いずれ勇者の君へ

ヤツカツイタチ

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原っぱで君と その1

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「待たせたねキミ…」彼女はそう言って、いつもの原っぱに現れた。
「全然!今日は何して遊ぶの?」少年は彼女に対して満面の笑みで応えた。

この原っぱは辺境と言われる田舎の1つの小さな村の外、その近くにある。
村自体は辺境過ぎて王国にも魔王国にも見放されている。
たまにとても弱い魔物が出る程度で王国から見放されているとは言え治安は悪くない。
たまに出るとても弱い魔物、と言っても適当な(この適当は適当な方の適当)武器がなければ逃げるしかない、といった具合の強さだが。
そしてこの「村近くの原っぱ」は村の子供たちも普通に出歩き遊ぶくらいには安全ではある。
理解力の高い諸兄には、ざっとこの原っぱの内情は理解できたであろう、では、話を続けよう

「マナ姉ちゃん、今日は何をして遊ぶの?」少年はマナと呼んだ少女に期待に満ちた目を向ける。
「ふふ…待ちなさいキミ、今日はコレを持ってきたんだ…」と小さな円錐状の物を少年に見せた。
「そ、それは…!」少年が驚愕の顔をする。
「ああ、この前遊んだ時よりもっと調節を加えてね…ついに完成したんだよ、私のドラグスティンガーGXが!!!!!!!」
「マジかよ、スゲーよ!マナ姉ちゃん!!!!!!!!!!!!!!」少年もかなり興奮している。
「ふふ、さぁ性能を試すために今日も勝負といこうじゃないか、キミ!」「うん!」
少年も懐から小さい円錐状の物を取り出す。ドラグスティンガー…もといドラグスティンガーGXと対を成すブリザードブレイバーだ!
「き、キミ、それはまさか…」マナは少年の取り出したブリザードブレイバーを見て驚愕する。数日前の武装とは明らかに違うのだ!
「さすがマナ姉ちゃん、気づいたね…これはマナ姉ちゃんから貰ったブリザードブレイバーを僕が強化した…ブリザードブレイバー二式だよ!」
「なん…だと…!?」マナは驚愕した。
元々少年にハンデを与えるために、属性としてはドラゴンより強いブリザードを少年に与え、それでも己が過去に磨いたテクニックで余裕で勝てていた。
少年もマナと戦う度に実力を高めていき、ここ最近では普通に互角位の戦いが出来るようになっていたのだ…
最近、その互角の勝負も飽きてきたので少し対戦にスパイス(超高級品)でも加えてやろうと思い、マナは己のドラグスティンガーを再錬成し、新たなドラグスティンガーを構築したのだった。
「ふふ、まさかキミも私と同じ考えとはね…」不敵にマナが笑う。
「マナ姉ちゃん…いや、師匠に似たのかもね…」少年もつられて笑う。
「さぁやろうか、少年、ブラスターは持ってきているね?」
「もちろんだよマナ姉ちゃん!」
マナが指を鳴らすと原っぱの地面から小さな闘技場が現れる。いや、現れると表するよりも『構築された』という表現が正しい。
「この闘技場…」少年は驚きを隠せないでいる。
「わかるかい、キミ、そう、『バーニングゾーン』が2箇所あるんだ。これは私もどんな戦いになるのか全く想像できない…」
バーニングゾーン、これは円錐状のシェルの軸にギア状の文様があり、ここに噛ませるギアがあしらわれている箇所を指す。
ギアの部分がここにうまく噛み合わされることで回転しているシェルが更に闘技場『コロッセウム』の中で暴れまわる、というギミックである。
今まではバーニングゾーンは一箇所だった所を、マナは今回二つある実にトリッキーなコロッセウムを生成したのだ。
「ふふ、楽しみだよキミのその新しいシェルの実力がさぁ!」マナの顔は狂気と化している。
「ドラグスティンガーGX、どこまで僕のブレイバーに耐えられるかな!?」少年の瞳には炎に似た何かが宿った。
お互いは互いのブラスターにシェルをセットして構える。お互いがその手に持つブラスターに対して付加能力を付与させていく。
そしてマナのブラスターには紅い、少年のブラスターには蒼い光が充満された。
「行くぞ少年!」「負けないぞマナ姉ちゃん!」
「「ゴー…シューーーーート!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
今、戦いの火蓋は切って落とされた。

この物語は魔王の娘マナドーラと、後に勇者となるキミツのハートフルスローライフストーリーである。
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