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アンハッピーバースディ 3
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国人の着物が、ゆっくりと赤く染まっていきます。
それを、国人は呆然と眺めていました。
それから、自分の息子を見て、大きく笑いました。刀が心臓を貫いているにも関わらず、さも満足そうに。
「そうか、それがお前の愛するものか! 見つかってよかったなあ、我が理解者!」
国人はひどく愛おしそうに笑い、少年の頬に手を添えました。
少年はそんな父親に絶句しました。
「俺はお前が赤子の頃に、殺そうとした。私の打った刀でな。でもな、お前はその刀を見て、上機嫌に笑ったんだ。その時に分かったんだ。お前が、お前だけが僕の刀を理解してくれる、唯一の人だとな。だから私は、俺が作った最高の一振りを、お前にやると決めていた。白鬼を捕獲できたのは、天の采配としか言いようがない。最高の一振りを完成させることも、お前という器を強くすることもできた。おまけに、お前に、他を排してでも譲れない唯一ものまでをも持たせてくれた!」
そこまで一気にまくし立てると、国人は気が抜けたのか、少年に体を預けるようにして倒れました。
「ああ、残念だ。我が理解者の進む道を、この目で見てみたかっ、た」
急に訪れた静寂が、少年を包みました。
日はとっくに沈んでいて、外は真っ暗でした。窓からは月の光が差し込み、少年と刀を白く照らしています。
国人はすでに事切れていました。その死に顔は穏やかでした。
少年は父親の体を、強く抱きしめました。その手は小さく震えています。
涙が、止めどもなく溢れてきました。
彼の嗚咽は誰の耳にも届くことなく、夜の闇に消えていきました。
それを、国人は呆然と眺めていました。
それから、自分の息子を見て、大きく笑いました。刀が心臓を貫いているにも関わらず、さも満足そうに。
「そうか、それがお前の愛するものか! 見つかってよかったなあ、我が理解者!」
国人はひどく愛おしそうに笑い、少年の頬に手を添えました。
少年はそんな父親に絶句しました。
「俺はお前が赤子の頃に、殺そうとした。私の打った刀でな。でもな、お前はその刀を見て、上機嫌に笑ったんだ。その時に分かったんだ。お前が、お前だけが僕の刀を理解してくれる、唯一の人だとな。だから私は、俺が作った最高の一振りを、お前にやると決めていた。白鬼を捕獲できたのは、天の采配としか言いようがない。最高の一振りを完成させることも、お前という器を強くすることもできた。おまけに、お前に、他を排してでも譲れない唯一ものまでをも持たせてくれた!」
そこまで一気にまくし立てると、国人は気が抜けたのか、少年に体を預けるようにして倒れました。
「ああ、残念だ。我が理解者の進む道を、この目で見てみたかっ、た」
急に訪れた静寂が、少年を包みました。
日はとっくに沈んでいて、外は真っ暗でした。窓からは月の光が差し込み、少年と刀を白く照らしています。
国人はすでに事切れていました。その死に顔は穏やかでした。
少年は父親の体を、強く抱きしめました。その手は小さく震えています。
涙が、止めどもなく溢れてきました。
彼の嗚咽は誰の耳にも届くことなく、夜の闇に消えていきました。
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