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火曜 泳いでください
ラブホから出社
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火曜。
まだ街が起ききっていない朝の早い時間。水川とラブホテルを出て会社へ向かう。会社へ向かう途中で喫茶店でモーニングを頂く。
「ふぅ、、珈琲美味しい」
「出勤時間まで時間潰しましょう」
ラブホに宿泊するにあたり、翌日の服も持ってきていたから帰宅する必要はない。ラブホテルからの出勤なんてと思うが、昨晩は珍しい温泉に出会えたのだから良しとしよう。
しかも……
「一応確認なんだけど…今日も泊まるっていうことで大丈夫?」
「僕は大丈夫ですよ、会社終わったら一度は家に色々取りに帰りますが」
「ありがとう!」
そう、チェックアウトをしようとしたときのこと。
部屋の中にある料金精算機にお金を入れると部屋から出れる仕組みだったため、お金を投入した。
すると「ガコン!」と鈍い音がつり銭を取る口から響く。お釣りのない丁度の金額を入れたのにと思い確かめると、ホテルのロゴがあしらわれたキーホルダー。
そしてキーホルダーにはメモが付いており、
「火曜はこの番号(631393)を部屋選択時に入力して下さい。今回とは異なるお部屋が選択できるようになります。」
水川と二人顔を見合わせて何これと訝しむ。けれどこのラブホに来るきっかけになった記事の内容、
昨日は一部屋しか空いてなかったことや、初めての利用客は月曜しか受け入れないという変なシステム。
つまりまた来れば他の部屋の天然温泉に入れそうだ。
翌日も泊まるつもりなんて無かったが、本日も泊まりにくることとした。
◆◆◆◆
仕事も特に問題なく終わり、お互い一時帰宅し着替えや諸々の用事を済ませる。冷蔵庫の生鮮食品を消費するため、家で各自夕飯を食べてからまたラブホの最寄り駅で待ち合わせした。
駅は若者も仕事帰りの人も多く賑わっている。水川が先に着いていたようで、小走りに近寄る。
「では今夜も」
「よろしくお願いします」
駅からホテルへと歩き出す。昨夜は地図アプリを見ながらホテルを探したが、今日は見なくても大丈夫だ。
ラブホ街ということもあり、周りのカップルを見ると「この人たちも今から…」と邪推してしまう。
「でもなぁ、残念。実験器具の持ち込み禁止なんて」
水川は苦笑いしながら「そうですね」と答える。
番号の書かれたメモの裏面を見ると注意書きが大きく書かれていた。
※注意※
部屋への持ち込みは貴重品やお着換えの衣服以外厳禁です。特に温泉成分を調べるための薬品や器具の持ち込みは厳禁です。お約束が守られない場合、当ホテルへの出入りを禁止致します。
と。
なんというか、私のことをピンポイントで指すような注意事項にドキリとする。不思議な温泉の謎解明にスーツケース一杯に実験器具や試薬を持ち込もうと思っていたのに。部屋に監視カメラは付いていないと願いたいが、そもそも紹介記事でも「ホテルからの注文は厳守」と何度も書いており、従うことにする。
温泉は入って楽しんでこそだ、調べたい気持ちは我慢して水川と楽しもうではないか。
◆◆◆◆
ホテル・ホットスプリングに入り、薄暗い部屋の中に一際明るい光を放つタッチパネルの前に立つ。
昨夜は一部屋だけ、あの病院コンセプトの部屋だけが光っていて選択できたが、本日はどの部屋も光っていない。
しかしタッチパネルには「番号入力」の文字があり、タップしてみる。すると0から9までの数字パネルが表示され、メモを見ながら数字を入力する。
ピコン!という正解音のような音が鳴り、ほどなくしてガコンっ!と鈍い音が響く。タッチパネルの下の鍵の受取口から鍵を取る。昨夜とは異なる部屋番号の書かれた鍵で、今日はどんな部屋なのかとわくわくする。
軽い足取りで部屋の前に着き鍵を開ける。
ドアを開けるとそこには…………
「「プール!!!?」」
ホテルに似つかわしくないものが眼前に鎮座し、口がぽかんと開く。水川も同様だ。
部屋の中に歩みを進めると、学校にある25mプールよりは小さいものの5~6mはありそうなプール。造りもビニールプールなんかではなく、分厚いガラス板のようなアクリル板のようなもので出来ている。まるで人が泳げるサイズの水槽だ。
深さも通常のプールぐらいありそうで、入るための簡易な足場が取り付けられている。
「凄いですね、部屋の中にプールなんて」
キョロキョロと部屋を探索する水川。部屋の中には透明な仕切りのされたシャワーブース、プールサイドには水はけの良いベンチや寝そべりのできるチェアがある。
けれどお目当ての温泉は?と探すが、バスタブは見当たらない。
「お風呂無いのかなぁ」
「うーん。あ、もしかしてこのプールがってことじゃないですか?」
「そうかも!」
日本では少ないが海外では水着で入る温泉プールもある。
プールに駆け寄り、手を恐る恐る入れていみる。しかし湯気が立っていなかったから予想通りではあるが、冷たい水。
「ただの水だね」
「でも昨日の部屋も最初は水だったでしょう。また変化するんじゃないですか」
昨日の診察室風な部屋にあったお風呂も最初は冷たい水だった。しかし水川とコスプレしてちょっとエッチな遊びに興じている内に、湯気が立ち込めていたのだ。このプールも変わるかもしれない。
しばらく待ってみることにする。
まだ街が起ききっていない朝の早い時間。水川とラブホテルを出て会社へ向かう。会社へ向かう途中で喫茶店でモーニングを頂く。
「ふぅ、、珈琲美味しい」
「出勤時間まで時間潰しましょう」
ラブホに宿泊するにあたり、翌日の服も持ってきていたから帰宅する必要はない。ラブホテルからの出勤なんてと思うが、昨晩は珍しい温泉に出会えたのだから良しとしよう。
しかも……
「一応確認なんだけど…今日も泊まるっていうことで大丈夫?」
「僕は大丈夫ですよ、会社終わったら一度は家に色々取りに帰りますが」
「ありがとう!」
そう、チェックアウトをしようとしたときのこと。
部屋の中にある料金精算機にお金を入れると部屋から出れる仕組みだったため、お金を投入した。
すると「ガコン!」と鈍い音がつり銭を取る口から響く。お釣りのない丁度の金額を入れたのにと思い確かめると、ホテルのロゴがあしらわれたキーホルダー。
そしてキーホルダーにはメモが付いており、
「火曜はこの番号(631393)を部屋選択時に入力して下さい。今回とは異なるお部屋が選択できるようになります。」
水川と二人顔を見合わせて何これと訝しむ。けれどこのラブホに来るきっかけになった記事の内容、
昨日は一部屋しか空いてなかったことや、初めての利用客は月曜しか受け入れないという変なシステム。
つまりまた来れば他の部屋の天然温泉に入れそうだ。
翌日も泊まるつもりなんて無かったが、本日も泊まりにくることとした。
◆◆◆◆
仕事も特に問題なく終わり、お互い一時帰宅し着替えや諸々の用事を済ませる。冷蔵庫の生鮮食品を消費するため、家で各自夕飯を食べてからまたラブホの最寄り駅で待ち合わせした。
駅は若者も仕事帰りの人も多く賑わっている。水川が先に着いていたようで、小走りに近寄る。
「では今夜も」
「よろしくお願いします」
駅からホテルへと歩き出す。昨夜は地図アプリを見ながらホテルを探したが、今日は見なくても大丈夫だ。
ラブホ街ということもあり、周りのカップルを見ると「この人たちも今から…」と邪推してしまう。
「でもなぁ、残念。実験器具の持ち込み禁止なんて」
水川は苦笑いしながら「そうですね」と答える。
番号の書かれたメモの裏面を見ると注意書きが大きく書かれていた。
※注意※
部屋への持ち込みは貴重品やお着換えの衣服以外厳禁です。特に温泉成分を調べるための薬品や器具の持ち込みは厳禁です。お約束が守られない場合、当ホテルへの出入りを禁止致します。
と。
なんというか、私のことをピンポイントで指すような注意事項にドキリとする。不思議な温泉の謎解明にスーツケース一杯に実験器具や試薬を持ち込もうと思っていたのに。部屋に監視カメラは付いていないと願いたいが、そもそも紹介記事でも「ホテルからの注文は厳守」と何度も書いており、従うことにする。
温泉は入って楽しんでこそだ、調べたい気持ちは我慢して水川と楽しもうではないか。
◆◆◆◆
ホテル・ホットスプリングに入り、薄暗い部屋の中に一際明るい光を放つタッチパネルの前に立つ。
昨夜は一部屋だけ、あの病院コンセプトの部屋だけが光っていて選択できたが、本日はどの部屋も光っていない。
しかしタッチパネルには「番号入力」の文字があり、タップしてみる。すると0から9までの数字パネルが表示され、メモを見ながら数字を入力する。
ピコン!という正解音のような音が鳴り、ほどなくしてガコンっ!と鈍い音が響く。タッチパネルの下の鍵の受取口から鍵を取る。昨夜とは異なる部屋番号の書かれた鍵で、今日はどんな部屋なのかとわくわくする。
軽い足取りで部屋の前に着き鍵を開ける。
ドアを開けるとそこには…………
「「プール!!!?」」
ホテルに似つかわしくないものが眼前に鎮座し、口がぽかんと開く。水川も同様だ。
部屋の中に歩みを進めると、学校にある25mプールよりは小さいものの5~6mはありそうなプール。造りもビニールプールなんかではなく、分厚いガラス板のようなアクリル板のようなもので出来ている。まるで人が泳げるサイズの水槽だ。
深さも通常のプールぐらいありそうで、入るための簡易な足場が取り付けられている。
「凄いですね、部屋の中にプールなんて」
キョロキョロと部屋を探索する水川。部屋の中には透明な仕切りのされたシャワーブース、プールサイドには水はけの良いベンチや寝そべりのできるチェアがある。
けれどお目当ての温泉は?と探すが、バスタブは見当たらない。
「お風呂無いのかなぁ」
「うーん。あ、もしかしてこのプールがってことじゃないですか?」
「そうかも!」
日本では少ないが海外では水着で入る温泉プールもある。
プールに駆け寄り、手を恐る恐る入れていみる。しかし湯気が立っていなかったから予想通りではあるが、冷たい水。
「ただの水だね」
「でも昨日の部屋も最初は水だったでしょう。また変化するんじゃないですか」
昨日の診察室風な部屋にあったお風呂も最初は冷たい水だった。しかし水川とコスプレしてちょっとエッチな遊びに興じている内に、湯気が立ち込めていたのだ。このプールも変わるかもしれない。
しばらく待ってみることにする。
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