呪いの魔女

ジャメヴ

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呪いの魔女

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  遂に、黄色い結界内に鎧の騎士が見えた。金持ちが住む洋館の中にオブジェとして置かれているのをよく見る鎧そのままだ。突く事しか出来ないフェンシングのような剣を持っている。中々格好良い。さらに、その奥の呪いの魔女も見えてきた。

えっ?!

  魔女と言うからには、しわくちゃの老婆をイメージしていたけど、小柄で可愛い顔をした美少女だ。予想通りの黒いとんがり帽子に黒いローブ。なんとなく、戦う気が失せた。アタッカーじゃなくて良かったと思った。モンスターとは言え、可愛い女の子を斬りつける気にはなれない。
「相変わらず醜いわね。こっち見ないでよ、気持ち悪いから」
醜い?  後ろからカテリーナさんの声が聞こえたので、俺は後ろを振り向く。
「うわっ!」
思わず、のけぞりながら声を出してしまった。化け物が居たのだ。いや、ロレンツォさんが化け物だったのだ。いや、それも違う。包帯を外したロレンツォさんの顔は、濃硫酸でもかけられたかのように皮膚がドロドロにただれ、島1番のイケメンという面影は無い。どうしてこんな事に……。そうか!  コレが魔女の呪いか。呪いによって美貌を奪われたって事なのだろう。あっ!  そう言えば、ジョヴァンニさんが全く喋らない理由って、呪いによって声を奪われたんじゃないだろうか。なるほど……いい人そうなのに無愛想な理由が分かった。という事はカテリーナさんも何らかの呪いにかかっている可能性が高い。外見上は問題無さそうだけど、寿命を奪われるといったような、一見分からない呪いなんだろう。
「ブラッドさんのタイミングで結界内に入ってください。騎士への挑発の速度が命です」
「分かりました。気持ちの整理がつけば行きます」
美少女の魔女を見て戦う気持ちが失せていたけど、ロレンツォさんの姿を見て、呪いの魔女を倒さなければという気持ちが戻ってきた。もしかすると、ロレンツォさんは俺を鼓舞する為に包帯を取ったのかも知れない。俺は皆の方を向き気合い充分に言う。
「それでは行きます」
「承知!」「早く行きなさいよ、のろまね」
俺は2人の返事とジョヴァンニさんの頷きを見て鎧の騎士を睨み付けた。頭の中で『挑発』と言い聞かせてから結界内に体全体で飛び込む。
「掛かって来いよ!」
俺は鎧の騎士に向かって叫んだ後、槍を頭の上でぐるぐると2回まわし、盾を構えた。
ガシャンガシャン……
重そうな鎧なのに中々素早い動きで向かってくる。挑発が決まったようだ。フェンシングの剣のようなタイプの武器は突く事しか出来ない。カーボンの鎧の継ぎ目に入れば致命傷だけど、盾で簡単に防げる筈だ。後はパワー負けさえしなければ……。
  その時!  鎧の騎士が視界から消えた!  いや、違う!  見えない!  目が見えない!  ヤバい!  
  呪いによって視力を奪われたのだと悟った。
ガシャンガシャン……
見えないけど避けるのだけは絶対にダメだ。後衛に攻撃が漏れてしまう可能性がある。俺は逆に距離を詰めて体当たりをしようと思った。長い武器は近距離では威力を発揮出来ないだろうから。
「おおお!」
俺は音の聞こえる方へ盾を構えて突進した。
ガシャーン
良し!  最初の攻撃を防いだと思った刹那!
「ぐああ!」
左足の股関節から激痛が走る。ヤバい!  俺は継ぎ目に剣を突き刺されたのだと理解した。だけど、痛みが消えていく。
「?」
そして、直ぐに氷解する。ジョヴァンニさんが回復してくれたのだと。

  戦闘の上手な後衛というのはタイミングが優れている。回復や補助系の術は敵の攻撃に合わせるのが最も良い。敵の攻撃の寸前に妨害系の術を入れれば、効果覿面てきめんだ。今回のジョヴァンニさんのように、致命傷を与えられた瞬間に回復をすれば、ほぼノーダメージとなる。
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