白鬼のミタマ

月並

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ふたりの時間 1

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 サラが来てから、ひと月が経ちました。寒さが緩む気配を感じた辺りの草木は、芽吹く準備を始めています。

「そろそろ蕗の薹が採れるころだ」

 ミタマが籠を背負い、護身用に腰に刀を提げて、ふたりは出発しました。
 草木を分けて山の中へ入っていきます。

「フキノトウってどうやって食べるの?」
「湯掻く」
「えー、それ美味しいの?」

 仲良く話しながら、ふたりは山をずんずんと進みます。

 不意にミタマが足を止めました。

「ここだ。蕗の薹がいっぱい生えるところ」

 少し開けた場所に、ひょこひょこと蕗の薹が顔を覗かせていました。サラは目を輝かせてその光景を見ています。

「見るの初めてか?」

 サラは頷きました。それから蕗の薹に駆け寄り、顔を近づけてじいっと見つめています。ミタマは小さく笑いました。
 その場に生えていた蕗の薹を、ふたりは少しだけ採りました。サラは口を尖らせます。

「どうして全部採らないの? いっぱいあった方がいいじゃない」
「俺達が食う分だけでいいだろ」

 サラは眉をしかめました。

「ミタマとひと月一緒にいて理解できたわ。あなたがそんな性格だから、まだ魂が白いままなのよ。もっと欲を持ちなさい!」
「そんなこと言われても困るんだけど」
「何かないのー。お金持ちになりたいとか、世界でいちばん強くなりたいとか」
「金がなくても、強くなくても生きていける」
「美人と結婚したいとか」
「俺は美人とやらを見たことがないんだが」

 ミタマがそう言うと、サラはぷくりと頬を膨らませました。
 そのままミタマから顔をそむけると、帰りの道を足早に下りていきます。

「そんなに早足で歩いてたら、こけるぞ」

 ミタマが声を掛けると、サラは一瞬立ち止まりました。が、今度は走り出してしまいました。いつもとは違う別の道へと、彼女は入って行きます。

「サラ! そっちは駄目だ!」

 ミタマはびっくりして大きな声をあげました。そして彼女の後を追いかけます。
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