あの日のこと

陽紫葵

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あの日のこと

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職場の方には、病院の方から連絡がいき、上司がすぐに見舞ってくれたようだ。昇矢くんも会ったと言っていた。
診断書には、過労となっていて、休暇届に代理でサインもしたと。
ママとはあれから会っていないし、ケータイ番号も変えたらしく、連絡も取れない。住所も知らない。こんな時に、身寄りがいないのは、病院側には不都合のようだ。
意識のない間も、昇矢くんがずっと対応してくれていたそうだ。今は、甘えていいのかな。
退院前日の午後、職場の上司が見舞ってくれた。
「迷惑かけてすみません」
「職場の環境に問題があるなら、」
「いえ、大丈夫です」
そうだ、過労と言っても、仕事ではない。実際、過労でもないし。
職場環境に問題なんかない。こんなことで、迷惑かけて、クビになってもしょうがない。
「だったら、ゆっくり休んで、戻ってこい」
「いいんですか?」
「何言ってるんだ。身体は大事だからな」
上司の真壁さんは、入社当時は主任で、今は課長になってる。ずっと、私の部署の上司だ。
男性が少ない中、いつも気にかけてくれていた。
真壁さんが帰った後、昇矢くんが、
「よかったな」
「え?」
「いい職場みたいで」
「あ、うん」
「この前、少し話したけど、いい感じの人だった」
「何て話したの?」
「何って、里桜の職場での事とかさ。まじめだって言ってた」
「そっか」
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