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①
あの日のこと
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2週間振りの出社も、何も変わらなかった。
私の居場所はある。安堵した。
週ごとにキリを付けるので、やり残した作業はない。ロットは変わっているものの、ほぼ変わりのない作業を、一人、黙々とこなす。
まわりも同じように過ぎている。作業工程での会話しかない。
あれこれ聞かれるのも、嫌だったけど。
昼休憩に、前に合コンに一緒に行った紗季ちゃんに声をかけられた。
当時は同じ課だったけど、今は違う。
「里桜さん、休んでたんですね?」
「うん」
「もう、大丈夫なんですか?」
「うん」
「痩せました?」
「え、そう?」
確かに、体力も落ちているし。5日も寝ていたのだから。
「そうそう、早川さんってさぁ、ジェンダーなんだって」
「ジェンダー?」
「男性しか好きになれないって」
「え、そうなの?」
ってことは、私の事は、初めから興味がなかったの?
「なんかね、仕事関係で、結婚してた方がいい、みたいに思ったらしいけど、諦めたって、三上さん言ってた」
三上さんも、あの時の合コンに参加していた人で、紗季ちゃんと仲良くしていた。
「里桜さん、今は?彼氏とか・・・」
「あぁ・・・」
「あ、その顔は、いるんですね?」
「うん」
「そっか、だったらダメですね」
「ダメって?」
「また、合コン行かないかなぁって、思って」
「あぁ、うん」
「そっか」
「でも、紗季ちゃん、三上さんと・・・」
「あ、三上さんとは、友達よ。それだけ」
「そうなの?」
「三上さんも、本当は、里桜ちゃんに声かけたかったって言ってたよ」
「え?」
「早川に先手取られた、って、悔やんでた」
「そう、なの?」
「今からでもどう?」
「え?」
「なあ~んて、無理だよね?」
「うん」
そう、私には昇矢くんがいる。
でも、少しだけ、三上さんの顔を思い浮かべた。ごめん
私の居場所はある。安堵した。
週ごとにキリを付けるので、やり残した作業はない。ロットは変わっているものの、ほぼ変わりのない作業を、一人、黙々とこなす。
まわりも同じように過ぎている。作業工程での会話しかない。
あれこれ聞かれるのも、嫌だったけど。
昼休憩に、前に合コンに一緒に行った紗季ちゃんに声をかけられた。
当時は同じ課だったけど、今は違う。
「里桜さん、休んでたんですね?」
「うん」
「もう、大丈夫なんですか?」
「うん」
「痩せました?」
「え、そう?」
確かに、体力も落ちているし。5日も寝ていたのだから。
「そうそう、早川さんってさぁ、ジェンダーなんだって」
「ジェンダー?」
「男性しか好きになれないって」
「え、そうなの?」
ってことは、私の事は、初めから興味がなかったの?
「なんかね、仕事関係で、結婚してた方がいい、みたいに思ったらしいけど、諦めたって、三上さん言ってた」
三上さんも、あの時の合コンに参加していた人で、紗季ちゃんと仲良くしていた。
「里桜さん、今は?彼氏とか・・・」
「あぁ・・・」
「あ、その顔は、いるんですね?」
「うん」
「そっか、だったらダメですね」
「ダメって?」
「また、合コン行かないかなぁって、思って」
「あぁ、うん」
「そっか」
「でも、紗季ちゃん、三上さんと・・・」
「あ、三上さんとは、友達よ。それだけ」
「そうなの?」
「三上さんも、本当は、里桜ちゃんに声かけたかったって言ってたよ」
「え?」
「早川に先手取られた、って、悔やんでた」
「そう、なの?」
「今からでもどう?」
「え?」
「なあ~んて、無理だよね?」
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そう、私には昇矢くんがいる。
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