赤い糸がほどけた

陽紫葵

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赤い糸がほどけた

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 私は、物心ついた頃から、新条乎汰くんの事が好きだった。
私は、お兄ちゃんと呼んでいた。4歳上で、子供ながらにかっこいいって思った。優しかったし。
よく、お母さんと、お兄ちゃんの家に遊びに行っていた。産まれたすぐの頃からだと聞いている。もちろん、覚えてはいない。
お母さん同士が仲良くて、腐れ縁だと言っていた。
うちのお父さんは、海外赴任で、お母さんもたまに一人で行っていたので、その時は、お兄ちゃん家に預けられた。
私が小学校に入った時、お母さんは半年ほど行くと言って、その時も、預けられた。
まだ、子供だったので、一緒にお風呂も入ったし、一緒のお布団で寝たりもした。お兄ちゃんのお父さん・泰平さんも、お母さん・可乃子さんも優しかったけど、何故か、乎汰兄ちゃんがよかった。それは、物心つく前からだったようだ。
お兄ちゃんには一つ下の弟・晋くんがいたが、話し辛くて苦手だった。
お兄ちゃんが中学になった頃には、呼び方も乎汰くんに変えたし、流石にお風呂も一緒に入らなくなった。
乎汰くんが高校卒業して、一人暮らしすると言った。
会えない距離ではない。
それでも、今までのようにはいかない。
私は、思い切って、気持ちを打ち明けることにした。
小遣いをためて買ったお祝いを持って、
「卒業おめでとう」
と、先に言って渡してから、
「私、乎汰くんの事、好き」
「ありがとう」
と言い、少し間をおいてから、
「でも、ごめん」
と言った。
わかってる。私の事は、妹のようにしか思ってないってこと。
「ううん」
「香都巴」
「あの、遊びに行ってもいいよね?」
「あぁ、いいよ」
と言った。
それは、優しさだってわかってる。
それでも、会いたいと思ったから。
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