ゴーストライター

ジャメヴ

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悪魔の殺し方 15

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◆その頃、下鵜瀬の作戦によって、悪魔が全滅したという事を確認した我部は、恋人のところにいた。

「ガブちゃ~ん。良くやったね」
「君の為なら何だってするよ」
「ありがとう」

  我部はまだ学生服のままだ。隣には、表現できないぐらい、非常に美しい姿をした者が居て、お礼を言った後、我部に抱きつこうとした。その時!

パン
「ギャアアアー!!」
我部の恋人は、この世のものとは思えない断末魔をあげた。我部は何が起こったのか理解できない。

  キリスト教には『七つの罪源』という言葉がある。『七つの罪源』とは人間を罪に導く源の事で、以下の七つを挙げている。傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、暴食、怠惰、そして、色欲だ。
 
  松花中学校に転入してきた生徒の中には、色欲の悪魔だけが居なかったのだ。今まで、我部は虜にされていたのだ!  色欲の悪魔に! 
  色欲の悪魔から他の悪魔を殺すよう唆された我部は、下鵜瀬を使う事によって作戦を成功させ、帰って来たのだった。そして、今、我部に抱きつこうとした色欲の悪魔が、我部の学生服を触った時、ポケットに入っていたオモチャの拳銃のトリガーに触れたのだ。弾が何処に当たったのかは分からないが、悪魔は表現できないぐらい非常に醜い姿に変わった後、溶けるように蒸発した。

  呆然と立ち尽くす、学生服のままの下級天使、我部を残して……。◆


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