白鬼のミタマ

月並

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火種 4

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 ミタマの変化に、いち早く気づいたのはサラでした。

「どうしたの、ミタマ」
「火、の匂いと、焦げる木の匂いと、それから、血……」

 ミタマは立ち上がり、先ほど国人から受け取った刀を持って走り出しました。サラも追いかけます。

 涼しくて暗い山道を、ミタマは息を切らせて駆け下りていきます。彼が走っているのは、もう随分と使っていない、集落へと続く道でした。
 進むにつれて、匂いはどんどん濃くなっていきます。

 開けた場所に出ると、その惨状が目に飛び込んできました。
 集落の家々は炎に包まれ、村人が逃げまどっています。
 そんな彼らを、鎧を纏い抜き身の刀を手にした武士たちが捕まえました。恐怖で顔を引きつらせた村人に、武士は刀を振り上げます。

 瞬間、ミタマは走り出していました。素早く抜刀すると、振り下ろされる刀をその刀で受け止めました。
 鋼と鋼のぶつかる高い音が、燃える炎の音の中に響きます。
 ミタマは武士を蹴りました。突然のことに怯んだ武士の手から、村人を引き離します。
 村人は悲鳴をあげながら、一目散に逃げていきました。

「百姓の癖に、刀なんざ持ちやがって、生意気な!」

 武士は激昂すると斬りかかってきました。ミタマはそれをまた刀で受け止めます。それにひびが入ったのを、ミタマは目視して舌打ちをします。
 2人は距離を取りました。

「なんでここを襲うんだ!」
「この集落に、菊池武運が逃げ込んだとの噂が入った」

 その名前に、ミタマは目を見張りました。

 その時でした。ミタマの耳に、子どもの泣き声が聞こえたのは。それは燃える家の中からでした。
 武士の攻撃をかわしたミタマは、彼には目もくれず、井戸へと走ります。

 井戸の周りには村人が集まっていました。ミタマがやってくると、彼らは煤けた顔を、露骨に歪ませました。
 ミタマはそれを無視して、井戸の水を被ると、再び戻りました。

 その時には武士がいなくなっていたのですが、子どもを助けることしか頭になかったミタマは気付きませんでした。
 ためらうことなく、彼は火の中に飛び込みました。
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