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優しい嘘
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職場は3階建てビルの2階の1室を借りてやっている。従業員は他にいなくて、一人だ。
木曜日の午後3時頃だった。
「こんにちは」
と、入ってきたのは、福崎侑翔さん。食品メーカーの営業担当で、イベントの飾りつけを請け負ったことがあって、打ち合わせで何度も来たことがあった。
「福崎さん、こんにちは。今日って、約束ありましたっけ?」
大抵の打ち合わせは、前以て予定を決めて来る。
「いや、個人的に相談したいことがあってさ。今、時間ないですかねぇ?」
「あぁ、ちょっとだけ待ってくれます?これだけ仕上げたいから」
「いいっすよ。お菓子持ってきたんで、コーヒー入れますね」
「いつもすみません」
食品メーカーなので、いつも自社のお菓子を持ってきてくれる。コーヒーも福崎さんのおススメで、マシンを置いてあり、入れ方も私より詳しい。
作業が終わった頃、コーヒーの用意も出来てて、
「これ、この前言ってた新商品のクッキー」
「いただきます。うん、美味しい」
「よかった」
ある程度食べてから、
「あの、相談って?」
「あぁ。実はさ、俺、今月いっぱいで会社辞めて、起業することになったんだ」
「起業って?」
「オーガニックのお菓子などを製造販売する会社なんだけどね。会社ってゆうか、店だね。カフェも併設して、って感じで。準備は進んでるんだけど。起業の先輩としての意見も聞きたいってのもあるし」
「私なんて、全然」
「いやいやぁ。凄いよ」
「ありがとうございます」
「それと、店内の飾りつけも頼みたいなって思ってて」
「そうゆう事なら、喜んでお請けします」
「よろしくお願いします」
福崎さんは、私より4歳上の31歳。大卒後に今の会社に就職したそうだ。
仕事はやりがいがって充実していると言っていたが、前に、友達のお子さんがアレルギーがあって、自社製品をあげられないと、悩んでいたことがあった。だから、オーガニックなんだろうな。
「時間ある時に、見に来て欲しいんだけど」
「ちょっと待ってね」
スケジュール表を見て、
「平日は仕事ありますもんね?」
「そうだね」
「来週の土日なら、予定はないですけど」
「来週は俺も店の準備だから、来てもらおうかな」
「はい。場所教えてもらえれば、伺いますんで」
住所をメモしたのをもらった。
木曜日の午後3時頃だった。
「こんにちは」
と、入ってきたのは、福崎侑翔さん。食品メーカーの営業担当で、イベントの飾りつけを請け負ったことがあって、打ち合わせで何度も来たことがあった。
「福崎さん、こんにちは。今日って、約束ありましたっけ?」
大抵の打ち合わせは、前以て予定を決めて来る。
「いや、個人的に相談したいことがあってさ。今、時間ないですかねぇ?」
「あぁ、ちょっとだけ待ってくれます?これだけ仕上げたいから」
「いいっすよ。お菓子持ってきたんで、コーヒー入れますね」
「いつもすみません」
食品メーカーなので、いつも自社のお菓子を持ってきてくれる。コーヒーも福崎さんのおススメで、マシンを置いてあり、入れ方も私より詳しい。
作業が終わった頃、コーヒーの用意も出来てて、
「これ、この前言ってた新商品のクッキー」
「いただきます。うん、美味しい」
「よかった」
ある程度食べてから、
「あの、相談って?」
「あぁ。実はさ、俺、今月いっぱいで会社辞めて、起業することになったんだ」
「起業って?」
「オーガニックのお菓子などを製造販売する会社なんだけどね。会社ってゆうか、店だね。カフェも併設して、って感じで。準備は進んでるんだけど。起業の先輩としての意見も聞きたいってのもあるし」
「私なんて、全然」
「いやいやぁ。凄いよ」
「ありがとうございます」
「それと、店内の飾りつけも頼みたいなって思ってて」
「そうゆう事なら、喜んでお請けします」
「よろしくお願いします」
福崎さんは、私より4歳上の31歳。大卒後に今の会社に就職したそうだ。
仕事はやりがいがって充実していると言っていたが、前に、友達のお子さんがアレルギーがあって、自社製品をあげられないと、悩んでいたことがあった。だから、オーガニックなんだろうな。
「時間ある時に、見に来て欲しいんだけど」
「ちょっと待ってね」
スケジュール表を見て、
「平日は仕事ありますもんね?」
「そうだね」
「来週の土日なら、予定はないですけど」
「来週は俺も店の準備だから、来てもらおうかな」
「はい。場所教えてもらえれば、伺いますんで」
住所をメモしたのをもらった。
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