20 / 24
サラ
しおりを挟む
サラの元にやってくる人は、皆魂が黒かそれに近いものでした。
不老不死を求め彼女の肉を奪おうと、ある者は彼女を攻撃し、ある者は彼女を篭絡しようとしました。
時には渡してしまうこともありましたが、そうなった者で幸せになった人は、少なくとも彼女は見たことがありません。
初めて黒以外の魂を見たのは、国人でした。
「最高の刀を最強の者に使ってもらうんだ!」
そんな彼に呆気に取られていたら、捕まっていました。
一生の不覚と悔やんでいる時に出会ったのが、今目の前にいるミタマです。
ミタマは集めた団栗を、川にさらしているところでした。春ほど多くない川の水は、サラサラと流れています。
その後ろ姿を眺めていたサラは、目をつむり、再びゆっくりと開きました。
そうすると、ミタマの体の真ん中に、浮かぶように魂が見えます。その色は、初めて見たときと変わらず白いままでした。
「このままでいいのよ。ミタマの魂がこのままなら、私はずっと、ミタマのそばにいられる」
サラはもう一度、目をつむりました。「いつになったら俺の魂を喰うんだよ」と、老いたミタマが苦笑する姿を想像します。
赤く染まった楓がひとひら、微笑む彼女の首を撫でて落ちました。
不老不死を求め彼女の肉を奪おうと、ある者は彼女を攻撃し、ある者は彼女を篭絡しようとしました。
時には渡してしまうこともありましたが、そうなった者で幸せになった人は、少なくとも彼女は見たことがありません。
初めて黒以外の魂を見たのは、国人でした。
「最高の刀を最強の者に使ってもらうんだ!」
そんな彼に呆気に取られていたら、捕まっていました。
一生の不覚と悔やんでいる時に出会ったのが、今目の前にいるミタマです。
ミタマは集めた団栗を、川にさらしているところでした。春ほど多くない川の水は、サラサラと流れています。
その後ろ姿を眺めていたサラは、目をつむり、再びゆっくりと開きました。
そうすると、ミタマの体の真ん中に、浮かぶように魂が見えます。その色は、初めて見たときと変わらず白いままでした。
「このままでいいのよ。ミタマの魂がこのままなら、私はずっと、ミタマのそばにいられる」
サラはもう一度、目をつむりました。「いつになったら俺の魂を喰うんだよ」と、老いたミタマが苦笑する姿を想像します。
赤く染まった楓がひとひら、微笑む彼女の首を撫でて落ちました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる