沈む夕陽を見てた

沈む夕陽を見てた

私はソープで働いてた。
あることで借金があり、やむを得ずだった。
もちろん、副業で。
半年で返済も終え、辞める日だった。
店長の早川さんに
「マヤちゃん悪い、デリ頼まれてくれない？」
「え、私、もう辞めるって」
「そこをなんとかさ。１人来なくてさ。ボーナスはずむからさ」
と、頼まれてしまったのだ。
デリはデリバリーで、店ではなく、指定された場所に出向く形だ。
以前にも3度頼まれた事があった。
その日はホテルの1室だった。
行くと、待っていたのは、勇翔だった。
私はすぐに気付いたけど、言えない。
「僕の事知ってる？」
「いえ。どうしてですか？」
と惚けた。
「知らないならいんだけど。知ってたら、内緒にして欲しいから」
確かにそうだよね。
ファンに知られたくはない。
ま、ファンはここにもいるけど。
緊張するけど、しょうがない。
仕事だと、割り切るしかないのだから。