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学舎と姉妹と
30 姉妹、侯爵邸に到着する
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ファルギエール侯爵邸は、王都の第二城壁内の北西に沿うようにある森林の中にある。
なぜそんな立地なのか。それは王家から未開発な土地を押し付けられた――わけではなく、時期は不明だが当時のファルギエール女侯爵が望んでそこを選んだのだ。
ちなみに敷地面積は、分かりやすく言うと三十ヘクタールであり、王族のちょっとした保養地なみである。
彼女が何を考えてその、言ってしまえば厄介な土地を望んだのかは不明だ。しかし世代を重ねた現在では、そのようなことがあったとは到底思えないほど開拓されている。
その広大な森林を広範囲に切り拓き構築された防壁と外柵の中心に、ファルギエール邸は鎮座していた。
建造物の構成は一般的な貴族の邸宅と同じで、正門から前庭に続き、主要建物である本館正面へと繋がっている。
前庭を囲うように、使用人棟が左翼に、右翼に客人用別館がある。
本館裏には庭園があり、離れに厩舎と馬車庫、鍛冶場や温室、兵舎や訓練施設があるのは当然だが、軍事施設が他家の三倍あるのが特徴だ。
そして温室のそばには、なぜか広大な畑がある。そればかりではなく、温室で栽培されているものは全て食用だ。
さらに畑の奥には牧草地と牛舎、豚舎、そして鶏舎があり、私兵団が日々農作業や酪農に勤しみ、自給自足すら可能としている。
それらを取り仕切っているのが、当主であるファルギエール候オーギュスタンではなく、家令のセバスティアンヌ・シュゼット・スマーニャである。
「お帰りなさいませ、フロランス様。そしてようこそ当家へ。ナディ様、レオノール様」
青藍色の髪をほつれなく結い上げた女性がそう言いながら、邸宅に入った三人を迎えた。そして右手を胸に添え、左手を腰に回して恭しく礼をする。
彼女の後方に居並ぶ侍女や従僕も、それに倣う。
一糸乱れぬその礼は壮観で、明らかに軍事訓練されたであろうと予測できるほど統制されていた。
しばし間を置き、全員が同時に頭を上げて背筋を伸ばす。そして先頭に立つセバスティアンヌが、真っ直ぐにナディとレオノールをその青緑色の瞳で見つめた。
(うわー、すごく神秘的な美人さん。髪と瞳の色から海妖精だろうとは思うけど、でも耳がほぼヒト種よね。混血かな?)
見つめる視線に負けず、というかそれ以上に興味津々で彼女を見つめるナディであった。
それをよそに、居並ぶ一同を見回したフロランスがナディとレオノールの背を押す。
「待たせてしまいましたわね。こちらヴァカ……もとい、ヴァレリーの婚約者のナディと――」
そしていきなりぶっ込んだ。
「え? あ、どうも……って! ちょっとフロウ!?」
紹介されて反射的に会釈をし、だが紹介された内容を反芻し、即座に身振りを交えて反論し始めるナディ。
「そしてこちらが、レオノル母様の忘形見、レオノールですわ」
だがそれを聞き流したフロランスが、何事もなかったかのようにレオノールの肩に手を置いて紹介する。
瞬間、使用人たちが一斉に跪いた。
その唐突な行動に反論が間に合わず、ナディは言葉を飲み込まざるを得ない。さらに身振りのために振り上げた両手をどうもできず、ふよふよさせている。
それを見たレオノールは「かわおね」と呟き、慣れた者にしか分からない程度にニヨニヨしていた。自分の紹介はどうでもいいらしい。
「よくぞ戻られました、レオノール様。ヴァレリー様から生存されておられると伺っておりましたが、正直半信半疑でした。ですが、実際そのお姿を拝見し確証を得ました。レオノール様は奥様の、レオノル様の忘形見で間違いありません」
そんなナディを置き去りにして、最前に控えるセバスティアンヌが恭しく拝礼しながら言う。わずかに声が震えているのは、嗚咽を堪えているのだろう。それを見るだけで、レオノルがいかに慕われていたのかが分かる。
「そして、申し訳ありません。我ら一同、奥様を、レオノル様を守れませんでした。不甲斐なき我ら、どのような罰も甘受いたします。お望みならば、この命をも差し出す所存――」
「それはダメ。きっとお母さんもそれは望んでいない。それにお母さんが他界したのは誰のせいでもない。強いて言うなら指示をしたのと手を下した者のせい」
自らに責任を課し、その命すら捧げる覚悟を語る一同に、慌てることなくレオノールは淡々とそう告げる。
本来ならば実母を亡くした悲しみに暮れ、そのような判断と発言はできないはずだ。
だがそれを為したレオノールは、まさしく青い血を有する高潔で誇り高い貴族令嬢。
その姿を目の当たりにした一同は、まだ成人前で幼い彼女の宣言に心を打たれ、嗚咽をあげる。
レオノールとしては、本気でそんなことをされたらちょっと迷惑だと思っているだけだ。それに自分の記憶にない母親に関してあれこれ言われても、いまいちピンとこない。
現在の育ての親はナディであり、そして記憶にある母親は魔王妃であるアデライドなのだから。
記憶にある母親を思い、さらに【爬虫巌穴】でのナディの勇姿を回顧してちょっと頬が緩むレオノールであった。パッと見はわずかに微笑んでるようにしか見えないが。
その反応を目の当たりにした使用人一同は、あたかも悲しみを堪えながらも他者を気遣う姿勢だと勝手に判断し、その気高い姿勢に感極まり咽び泣く。
意図せず、レオノールの株が急上昇した。
そうしてしばし感動していた一同だが、レオノールの紹介の前にちょっと聞き捨てならない文言があったのを思い出す。
「あの、ところでフロランス様」
なので、最前に控えているセバスティアンヌが聞く。
「そちらのお嬢様――ナディ様といいましたか。私の聞き間違いかと思われますが、ヴァレリー様の婚約者候補と言われたような気が……?」
「そう言いましたわ。あなたの耳はこれ以上ないくらい正常ですよ。それと、候補ではなく婚約者です」
ナディの肩に手を置いて、フロランスが言う。日頃の仕返しなのだろう。ちょっと意地悪な表情をしている。
「いや、だから何言っちゃってんのよ! 私はヴァルの婚約者じゃないし、なった記憶もな――」
それはナディも分かったようで、誤解される前に即座に反論するが、
「あら、そうでした? ……あ、ごめんなさいねナディ。婚約者ではなく配偶者でしたわね」
意地の悪い表情を浮かべたフロランスが、訂正がてらさらにぶっこんできた。
「そうそう。婚約者じゃなくて配偶者よ。もー何言っちゃってんのよフロウったら……て、ちっがーう!」
そしておもわずノリツッコミをしてしまうナディ。ちなみに、冗談が通用しない者の前で絶対にしてはいけないことではある。
「おかしいですわね。たしかヴァレリーとくんずほぐれつな爛れた関係だと……」
「誰よそんなデマを拡散したのは! 少なくとも私はそんな関係じゃな――」
「拡散もなにも、自分で言ったじゃないですか。『すぐに抱き付いてくる』とか『気付いたら後ろから抱き締められて腰を撫でられている』とか」
「う……そ、れは、そうだけど! でもそれはそれ! 断じてまだ配偶者とかそんなんじゃ……」
「『まだ』ですか、そうですか。では『いずれ』と言い直しますわ」
「それは言葉の綾であって、『いずれ』もなにもないって言ってるでしょ!」
漫才のような言い合いを始めるナディとフロランスだった。
それををしばし呆然と見ていたセバスティアンヌが我に返り、フロランスの言葉を反芻して考え込み、そして一つの結論に至る。
「メーデーメーデー!! フロランス様がヴァレリー様の奥様となられる方を連れていらっしゃいました! 本日は祝宴を開催いたします! 厨房へ緊急伝令!」
腕に取り付けている何かの魔術具に向けて叫ぶ。ナディの反論は一ミリたりとも聞いていなかった。
「うわ! なんか大事になろうとしてる!? ちょっと待ちなさいよ! ひとの話くらい聞きなさい!」
出遅れたはずがないのに、訂正する前に急展開する状況をなんとかしようと制止するが、
「おお! あなたがヴァレリー様の奥様になられる方、いえ、奥様なのですね!」
全く止まる気配がなかった。そればかりか、お通夜のようだった雰囲気が一気にお祭り騒ぎになってしまっている。
「いや、ならないってば! ちょっと、ちゃんと聞きなさいよ!」
そんな状況を打破しようとナディが声を張るが、使用人一同は全く聞いていない。そう、お祭り騒ぎは止まらないのだ。
「ああ……婚約者になろうと粉をかけてきたり言い寄ってきたり、果ては色仕掛けで既成事実まで作ろうと裸で突撃するバカ娘……こほん、貴族令嬢をことごく袖にしたヴァレリー様が!」
「……裸で、突撃した、ですって……? それどこのバカ女よ。ちょっと殴ってくるわ」
言いながら、【収納】から【爬虫巌穴】で誰かさんをフルスイングでぶっ飛ばした、百五十センチメートルほどの戦杖をおもむろに取り出し肩に担ぐ。ちょうどいい鈍器であるため、気に入ったようだ。
ヴァレリーとの関係は否定しているものの、たとえ過去で未遂であったとしても、そういった出来事は面白くないらしい。
その反応に、レオノールとフロランスが互いに顔を見合わせてから、半笑いで肩をすくめた。
「あ、それは問題ありません。すぐ異性に尻尾を振る女の敵で最低なクソ野郎当主と違い、視界に入れてすらいないようでした。令嬢としてのプライドを粉砕された上に、社交界でひどい目に遭わせましたから」
さりげなく、ファルギエール家当主の悪口雑言を口走るセバスティアンヌ。フロランスもそうだが、本来尊敬されて然るべき当主の扱いがひどい。
「……ヴァルやフロウもそうだけど、当主に対しての評価がひどいわね……」
ヴァレリーとフロランスの言を信じるならば、当主は正しく最低なクソ野郎なのは十二分に理解できる。自業自得だろうが。
「とにかく。ヴァルに全裸突撃したバカ女のことは過去の出来事みたいだから、聞かなかったことにするわ。面白くないけど!」
その反応だけで、ヴァレリーを憎からず思っていると言っているようなものだ。
だがナディ自身は、前世での夫にそんなことをされたから面白くないと感じているだけだと思い込んでいる。どちらにせよ、ただの嫉妬であるのに変わりはない。
そんなナディを見てレオノールが、「ツンデレお姉ちゃんかわおね」と呟いているが、本人の耳には届かない。
「そうして頂けると幸いです」
それはセバスティアンヌをはじめとする使用人一同も理解したらしく、全員が「見守りたい」と言わんばかりの生暖かい視線になる。例によって、鈍感力を発揮しているナディは気付かない。
「そんなことがありましたので、もしかして不能か異性に興味ないか、はたまた同性が好きなのかと社交界をザワつかせたヴァレリー様が遂に!」
「はぁ? 不能? 異性に興味がない? 冗談でしょ。あいつってば枕元で私とえっちしたいとか言っちゃう変態なのよ。あと隙あらば抱き付こうとするし。でも裸を見ても自制してくれるから、その辺の節度はあるかな」
「……ええ!? 裸で同衾して変態行為が分かるようなことをしたと……! これは婚礼を先にするべきでしょうか!」
「そんなこと言ってないわよ! 本当にひとの話をちゃんと聞きなさいよ!」
口を滑らせて、無自覚にうっかり発言をするナディである。どう聞いてもそのようにしか捉えられないのだが、それに気付いていない。
「はいはい。どうでもいい話はそこまで」
かみ合わない会話が続いているため埒が明かないと判断したフロランスが、手を叩いて終了させる。
「いや待ってよフロウ。どうでもよくないんだけど!」
だがそれでも、ナディは訂正を求めて抵抗した。そんな彼女を一瞥し、ため息を吐くフロランス。
「いいですか、ナディ」
「え? な、なによいきなり改まって」
その真剣な表情に、ナディはちょっと気圧される。フロランスはその圧のまま、どう考えても不適切であろう発言を並べ始める。
「まずナディ。あなた、ヴァレリーと同衾しました?」
「え? 同衾というか同じベッドで寝ただけよ。抱き付かれてただけで何もしていないわ。あのときは疲れちゃってて寝衣を着る前に寝ちゃったけど。まぁ、間違えてヴァルの部屋で寝ちゃったから、邪魔して悪かったなーとは思っているわ」
いろいろおかしい赤裸々な発言であるのだが、それをどうとも思っていないらしい。それと、「邪魔して悪かった」ですまされているヴァレリーが、ちょっとだけ不憫である。自制できた精神力を褒めてやりたいフロランスであった。
「枕元で、えっ……こほん。おかしなことを言われたと?」
「ああ、アレねー。ヴァルは思春期だから女子に興味津々なのは仕方ないかなー。でも私は断固として断るわ」
「……ごめんなさい、ナディ。私はヴァレリーに同情しますわ」
「え? なんで?」
そんな全く分かっていないナディの言動を聞いた使用人一同は、揃いも揃って微妙な表情を浮かべた。
「それと、隙あらば抱き付こうとするとも言いましたわね」
「そうなのよ。あれどうにかならない? 思春期だから仕方ないとは思ってるけど、せめて人前では本当に止めてほしいわ」
似たような会話を以前『辺境都市』でしていたのだが、喉元を過ぎて忘れてしまったようだ。
今更ながら、シュルヴェステルの苦労を偲んでため息を吐くフロランス。ちょっと頭痛を覚え、こめかみに人差し指を当てて頭を振る。
「いいですか、ナディ」
「あれ? どうしたのフロウ。偏頭痛? 頭痛薬持ってるわよ」
「いえ、必要ありません。それよりあなた、シュルヴェステル殿に言われたことを忘れましたの?」
フロランスの諭すような言葉にわずかに考え、そして何かに思い当ったのかみるみる赤面する。
「つまりはそういうことです。どうとも思っていない殿方に、通常であればそのようなことはさせませんし、嫉妬もしませんわ。何というか、本当に、やれやれですわ」
諭すように言いながら、そして最後にナディがよく言っているキメ台詞を付け加えるフロランス。レオノールがサムズアップしている。
そして言われたナディは、制止するつもりで言ったいろいろを思い出し、
「……はぅ……」
両手で顔を押さえてその場にしゃがみ込んでしまった。その恥じらう姿に使用人一同キュンとするのだが、そこはプロ。何事もなかったかのように素知らぬ顔をする。
(うわ、この娘めっちゃ可愛いんだけど)
(まさか無自覚なの? 待って待って、キュンキュンするわ!)
(見た目綺麗だし仕草も可愛いとか、最高だな)
(えー、ヴァレリー様ってば、こんないい娘をどこから見付けてきたの?)
(自分の気持ちに無自覚だけど、結局ヴァレリー様をメッチャ好きだよね?)
(こんな美人で可愛い娘と、ヴァレリー様は同衾した? 羨ましい!)
(諭すフロランス様も素敵だけど、この娘も可愛いわね。ああ、抱き締めたい!)
(濡鴉色の髪で、暗紫の瞳な、『辺境都市』から来た美人な娘? ……は! 『剣花の天使』!?)
しかし、内心ではそんなことを考えてニヨニヨしていた。一部、どこから仕入れたのか激怒される称号を思い出し、控え目に「ふっ」と謎ポーズをとっているヤツもいたが。
「相変わらずの無自覚ツンデレ。ツンデレお姉ちゃん可愛い。かわおね」
レオノールの純度百%な賞賛も、今はナディの心をえぐるだけであった。
「しっかりとしたお披露目は夜にでもしますわ。とりあえず、二人の部屋を用意して下さい。ナディ、いつまでも羞恥に悶えていないで行きますわよ」
「べべ別にもももも悶えてなんかかいなないわ」
「……噛みまくっていますわ」
「かか噛んでなんかいなないわよ。やーねーフロウったら、勘違いしちゃちゃって。さぁ行きましょうやれ行きましょう即行きましょう」
誤魔化すようにそう言いながら、行先も分からないのにどこかへ行こうとするナディであった。
(全然誤魔化せていませんわね……)
ちょっとした仕返しのつもりだったが、思った以上に効果的だったらしい。もっとも仕返しなどを考えなくとも、派手に自爆していたが。
(これで反省して、私へのセクハラも控えてくれると嬉しいのですが……きっと無理でしょね)
そう考えて、ため息を吐くフロランスだった。
なぜそんな立地なのか。それは王家から未開発な土地を押し付けられた――わけではなく、時期は不明だが当時のファルギエール女侯爵が望んでそこを選んだのだ。
ちなみに敷地面積は、分かりやすく言うと三十ヘクタールであり、王族のちょっとした保養地なみである。
彼女が何を考えてその、言ってしまえば厄介な土地を望んだのかは不明だ。しかし世代を重ねた現在では、そのようなことがあったとは到底思えないほど開拓されている。
その広大な森林を広範囲に切り拓き構築された防壁と外柵の中心に、ファルギエール邸は鎮座していた。
建造物の構成は一般的な貴族の邸宅と同じで、正門から前庭に続き、主要建物である本館正面へと繋がっている。
前庭を囲うように、使用人棟が左翼に、右翼に客人用別館がある。
本館裏には庭園があり、離れに厩舎と馬車庫、鍛冶場や温室、兵舎や訓練施設があるのは当然だが、軍事施設が他家の三倍あるのが特徴だ。
そして温室のそばには、なぜか広大な畑がある。そればかりではなく、温室で栽培されているものは全て食用だ。
さらに畑の奥には牧草地と牛舎、豚舎、そして鶏舎があり、私兵団が日々農作業や酪農に勤しみ、自給自足すら可能としている。
それらを取り仕切っているのが、当主であるファルギエール候オーギュスタンではなく、家令のセバスティアンヌ・シュゼット・スマーニャである。
「お帰りなさいませ、フロランス様。そしてようこそ当家へ。ナディ様、レオノール様」
青藍色の髪をほつれなく結い上げた女性がそう言いながら、邸宅に入った三人を迎えた。そして右手を胸に添え、左手を腰に回して恭しく礼をする。
彼女の後方に居並ぶ侍女や従僕も、それに倣う。
一糸乱れぬその礼は壮観で、明らかに軍事訓練されたであろうと予測できるほど統制されていた。
しばし間を置き、全員が同時に頭を上げて背筋を伸ばす。そして先頭に立つセバスティアンヌが、真っ直ぐにナディとレオノールをその青緑色の瞳で見つめた。
(うわー、すごく神秘的な美人さん。髪と瞳の色から海妖精だろうとは思うけど、でも耳がほぼヒト種よね。混血かな?)
見つめる視線に負けず、というかそれ以上に興味津々で彼女を見つめるナディであった。
それをよそに、居並ぶ一同を見回したフロランスがナディとレオノールの背を押す。
「待たせてしまいましたわね。こちらヴァカ……もとい、ヴァレリーの婚約者のナディと――」
そしていきなりぶっ込んだ。
「え? あ、どうも……って! ちょっとフロウ!?」
紹介されて反射的に会釈をし、だが紹介された内容を反芻し、即座に身振りを交えて反論し始めるナディ。
「そしてこちらが、レオノル母様の忘形見、レオノールですわ」
だがそれを聞き流したフロランスが、何事もなかったかのようにレオノールの肩に手を置いて紹介する。
瞬間、使用人たちが一斉に跪いた。
その唐突な行動に反論が間に合わず、ナディは言葉を飲み込まざるを得ない。さらに身振りのために振り上げた両手をどうもできず、ふよふよさせている。
それを見たレオノールは「かわおね」と呟き、慣れた者にしか分からない程度にニヨニヨしていた。自分の紹介はどうでもいいらしい。
「よくぞ戻られました、レオノール様。ヴァレリー様から生存されておられると伺っておりましたが、正直半信半疑でした。ですが、実際そのお姿を拝見し確証を得ました。レオノール様は奥様の、レオノル様の忘形見で間違いありません」
そんなナディを置き去りにして、最前に控えるセバスティアンヌが恭しく拝礼しながら言う。わずかに声が震えているのは、嗚咽を堪えているのだろう。それを見るだけで、レオノルがいかに慕われていたのかが分かる。
「そして、申し訳ありません。我ら一同、奥様を、レオノル様を守れませんでした。不甲斐なき我ら、どのような罰も甘受いたします。お望みならば、この命をも差し出す所存――」
「それはダメ。きっとお母さんもそれは望んでいない。それにお母さんが他界したのは誰のせいでもない。強いて言うなら指示をしたのと手を下した者のせい」
自らに責任を課し、その命すら捧げる覚悟を語る一同に、慌てることなくレオノールは淡々とそう告げる。
本来ならば実母を亡くした悲しみに暮れ、そのような判断と発言はできないはずだ。
だがそれを為したレオノールは、まさしく青い血を有する高潔で誇り高い貴族令嬢。
その姿を目の当たりにした一同は、まだ成人前で幼い彼女の宣言に心を打たれ、嗚咽をあげる。
レオノールとしては、本気でそんなことをされたらちょっと迷惑だと思っているだけだ。それに自分の記憶にない母親に関してあれこれ言われても、いまいちピンとこない。
現在の育ての親はナディであり、そして記憶にある母親は魔王妃であるアデライドなのだから。
記憶にある母親を思い、さらに【爬虫巌穴】でのナディの勇姿を回顧してちょっと頬が緩むレオノールであった。パッと見はわずかに微笑んでるようにしか見えないが。
その反応を目の当たりにした使用人一同は、あたかも悲しみを堪えながらも他者を気遣う姿勢だと勝手に判断し、その気高い姿勢に感極まり咽び泣く。
意図せず、レオノールの株が急上昇した。
そうしてしばし感動していた一同だが、レオノールの紹介の前にちょっと聞き捨てならない文言があったのを思い出す。
「あの、ところでフロランス様」
なので、最前に控えているセバスティアンヌが聞く。
「そちらのお嬢様――ナディ様といいましたか。私の聞き間違いかと思われますが、ヴァレリー様の婚約者候補と言われたような気が……?」
「そう言いましたわ。あなたの耳はこれ以上ないくらい正常ですよ。それと、候補ではなく婚約者です」
ナディの肩に手を置いて、フロランスが言う。日頃の仕返しなのだろう。ちょっと意地悪な表情をしている。
「いや、だから何言っちゃってんのよ! 私はヴァルの婚約者じゃないし、なった記憶もな――」
それはナディも分かったようで、誤解される前に即座に反論するが、
「あら、そうでした? ……あ、ごめんなさいねナディ。婚約者ではなく配偶者でしたわね」
意地の悪い表情を浮かべたフロランスが、訂正がてらさらにぶっこんできた。
「そうそう。婚約者じゃなくて配偶者よ。もー何言っちゃってんのよフロウったら……て、ちっがーう!」
そしておもわずノリツッコミをしてしまうナディ。ちなみに、冗談が通用しない者の前で絶対にしてはいけないことではある。
「おかしいですわね。たしかヴァレリーとくんずほぐれつな爛れた関係だと……」
「誰よそんなデマを拡散したのは! 少なくとも私はそんな関係じゃな――」
「拡散もなにも、自分で言ったじゃないですか。『すぐに抱き付いてくる』とか『気付いたら後ろから抱き締められて腰を撫でられている』とか」
「う……そ、れは、そうだけど! でもそれはそれ! 断じてまだ配偶者とかそんなんじゃ……」
「『まだ』ですか、そうですか。では『いずれ』と言い直しますわ」
「それは言葉の綾であって、『いずれ』もなにもないって言ってるでしょ!」
漫才のような言い合いを始めるナディとフロランスだった。
それををしばし呆然と見ていたセバスティアンヌが我に返り、フロランスの言葉を反芻して考え込み、そして一つの結論に至る。
「メーデーメーデー!! フロランス様がヴァレリー様の奥様となられる方を連れていらっしゃいました! 本日は祝宴を開催いたします! 厨房へ緊急伝令!」
腕に取り付けている何かの魔術具に向けて叫ぶ。ナディの反論は一ミリたりとも聞いていなかった。
「うわ! なんか大事になろうとしてる!? ちょっと待ちなさいよ! ひとの話くらい聞きなさい!」
出遅れたはずがないのに、訂正する前に急展開する状況をなんとかしようと制止するが、
「おお! あなたがヴァレリー様の奥様になられる方、いえ、奥様なのですね!」
全く止まる気配がなかった。そればかりか、お通夜のようだった雰囲気が一気にお祭り騒ぎになってしまっている。
「いや、ならないってば! ちょっと、ちゃんと聞きなさいよ!」
そんな状況を打破しようとナディが声を張るが、使用人一同は全く聞いていない。そう、お祭り騒ぎは止まらないのだ。
「ああ……婚約者になろうと粉をかけてきたり言い寄ってきたり、果ては色仕掛けで既成事実まで作ろうと裸で突撃するバカ娘……こほん、貴族令嬢をことごく袖にしたヴァレリー様が!」
「……裸で、突撃した、ですって……? それどこのバカ女よ。ちょっと殴ってくるわ」
言いながら、【収納】から【爬虫巌穴】で誰かさんをフルスイングでぶっ飛ばした、百五十センチメートルほどの戦杖をおもむろに取り出し肩に担ぐ。ちょうどいい鈍器であるため、気に入ったようだ。
ヴァレリーとの関係は否定しているものの、たとえ過去で未遂であったとしても、そういった出来事は面白くないらしい。
その反応に、レオノールとフロランスが互いに顔を見合わせてから、半笑いで肩をすくめた。
「あ、それは問題ありません。すぐ異性に尻尾を振る女の敵で最低なクソ野郎当主と違い、視界に入れてすらいないようでした。令嬢としてのプライドを粉砕された上に、社交界でひどい目に遭わせましたから」
さりげなく、ファルギエール家当主の悪口雑言を口走るセバスティアンヌ。フロランスもそうだが、本来尊敬されて然るべき当主の扱いがひどい。
「……ヴァルやフロウもそうだけど、当主に対しての評価がひどいわね……」
ヴァレリーとフロランスの言を信じるならば、当主は正しく最低なクソ野郎なのは十二分に理解できる。自業自得だろうが。
「とにかく。ヴァルに全裸突撃したバカ女のことは過去の出来事みたいだから、聞かなかったことにするわ。面白くないけど!」
その反応だけで、ヴァレリーを憎からず思っていると言っているようなものだ。
だがナディ自身は、前世での夫にそんなことをされたから面白くないと感じているだけだと思い込んでいる。どちらにせよ、ただの嫉妬であるのに変わりはない。
そんなナディを見てレオノールが、「ツンデレお姉ちゃんかわおね」と呟いているが、本人の耳には届かない。
「そうして頂けると幸いです」
それはセバスティアンヌをはじめとする使用人一同も理解したらしく、全員が「見守りたい」と言わんばかりの生暖かい視線になる。例によって、鈍感力を発揮しているナディは気付かない。
「そんなことがありましたので、もしかして不能か異性に興味ないか、はたまた同性が好きなのかと社交界をザワつかせたヴァレリー様が遂に!」
「はぁ? 不能? 異性に興味がない? 冗談でしょ。あいつってば枕元で私とえっちしたいとか言っちゃう変態なのよ。あと隙あらば抱き付こうとするし。でも裸を見ても自制してくれるから、その辺の節度はあるかな」
「……ええ!? 裸で同衾して変態行為が分かるようなことをしたと……! これは婚礼を先にするべきでしょうか!」
「そんなこと言ってないわよ! 本当にひとの話をちゃんと聞きなさいよ!」
口を滑らせて、無自覚にうっかり発言をするナディである。どう聞いてもそのようにしか捉えられないのだが、それに気付いていない。
「はいはい。どうでもいい話はそこまで」
かみ合わない会話が続いているため埒が明かないと判断したフロランスが、手を叩いて終了させる。
「いや待ってよフロウ。どうでもよくないんだけど!」
だがそれでも、ナディは訂正を求めて抵抗した。そんな彼女を一瞥し、ため息を吐くフロランス。
「いいですか、ナディ」
「え? な、なによいきなり改まって」
その真剣な表情に、ナディはちょっと気圧される。フロランスはその圧のまま、どう考えても不適切であろう発言を並べ始める。
「まずナディ。あなた、ヴァレリーと同衾しました?」
「え? 同衾というか同じベッドで寝ただけよ。抱き付かれてただけで何もしていないわ。あのときは疲れちゃってて寝衣を着る前に寝ちゃったけど。まぁ、間違えてヴァルの部屋で寝ちゃったから、邪魔して悪かったなーとは思っているわ」
いろいろおかしい赤裸々な発言であるのだが、それをどうとも思っていないらしい。それと、「邪魔して悪かった」ですまされているヴァレリーが、ちょっとだけ不憫である。自制できた精神力を褒めてやりたいフロランスであった。
「枕元で、えっ……こほん。おかしなことを言われたと?」
「ああ、アレねー。ヴァルは思春期だから女子に興味津々なのは仕方ないかなー。でも私は断固として断るわ」
「……ごめんなさい、ナディ。私はヴァレリーに同情しますわ」
「え? なんで?」
そんな全く分かっていないナディの言動を聞いた使用人一同は、揃いも揃って微妙な表情を浮かべた。
「それと、隙あらば抱き付こうとするとも言いましたわね」
「そうなのよ。あれどうにかならない? 思春期だから仕方ないとは思ってるけど、せめて人前では本当に止めてほしいわ」
似たような会話を以前『辺境都市』でしていたのだが、喉元を過ぎて忘れてしまったようだ。
今更ながら、シュルヴェステルの苦労を偲んでため息を吐くフロランス。ちょっと頭痛を覚え、こめかみに人差し指を当てて頭を振る。
「いいですか、ナディ」
「あれ? どうしたのフロウ。偏頭痛? 頭痛薬持ってるわよ」
「いえ、必要ありません。それよりあなた、シュルヴェステル殿に言われたことを忘れましたの?」
フロランスの諭すような言葉にわずかに考え、そして何かに思い当ったのかみるみる赤面する。
「つまりはそういうことです。どうとも思っていない殿方に、通常であればそのようなことはさせませんし、嫉妬もしませんわ。何というか、本当に、やれやれですわ」
諭すように言いながら、そして最後にナディがよく言っているキメ台詞を付け加えるフロランス。レオノールがサムズアップしている。
そして言われたナディは、制止するつもりで言ったいろいろを思い出し、
「……はぅ……」
両手で顔を押さえてその場にしゃがみ込んでしまった。その恥じらう姿に使用人一同キュンとするのだが、そこはプロ。何事もなかったかのように素知らぬ顔をする。
(うわ、この娘めっちゃ可愛いんだけど)
(まさか無自覚なの? 待って待って、キュンキュンするわ!)
(見た目綺麗だし仕草も可愛いとか、最高だな)
(えー、ヴァレリー様ってば、こんないい娘をどこから見付けてきたの?)
(自分の気持ちに無自覚だけど、結局ヴァレリー様をメッチャ好きだよね?)
(こんな美人で可愛い娘と、ヴァレリー様は同衾した? 羨ましい!)
(諭すフロランス様も素敵だけど、この娘も可愛いわね。ああ、抱き締めたい!)
(濡鴉色の髪で、暗紫の瞳な、『辺境都市』から来た美人な娘? ……は! 『剣花の天使』!?)
しかし、内心ではそんなことを考えてニヨニヨしていた。一部、どこから仕入れたのか激怒される称号を思い出し、控え目に「ふっ」と謎ポーズをとっているヤツもいたが。
「相変わらずの無自覚ツンデレ。ツンデレお姉ちゃん可愛い。かわおね」
レオノールの純度百%な賞賛も、今はナディの心をえぐるだけであった。
「しっかりとしたお披露目は夜にでもしますわ。とりあえず、二人の部屋を用意して下さい。ナディ、いつまでも羞恥に悶えていないで行きますわよ」
「べべ別にもももも悶えてなんかかいなないわ」
「……噛みまくっていますわ」
「かか噛んでなんかいなないわよ。やーねーフロウったら、勘違いしちゃちゃって。さぁ行きましょうやれ行きましょう即行きましょう」
誤魔化すようにそう言いながら、行先も分からないのにどこかへ行こうとするナディであった。
(全然誤魔化せていませんわね……)
ちょっとした仕返しのつもりだったが、思った以上に効果的だったらしい。もっとも仕返しなどを考えなくとも、派手に自爆していたが。
(これで反省して、私へのセクハラも控えてくれると嬉しいのですが……きっと無理でしょね)
そう考えて、ため息を吐くフロランスだった。
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