギンでも見にいくか?」
「はい、行きましょう」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ほのぼの学園百合小説 キタコミ!
水原渉
青春
ごくごく普通の女子高生の帰り道。
帰宅部の仲良し3人+1人が織り成す、ほのぼの学園百合小説。
♪ 野阪 千紗都(のさか ちさと):一人称の主人公。帰宅部部長。
♪ 猪谷 涼夏(いのや すずか):帰宅部。雑貨屋でバイトをしている。
♪ 西畑 絢音(にしはた あやね):帰宅部。塾に行っていて成績優秀。
♪ 今澤 奈都(いまざわ なつ):バトン部。千紗都の中学からの親友。
※本小説は小説家になろう等、他サイトにも掲載しております。
★Kindle情報★
1巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B098XLYJG4
2巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09L6RM9SP
3巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09VTHS1W3
4巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNQRN12P
5巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHFX4THL
6巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D9KFRSLZ
7巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F7FLTV8P
Chit-Chat!1:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTHQX88H
Chit-Chat!2:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FP9YBQSL
★YouTube情報★
第1話『アイス』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=8hEfRp8JWwE
番外編『帰宅部活動 1.ホームドア』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=98vgjHO25XI
Chit-Chat!1
https://www.youtube.com/watch?v=cKZypuc0R34
イラスト:tojo様(@tojonatori)
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる