赤い糸がほどけた

陽紫葵

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赤い糸がほどけた

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 中3になってから、同じクラスに転校生がやって来た。
彼女・夏生は、お父さんの赴任先で会ったことがあった。
私は、小2の夏休みに1度だけ、お父さんに会いに行ったのだ。
行く前は少しだけ楽しみだった。
でも、知らない人ばかりで、言葉も通じない。
怖いって思って、ずっと、帰りたいって言っていた。
10日間の予定を5日間に短縮し、帰ることにした朝、夏生家族に会った。
夏生のお父さんは現地出身の外国人で、うちのお父さんの同僚だった。
お母さんは日本人で、夏生はいわゆるハーフだった。
名前も、お父さんは、モンテロ・レイル・マサキと言い、夏生も坂上・モンテロ・夏生と、両方の名字が付いてた。ちなみに、お母さんは、誠子さんとゆう。
夏生は人懐っこくて、私も気持ちが解れた。
お父さんは仕事だったので、代わりに空港まで送ってくれて、私たちは帰った。
その時以来の再会だった。
夏生のあの性格は健在で、すぐに誰とでも話していた。
それでも、私と1番仲良かった。
毎日が楽しかったのだけど、難点は、男の子にモテルこと。
私も、乎汰くんの事は諦め、隣のクラスに好きな子が出来た。
でも、夏生に話したら、私も好きになっちゃった、と。そして、いつの間にか、その彼と付き合ってた。
高校になってからもそうだ。
同じ高校に行き、変わらず、仲良くしていた。
高校に入る頃、お母さんもお父さんの所に引っ越すことになり、私は寮に入ることにした。寮のある学校を選んだのだ。全寮制ではないので、夏生は自宅から通いだった。
私たちが引っ越した後、お父さんの会社の社宅として使われると聞いた。
家具や、電化製品の使えるものはそのままにし、運べないものはトランクルームと、新条家に置いてもらった。私の本などは乎汰くんの部屋の本棚に勝手に入れた。可乃子さんの許可は得たけど。
「乎汰も使ってないんだから」
って。
 高校に入学したすぐに、3年生の先輩を好きになった。
夏生にはすぐに気付かれた。
夏生が、
「私が代わりに言ってきてあげる」
と、任せてしまったのが間違いだった。
「ごめん、逆に告られた」
と。
そうゆうことがある度に、乎汰くんに会いに行って、愚痴ってた。
話しているうちに、涙が溢れ、そんな私を、乎汰くんは抱きしめてくれる。
やっぱ私、乎汰くんが好きだ、と思う。
乎汰くんには絶対、夏生を会わせたくない。
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