何でもやります！

何でもやります！

そのお宅は、アパートの一室だった。
その男性は、背は165センチくらい、瘦せ型で、眼鏡をかけてて、聞いた通り誠実そうな雰囲気。
ん？誰かに似てる。そうだ、小学校の時の同級生のサトルくん。私の、多分、初恋の相手だ。
気付かなかった。依頼書を確認していたら、【鬼頭了キトウサトル】と名前が記されていた。
やはり、サトルくん？
だけど、今は聞けない。
「あの、依頼の確認をしたいんですけど」
「はい」
「1晩一緒に過ごすとゆうのは？」
「あの、僕、もうすぐ入院するんですよ」
「入院って、ご病気ですか？」
「えぇ、まぁ」
「それは、気落ちしますよね」
「僕、恥ずかしながら、女性と付き合った経験もなくて。入院の前に、そうゆうの味わいたいなって思ったんですけど、相手もいないし、出来そうもないし」
あの頃からモテる感じではなかった。秀才タイプで、いつも机で勉強やら本を読んだりしていた。小学生の頃はスポーツマンタイプの方がモテていた。
でも、私は違った。周りの子からは変わってると言われた事もあったけど、私には優しかったから。
同じクラスだったのは4年の時だけだったから、もう、覚えていないだろうな。
「失礼ですけど、ご病気の方はお悪いんですか？」
「あぁ、いや、手術すれば、あ、でも、もしものこともあるし」
「なぜ、1晩なんですか？昼間のデートとかじゃダメなんですか？」
「外でのデートは人目を気にしちゃって。昼間は仕事だし、夜しか時間ないし」
今も夜だった。
「部屋で、手料理も味わてみたいし」
「料理なら、私は出来ますけど」
「本心を言えば、一緒のベッドで寄り添ってたい、なんて。最近、寝付けなくて」
「手術、心配ですもんね」
「はい。や、やっぱ、無理ですよね？」