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幸せのペアリング
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だからと言って、大ピンチに変わりは無い。挑発が切れれば後衛に攻撃が漏れてしまう。
ブオオ……ブシュッ……ガシャン……
ん? どうなった?
バシュッ……ドサッ
その時、周りが明るくなり光が目に入る。呪いが解けたのかと思うと同時に、呪いの魔女と鎧の騎士が、倒れているのが目に入った。
「やったー! 勝ったー!」
俺は嬉しくなり叫んだと同時に、カテリーナさんが「この程度で騒がないでよ!」と強い口調で言う影像が頭に浮かんだんだけど、後ろからは聞いた事の無い低い声が微かに聞こえてきただけだった。
「良かった……」
俺は後ろを振り返る。ジョヴァンニさんが喋れるようになったんだと思うと同時に、カテリーナさんがペタンと座り込んでいるのが目に入った。どうしたんだろう?
「わああ……うっうっ」
何と! 泣いている。あの気丈なカテリーナさんが声を漏らして泣いている。信じられない。ジョヴァンニさんが彼女に近付き、頭をそっと撫でる。1度負けた相手だからと言って、人の前で涙を見せるような人だったかと、俺は想定外の展開に付いていけず、呆然と立ち尽くしていると、後ろから声を掛けられた。
「ブラッドさんありがとうございました」
「いえいえ、良い経験になり……えええ?!」
俺は驚愕した。今まで見た事の無い程の絶世の美男子が目の前に立っている。いや、考えれば当たり前なんだけど、あの化け物のような顔からは想像できなかったロレンツォさんの整った顔。俺もこんな顔になりたい。
「顔、治ってますか?」
ロレンツォさんは左手で自分の顔を触りながらニッコリ微笑んだ。あまりにイケメンなので、俺が見とれて何も言えなくなってしまっていたところ、後ろから声を掛けられる。
「ブラッドさんありがとうございました。数々の御無礼申し訳ありません!」
ま、まさかと思い振り返ると、そのまさかだった。頭を下げるカテリーナさんの姿……。本当、訳が分からな……あっ! 分かった! カテリーナさんは呪いによって嫌な性格になっていたんだ。良心を奪われたという事なんだろうか。そして、カテリーナさんが頭をあげる。涙目の上目遣い。今まで強気だった女性の弱そうな姿。そして、何より絶世の美女。色んな相乗効果で、俺は完全に恋に落ちた。凛々しい顔をして彼女に言う。
「呪いが解けたんですね。良かったです」
そして、ニッコリ微笑んだ。決まった。困っているところを助けられ、優しく微笑まれたら、俺の事を好きになる可能性もあるだろう。彼女はもう一度ペコリと頭を下げ、俺の方を見た。その顔は完全に恋をする乙女の顔だった。この後、どうするのが正解なのかを考えていると、後ろから声が聞こえた。
「カテリーナ……」
そして、カテリーナさんも応える。
「ロレンツォ……」
明らかに俺が2人の視界に入っているというのに、完全に2人の世界に入り込んでいる。そして、じっと見つめ合った後、喜びのハグをした。
そりゃそうだよね。そりゃそうだよね。絶世の美男美女だもの。そりゃそうだよね。カテリーナさんが見せた乙女の顔は、俺の後ろにいたロレンツォさんへ向けたものだったんだ。俺はギネス級のスピードで失恋したのだった。
帰り道、先導するロレンツォさんに俺は疑問だった事を聞く。
「今回、皆さんは呪いにかからなかったんですか?」
「ああ、魔女って呪いをかける事しか攻撃パターンが無いみたいなんです。それは、前回の戦闘で感じていました。それで、2度目以降の呪いは恐らくかかっていません。だから、今回もかからないと予想していました」
納得した。俺の挑発が決まれば勝ち確定だと言ったのは、ロレンツォさんの強さなら必然だったんだ。
後日
「慈しみ深き友なるイエスは♪」
島中の皆が合唱する。今日はロレンツォさんとカテリーナさんの結婚式だ。タキシードのロレンツォさんとウエディングドレスのカテリーナさんを見ると、お似合いだという事を再確認させられる。
神父さんが2人に誓約の確認をしている時、俺は隣にいるレオに小声で聞く。
「そう言えば、金持ちのビジュー家が危険を冒してまで、呪いの魔女を倒す理由って何だったんだ? 何か金で買えない物をドロップするのか?」
呪いの魔女を倒した時、色んな事が起こり過ぎて、ドロップの確認を忘れていた事に今気付いた。レオは右手でロレンツォさん達を指差し「あれだよ」と言った。
「それでは指輪を交換してください」
2人は大金持ちの割には地味な指輪をお互いに嵌《は》めあった。
「幸せのペアリング。着けた2人は一生幸せになるって話さ。まあ、迷信だろうけど、呪いの魔女からのドロップだし、何らかの効果は有りそうだよな」
「そうか……という事は、2人の結婚は随分前から決まっていたって事か……とんだピエロだな」
「何だよ、まだ引きずってんのか? 酒でも飲んで忘れろよ。今日は朝まで飲み明かそうぜ」
「付き合ってくれるのか?」
「もちろんだ」
「よし、俺の奢りで酒場デビューといこうか。金ならあるんだ!」
「オッケー」
俺達は先週、2人共20歳になった。まだ酒は飲んだ事が無い。
その日の夜、俺達2人は酒場デビューをし、乾杯した最初のコップ1杯の酒を一気飲みした直後に2人共気分が悪くなり、ギネス級のスピードで宴会はお開きになったのだった。
了
ブオオ……ブシュッ……ガシャン……
ん? どうなった?
バシュッ……ドサッ
その時、周りが明るくなり光が目に入る。呪いが解けたのかと思うと同時に、呪いの魔女と鎧の騎士が、倒れているのが目に入った。
「やったー! 勝ったー!」
俺は嬉しくなり叫んだと同時に、カテリーナさんが「この程度で騒がないでよ!」と強い口調で言う影像が頭に浮かんだんだけど、後ろからは聞いた事の無い低い声が微かに聞こえてきただけだった。
「良かった……」
俺は後ろを振り返る。ジョヴァンニさんが喋れるようになったんだと思うと同時に、カテリーナさんがペタンと座り込んでいるのが目に入った。どうしたんだろう?
「わああ……うっうっ」
何と! 泣いている。あの気丈なカテリーナさんが声を漏らして泣いている。信じられない。ジョヴァンニさんが彼女に近付き、頭をそっと撫でる。1度負けた相手だからと言って、人の前で涙を見せるような人だったかと、俺は想定外の展開に付いていけず、呆然と立ち尽くしていると、後ろから声を掛けられた。
「ブラッドさんありがとうございました」
「いえいえ、良い経験になり……えええ?!」
俺は驚愕した。今まで見た事の無い程の絶世の美男子が目の前に立っている。いや、考えれば当たり前なんだけど、あの化け物のような顔からは想像できなかったロレンツォさんの整った顔。俺もこんな顔になりたい。
「顔、治ってますか?」
ロレンツォさんは左手で自分の顔を触りながらニッコリ微笑んだ。あまりにイケメンなので、俺が見とれて何も言えなくなってしまっていたところ、後ろから声を掛けられる。
「ブラッドさんありがとうございました。数々の御無礼申し訳ありません!」
ま、まさかと思い振り返ると、そのまさかだった。頭を下げるカテリーナさんの姿……。本当、訳が分からな……あっ! 分かった! カテリーナさんは呪いによって嫌な性格になっていたんだ。良心を奪われたという事なんだろうか。そして、カテリーナさんが頭をあげる。涙目の上目遣い。今まで強気だった女性の弱そうな姿。そして、何より絶世の美女。色んな相乗効果で、俺は完全に恋に落ちた。凛々しい顔をして彼女に言う。
「呪いが解けたんですね。良かったです」
そして、ニッコリ微笑んだ。決まった。困っているところを助けられ、優しく微笑まれたら、俺の事を好きになる可能性もあるだろう。彼女はもう一度ペコリと頭を下げ、俺の方を見た。その顔は完全に恋をする乙女の顔だった。この後、どうするのが正解なのかを考えていると、後ろから声が聞こえた。
「カテリーナ……」
そして、カテリーナさんも応える。
「ロレンツォ……」
明らかに俺が2人の視界に入っているというのに、完全に2人の世界に入り込んでいる。そして、じっと見つめ合った後、喜びのハグをした。
そりゃそうだよね。そりゃそうだよね。絶世の美男美女だもの。そりゃそうだよね。カテリーナさんが見せた乙女の顔は、俺の後ろにいたロレンツォさんへ向けたものだったんだ。俺はギネス級のスピードで失恋したのだった。
帰り道、先導するロレンツォさんに俺は疑問だった事を聞く。
「今回、皆さんは呪いにかからなかったんですか?」
「ああ、魔女って呪いをかける事しか攻撃パターンが無いみたいなんです。それは、前回の戦闘で感じていました。それで、2度目以降の呪いは恐らくかかっていません。だから、今回もかからないと予想していました」
納得した。俺の挑発が決まれば勝ち確定だと言ったのは、ロレンツォさんの強さなら必然だったんだ。
後日
「慈しみ深き友なるイエスは♪」
島中の皆が合唱する。今日はロレンツォさんとカテリーナさんの結婚式だ。タキシードのロレンツォさんとウエディングドレスのカテリーナさんを見ると、お似合いだという事を再確認させられる。
神父さんが2人に誓約の確認をしている時、俺は隣にいるレオに小声で聞く。
「そう言えば、金持ちのビジュー家が危険を冒してまで、呪いの魔女を倒す理由って何だったんだ? 何か金で買えない物をドロップするのか?」
呪いの魔女を倒した時、色んな事が起こり過ぎて、ドロップの確認を忘れていた事に今気付いた。レオは右手でロレンツォさん達を指差し「あれだよ」と言った。
「それでは指輪を交換してください」
2人は大金持ちの割には地味な指輪をお互いに嵌《は》めあった。
「幸せのペアリング。着けた2人は一生幸せになるって話さ。まあ、迷信だろうけど、呪いの魔女からのドロップだし、何らかの効果は有りそうだよな」
「そうか……という事は、2人の結婚は随分前から決まっていたって事か……とんだピエロだな」
「何だよ、まだ引きずってんのか? 酒でも飲んで忘れろよ。今日は朝まで飲み明かそうぜ」
「付き合ってくれるのか?」
「もちろんだ」
「よし、俺の奢りで酒場デビューといこうか。金ならあるんだ!」
「オッケー」
俺達は先週、2人共20歳になった。まだ酒は飲んだ事が無い。
その日の夜、俺達2人は酒場デビューをし、乾杯した最初のコップ1杯の酒を一気飲みした直後に2人共気分が悪くなり、ギネス級のスピードで宴会はお開きになったのだった。
了
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