呪いの魔女

ジャメヴ

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カテリーナ様

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  すると、何故かカテリーナさんとジョヴァンニさんが足を止めている。下には赤い絨毯……。これは?
「こちらの魔法の絨毯で現地に向かいます」
「えええ?!」
「チッ。いちいちうるさいわね!  だから、貧乏人と一緒は嫌なのよ!」
カテリーナさんは舌打ちをした後、本当に嫌そうな顔をした。俺は今になってようやく気付いた。ロレンツォさんはキツめの冗談だと言ったけど違う。この人は普通に性格が悪いんだ。お嬢様だから、わがままに育てられてきたせいで、このような態度をとるのだろう。
  まあ、それは置いといて魔法の絨毯だって?!  信じられない。金持ちは本当に次元が違う。
  俺は半信半疑ながら、恐いので出来るだけ絨毯の中央に乗り、ロレンツォさんが絨毯に乗った瞬間、絨毯がフワッと浮いた。
  おおお~!  また、カテリーナさんに怒られるのも嫌なので、声は出していないけど大興奮だ。ゆっくりと動きだし、徐々にスピードが上がる。40km/h ぐらいは出ているだろう。どういう仕組みなのだろうか?
「あの島が目的地です」
ロレンツォさんが俺に近付き、左手で指差し言った。俺達が住んでいる島から1キロ程離れている小さな島だ。周りが砂浜で中央が森になっている一般的な島。人は住んでいそうに無い。モンスターだけなのだろう。
  魔法の絨毯が砂浜に着陸すると、カテリーナさんが我先にと歩き出す。それを見てジョヴァンニさんも遅れないよう付いていき、さらに、ロレンツォさんが追いかけたので、俺も急いで付いていく。カテリーナさんは恐く無いのだろうか?  モンスターに出くわす可能性もあるというのに……。ロレンツォさんがカテリーナさんを追い抜いたので、俺も追い抜いて2番手で歩く。ロレンツォさんは半身で振り返り、俺達に言う。
「本番の前に、練習として雑魚を倒しておきましょう」
「了解です」
俺しか返事をしない。カテリーナさんは、相変わらずツーンと斜め上を向き、俺と目を合わせようとしないし、ジョヴァンニさんに至っては、まだ一言も発していない。無口にも程がある。
「アイツらにしましょうか」
ロレンツォさんの目線の先にはトラのようなモンスターが複数いる。攻撃力が高そうだけど、物理攻撃の敵なら自信がある。元々、耐久力だけは高い上に、カーボンのフル装備だ。魔法を使う可能性もあるけど、パッと見からは爪や牙で攻撃してくるんじゃないだろうか。木が邪魔で何体いるのかがハッキリ分からない。
「ここでお待ち下さい。私が釣ってきます」
「了解です」
ロレンツォさんはそう言うと、モンスターの方へ走り出した。この場所は少しだけ拓けていて戦い易いからだろう。モンスターがロレンツォさんに襲い掛かるのを見てロレンツォさんは俺達の方へ戻ってきた。
「掛かって来い!」
俺は、盾を持った左手でクイクイっとモンスターを挑発しながら叫んだ。すると、モンスター達全てが攻撃対象を俺に変えた。モンスターは4体のようだ。予想通り爪と牙で襲ってくる。動きは速い。
ガアアー!
猛獣の咆哮ほうこうにも恐れる事無く、俺は盾と槍で防ぐ。
「ぐっ!」
さすがに4体全ての攻撃は防げず、モンスターの爪を食らった。その時、ロレンツォさんがモンスターの1体へ攻撃を放つ。
バシュッ……バシュッ!
速い!  しかも、華麗な2回攻撃。これがレオの言っていたイケメンの戦い方かと見とれてしまった。まるで踊っているかのように妖艶でありながら、柔らかく、そして力強い。
バシュッ……バシュッ!  ドサッ
強い。あっという間に1体を倒した。その時!
バリバリバリ……
「ぐああ!」
急に身体中へ電流が走った。俺は物理攻撃には強いけど、魔法系には弱い。コイツらは魔法も使うのかと後ろを振り返る。すると、俺の目に信じられない光景が飛び込んできた。カテリーナさんの杖の先が俺の方を向いている。
「キャハハ。どこ見てるのよ!  敵はソイツらでしょ!」
カテリーナさんはそう言いながら、さらに俺へ杖を振りかざす。すると、巨大な火の玉が俺を襲う。
ブオオ……
「あっ!  ちぃ!」
「キャハハ。情けない声出さないの!  男でしょ!」
今度は炎系の魔法だ。何だコイツ。冗談では済まされない!  
ガアア……
「ぐあっ!」
しまった。カテリーナさんに気を取られてモンスターの攻撃をまともに食らってしまった。とにかく、コイツらの攻撃だけは最小限にしないとと思いながら、チラッとカテリーナさんを見ると、杖を振りかざしている。またか、と思った瞬間、炎がロレンツォさんに襲い掛かる。マジかよコイツと思った刹那、ロレンツォさんは華麗な舞で、2本の剣に炎を絡ませると、そのままモンスターを斬りつける。
バシュッ……バシュッ!  ドサッ、ブオオ……
モンスターは斬られた後、燃えながら倒れた。凄い、凄過ぎる。男の俺でも惚れてしまいそうな格好良さ。俺も真似したいと思い、カテリーナさんを横目で見る。杖を振りかざした。来いっ。俺も槍に炎を絡ませて、敵を斬りつけてやる。
バリバリバリ……
「ぎゃああ!」
「キャハハ、バカね」
電流かよ!  俺がカテリーナさんの電流に痺れている時、残りの2体もロレンツォさんがあっさり倒した。それを見て俺はカテリーナさんに詰め寄る。
「カテリーナさん、あんたね……」
「誰に向かって口を利いているの!  無礼よ!  身分を弁《わきま》えなさい」
これだけ傍若無人に振る舞いながら、謝りもせず強気な女だなと思っているとロレンツォさんが割って入ってきた。
「ブラッドさん、申し訳ありません!  お嬢様もブラッドさんの実力を試そうとされただけだと思います。本番ではこのような事はありませんので」
「……まあ、良いけど……」
その時、白い光が俺を照らすと、体の痛みが消えた。ジョヴァンニさんが回復してくれたのだろう。
「あ、ありがとうございます」
俺が礼を言うと、ジョヴァンニさんは軽く会釈した。無口だけど、彼は良い人のようだ。いや、ダメージを負ったパーティーのメンバーをヒーラーが回復するのは当たり前なんだけどね……。
「では、次は本番です。あの結界がそうです」
ロレンツォさんの目線の100メートルぐらい先には黄色い結界が張られている。俺達は歩きながら話す。
「あの結界の中に入れば襲ってきます。ブラッドさんのタイミングで結界の中に入ってください。そして、1番大事なのは、直ぐに鎧の騎士を挑発してください。魔女の呪いよりも早く挑発を入れられれば勝ち確定です」
「なるほど。分かりました」
さすがロレンツォさんだ、考えられている。呪いの魔女の怖いところはタンク能力を無力化してしまう可能性がある事。先に騎士を釣る事が出来れば、ロレンツォさんの強さなら圧勝だろう。ただ、ロレンツォさんへの呪いがヤバいやつならどうしようも無い。
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