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①
あの日のこと
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休みの日は、各地の祭りや、イベントなどで歌ったり、テレビに出ることもあった。
いつも、『かわいい』とちやほやされて育ち、当時もどこか天狗になっていただろう。
6歳の頃、あるイベントで歌った時だった。そこは海の近くだった。
出番の後、ステージ裏で海を眺めていた。
「あ~さっき歌ってたやつだぜ」
と、声が聞こえてきた。
声の方を見ると、私より少し上だろうか?男の子が3人こっちを見ていた。
近付いていくと、
「あ、やべ~」
「化粧、濃い」
と言った。
いつも、仕事の時は化粧をする。それも厚めに。それは、仕事だからと思っていた。
それでも、悪いとは思われている意識はなく、
「こんにちは」
と笑って話しかけたら、
「ブス!」
と言った。
「何?」
と、もっと近付いていくと、突き倒され、尻もちをついた。
そして、
「ブス!」
「ブス!」
「ブス!」
と言いながら走り去っていった。
背後から駆け寄る足音が聞こえて、
「大丈夫か?」
と、スタッフジャンパーを着たお兄さんが駆け寄ってきて、
「痛い?」
「ううん」
それでも抱きかかえてくれて、
「もうこんなに汚れちゃって」
と、ドレスの土を払ってくれた。
「私って、ブス?」
「そんなことないよ。可愛いよ」
「でも・・・」
泣き出すと、
「ほら、化粧落ちちゃう」
と、持っていたハンカチで拭ってくれた。
「気にすんな、あんな奴らの事なんか」
「お兄さん、お名前は?」
「俺?えっと・・・」
ポッケからなにやら出し、
「はい、これ名刺」
「名刺?」
「これ、俺の名前。読める?」
「えっと・・・」
「北播摩昇矢」
「昇矢くん?」
「そう。よろしくね、里桜ちゃん」
マネージャーの三鬼さんが来て、ドレス汚してしまったことなど、一緒に話してくれた。
昇矢くんは、仕事中なのですぐに行ってしまった。
高校生くらいだろうか?カッコよかった。優しくて、声も素敵で。
また会いたいなぁ。
そう言っても、会うことはなかった。
いつも、『かわいい』とちやほやされて育ち、当時もどこか天狗になっていただろう。
6歳の頃、あるイベントで歌った時だった。そこは海の近くだった。
出番の後、ステージ裏で海を眺めていた。
「あ~さっき歌ってたやつだぜ」
と、声が聞こえてきた。
声の方を見ると、私より少し上だろうか?男の子が3人こっちを見ていた。
近付いていくと、
「あ、やべ~」
「化粧、濃い」
と言った。
いつも、仕事の時は化粧をする。それも厚めに。それは、仕事だからと思っていた。
それでも、悪いとは思われている意識はなく、
「こんにちは」
と笑って話しかけたら、
「ブス!」
と言った。
「何?」
と、もっと近付いていくと、突き倒され、尻もちをついた。
そして、
「ブス!」
「ブス!」
「ブス!」
と言いながら走り去っていった。
背後から駆け寄る足音が聞こえて、
「大丈夫か?」
と、スタッフジャンパーを着たお兄さんが駆け寄ってきて、
「痛い?」
「ううん」
それでも抱きかかえてくれて、
「もうこんなに汚れちゃって」
と、ドレスの土を払ってくれた。
「私って、ブス?」
「そんなことないよ。可愛いよ」
「でも・・・」
泣き出すと、
「ほら、化粧落ちちゃう」
と、持っていたハンカチで拭ってくれた。
「気にすんな、あんな奴らの事なんか」
「お兄さん、お名前は?」
「俺?えっと・・・」
ポッケからなにやら出し、
「はい、これ名刺」
「名刺?」
「これ、俺の名前。読める?」
「えっと・・・」
「北播摩昇矢」
「昇矢くん?」
「そう。よろしくね、里桜ちゃん」
マネージャーの三鬼さんが来て、ドレス汚してしまったことなど、一緒に話してくれた。
昇矢くんは、仕事中なのですぐに行ってしまった。
高校生くらいだろうか?カッコよかった。優しくて、声も素敵で。
また会いたいなぁ。
そう言っても、会うことはなかった。
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