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①
あの日のこと
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1年が過ぎた。
「里桜、明後日からさ、出張なんだ」
「出張?」
「あぁ、1か月くらい行かなきゃなんなくて」
「1か月も会えないの?」
「ま、そうだな」
「寂しいなぁ」
「しょうがないだろ?仕事なんだから」
「私も着いていこうかな」
「ダメだ」
「冗談だよ」
そう、冗談でも、気持ちはあった。
昇矢くんに会えなくて、穴がぽっかり空いた気分だった。
前に、昇矢くんが持っていた封書で、住所を見たことがあった。
インプットさせ、すぐにメモり、地図検索したことがあった。
休みの日、その住所に行ってみた。
遠くから、家の中を覗いていた。
怪しまれるかもしれない。
それでも、止められなかった。
でも、誰もいないようだ。
その時、背後で声がした。
「お姉ちゃん、誰?」
「え?」
小学低学年くらいの男の子がいた。
その後ろから、女性が来て、
「あの、うちに用ですか?」
と。あ、この人が昇矢くんの奥さん?そして、この子は昇矢くんの子供?
ヤバい!
「ごめんなさい」
と、走り去ろうとしたが、石に躓いてしまって、派手に転んだ。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
と言っても、立ち上がれない。
結局、家の中で手当をしてもらうことになった。
奥さんの慶子さんは美人だし、優しかった。
多分、昇矢くんより年上で、こんな人が好みなのかなぁって思うと、私なんか、って感じだ。
お子さんの司くんも人懐っこくていい子だった。
長居は出来ない。
しばらくして、引きずりながらも歩けたので、適当に誤魔化して帰ってきた。
慶子さん、どう思っただろう?
まさか、自分の旦那の不倫相手だとは思わないだろう。
ただ気になったのが、表札は、昇矢くんの苗字の北播摩ではなかった。
「里桜、明後日からさ、出張なんだ」
「出張?」
「あぁ、1か月くらい行かなきゃなんなくて」
「1か月も会えないの?」
「ま、そうだな」
「寂しいなぁ」
「しょうがないだろ?仕事なんだから」
「私も着いていこうかな」
「ダメだ」
「冗談だよ」
そう、冗談でも、気持ちはあった。
昇矢くんに会えなくて、穴がぽっかり空いた気分だった。
前に、昇矢くんが持っていた封書で、住所を見たことがあった。
インプットさせ、すぐにメモり、地図検索したことがあった。
休みの日、その住所に行ってみた。
遠くから、家の中を覗いていた。
怪しまれるかもしれない。
それでも、止められなかった。
でも、誰もいないようだ。
その時、背後で声がした。
「お姉ちゃん、誰?」
「え?」
小学低学年くらいの男の子がいた。
その後ろから、女性が来て、
「あの、うちに用ですか?」
と。あ、この人が昇矢くんの奥さん?そして、この子は昇矢くんの子供?
ヤバい!
「ごめんなさい」
と、走り去ろうとしたが、石に躓いてしまって、派手に転んだ。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
と言っても、立ち上がれない。
結局、家の中で手当をしてもらうことになった。
奥さんの慶子さんは美人だし、優しかった。
多分、昇矢くんより年上で、こんな人が好みなのかなぁって思うと、私なんか、って感じだ。
お子さんの司くんも人懐っこくていい子だった。
長居は出来ない。
しばらくして、引きずりながらも歩けたので、適当に誤魔化して帰ってきた。
慶子さん、どう思っただろう?
まさか、自分の旦那の不倫相手だとは思わないだろう。
ただ気になったのが、表札は、昇矢くんの苗字の北播摩ではなかった。
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