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ジャメヴ

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父親?

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コンコンコン
・・・反応が無い。
コンコンコン
・・・反応が無い。まだ寝ているのかと思いながらノブに手を掛ける。
ガチャ
開いた。
「おはようございまーす」
「うー、うー・・・」
唸り声が聞こえる。今、起きたのかもしれない。
「朝早くからすみません」
俺は謝りながら部屋の中に入る。俺達の部屋より少し大きな部屋だ。カーテンが少し開いていて、光が差し込み明るい。ベッドを見ても人が寝ている感じは無い。変だなと思いながら父親であろう男性を探す。
「うー、うー・・・」
ベッドの向こうから唸り声が聞こえる。もしかしたら、ベッドから落ちたのかもしれない。
「大丈夫ですか?」
俺は小走りでベッドの向こう側に回る。すると、衝撃の状況を目の当たりにした! 彼は目隠しの上、口をテープで止められ、結束バンド2本で後ろ手に縛られているようだ。よく見ると、両足も結束バンド2本で止められている。
「どうしたんですか?!」
「うーうー」
彼は俺に気付いてもらえたからなのか、口をテープで止められながらも必死で声を出そうとしている。俺は彼に駆け寄ろうと思ったのだけど、犯人が近くにいる可能性があると思い、ビクビクしながら周りを見渡した。・・・いない様だ。だけど、どこかに隠れている可能性もある。もし、隠れているとすれば、クローゼットが本命だ。怖い・・・。俺まで捕まってしまうと大変だ。俺は周囲を気にして、クローゼットの方をチラチラ見ながら彼に近寄る。
「テープ剥がしますね」
「うーうー」
彼は大きく2回頷いた。俺はテープの端を持つと、クローゼットを見ながらゆっくりとテープを剥がす。苦しそうだけど、結構しっかりしたテープで止められている為、一気に剥がすと唇から出血するかもしれない。鼻で呼吸は出来てそうだけど、相当苦しかっただろう。ゆっくりと半分ぐらい剥がす事が出来たけど、口の周りは真っ赤だ。何とか唇を傷付ける事無く、テープを全て剥がせた。
「ハァハァ、ありがとう」
俺はクローゼットを見ながら目隠しを取り、呟く。
「誰がこんな事を・・・」
目隠しを外し、顔を見ると、想像していた40代の顔ではなく、20歳前後のイケメンだった。
  わ、若い・・・。 そう思った時、彼は話す。
「この部屋の人にやられたんだ」
「えっ?! そうなのか?」
「ああ・・・」
という事は、彼は父さんではない。
「ちょっと待ってて、誰か呼んでくる!」
どうして父さんが? この人の父親でもある筈なのに。
俺は入り口まで走りドアを開けて叫ぶ。
「皆~! 来てくれ~! 事件があったんだ~! 1階に降りてきてくれ~!」
俺は一階の広場真ん中まで行き、2階を見上げた。最初にドアが開いたのは七音の部屋だ。
「双六! どうした?!」
「七音来てくれ! 大事件なんだ!」
七音は取り敢えず小走りで階段を下りてくる。その時、2階左後ろのドアが開いた音がした。
「どうした?!」
「襲われてるんです!」
彼も小走りで向かってくる。寝起きの為、髪の毛は逆立てていないけど、洗面台で七音と話した男性だろう。その時、七音が駆け寄り話す。
「いったいどうしたんだ?!」
「取り敢えず、ついて来てくれ」
俺は七音を先導し、進行役の部屋に入った。
「七音、こっち!」
そして、ベッドの裏側へ回る。縛られた男性は動けずそのまま待機している。
「どうしたんですか?!」
七音は俺と同じように、男性へ問い掛けた。
「この部屋の人に縛られたんだ」
「この部屋って・・・進行役の人に?! 何で?!」
「分からない・・・」
「すみません、今更ですが、お名前何て言うんですか?」
「アラカワです。・・・アラカワケンジです」
「双六、そのクローゼットの中は見たか?」
「いや、まだ・・・」
怖くて見れていないとは言えなかった。七音はゆっくりとクローゼットに近付く。勇敢だ。俺にはクローゼットの中で犯人が包丁を持って構えている映像が見えて、怖くて開けれなかったのに。七音は一気にクローゼットを開けた!
ガラガラガラガラ
・・・誰もいない。七音はクローゼットの中を覗き込んだ。
「いないみたいだな。双六、アラカワさんを見ていてくれ。俺はキッチンから包丁を取ってくる」
「分かった」
七音は部屋を飛び出した。その後、直ぐに男性が入って来る。髪の毛は逆立てていないけど、その彼だろう。彼はアラカワを見るなり叫んだ。
「ど、どうした?!」
「進行役の人に縛られたらしいんです」
「進行役? この部屋の人か?」
「そうらしいです」
その時、右から駆け寄る音が聞こえた。
「今、進行役の人は何処にいるの?!」
女性の声が聞こえたので、俺はビックリしてそっちを見る。ヨツバだ。ヨツバがパジャマ姿のまま来たようだ。俺は答える。
「分からない」
ヨツバは軽く周りを見渡した後、アラカワに近寄る。
「怪我は・・・無いみたいね」
「口をテープで止められて、目隠しされていたんだ」
そこに七音が包丁らしきものにキッチンペーパーをぐるぐる巻きにして持って帰って来た。危ないからという配慮だろう。
「包丁を持ってきた」
ヨツバがビクッとなった。そりゃそうだ。この状況をよく分かっていないのに、包丁を持って来られたら、犯人かと思ってしまう。
「結束バンドを切ろう」
俺は七音にアラカワまでの道をあけた。すると、ヨツバともう一人の男性が大きく避けた。やはり、包丁を持っているからには、犯人かもしれないと警戒している為だろう。俺は七音を信用できるけど、他の人は信用できる筈もない。
  七音が結束バンドを包丁で切ろうとした、その時。
「ちょっと待って!」
ヨツバが叫んだ。
「ん?」
全員が不思議そうにヨツバを見る。
「あの・・・5分だけ待ってもらって良いかな?」
全員が呆気にとられている。
「ちょっと良い?」
ヨツバは俺の右腕の袖口を引っ張った。
「何?」
俺はヨツバと仲の良い感じを出さないよう気を付けながら、ヨツバに引っ張られて外に出た後、小声で聞く。
「どうした?」
「縛られて無傷っておかしくない?  私がミステリー小説を読みすぎてるせいかもしれないけど・・・」
「どういう事?」
「杞憂だったら良いんだけど・・・。ちょっと隣の部屋を開けてみてくれない?」
「ここ?」
俺は進行役の部屋の隣を指差しヨツバに確認した。
「うん」
俺はどうせ開かないだろうと思いながらもドアをノックする。
コンコンコン
反応が無い。やっぱりなと思い、ノブに手を掛ける。
ガチャ
「!」
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