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検査結果
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それから1週間が経ちました。インドでの死者は32人、中国での死者は153人になりました。ただ、日本を含め他の国では、死者は確認されていません。感染症の可能性が高く、致死率は100%近いというのに、死者が思ったより増えないので、日本政府は、2次感染は無いとの見解を表明しました。要するに、感染源の人からは感染するけど、感染した人からは感染しないのじゃないか、という事のようです。
不幸中の幸いと言うか、インドでは感染源の男性がハッキリしています。この男性の血液を調べたところ、細菌の増殖を抑える抗体が普通の人の10倍近くあったそうなんです。また中国でも、感染源の人物を3人に絞りこみ、その内の1人の抗体量がかなり高いという事が分かったそうなんです。この結果により、感染源の病になりうる人物は、細菌を抑える抗体量がかなり高いと言う仮説が立てられました。病院で血液を調べれば、感染源になりうる人物を予め絞り込めるのですが、もし、感染源の人物がいた場合、院内感染する可能性があり、大変な事になってしまいます。なので、自宅で採血キットを使って、採取した血液を郵送するのが理想の方法との事です。検査代は約1万円って話です。島民全員を検査するとなると、100万円程度掛かります。でも、大造さんは惜しみ無く購入して、島民全員に配ってくれました。島民と「フラワーランド」を第1に考えてくれています。
採血キットは、指先を消毒して針が内蔵された物を指先に押し付け、少しだけ出血させた後、血を押し出し、吸い取るという簡単なものでした。先端恐怖症の私でも針の先端が見えない様になっているので、問題無く出来ました。後は結果待ちです。
ネット上では、私が想定していたより、遥かに酷い書き込みがあるようです。感染源の人を隔離するだけでは足りず、殺してしまえ! という意見が多数あるとの事です。皆、自分や家族が危険にさらされますし、しょうがないのかもしれません。私は少し怖くなって、龍馬へ電話しました。
「どうした?」
「龍馬、元気?」
「ああ。サッカーも出来ないし、感染のニュースについてずっと調べてるよ」
「どう? 何か分かった?」
「ああ。抗体量の検査には重大な欠陥があることが分かったよ」
「えっ?! 欠陥?」
「ああ。抗体量の検査は血液中の、細菌を抑える抗体量を調べて、一定値以上あれば陽性と判断するみたいなんだけど、感染源じゃない人でも、100人に1人は抗体量の多い人がいて、陽性と誤判定されるみたいなんだ」
私は、誰かが関係無いのにバイ菌扱いされるのでは? と危惧しました。ネット上に書かれている様に、殺されるとまでは思いませんが、誹謗中傷で自殺に追い込まれる人が出てくるかもしれません。
「ということは、この島の1人は必ず誤判定されるって事?」
私は100人に1人誤判定されると聞き、そう思いました。
「いや、必ずじゃない。1人以上陽性の判定が出るのは約63%だ」
「63……。そうなんだ……。陽性判定が出たらどうなっちゃうのかな?」
「取り敢えず隔離しないと駄目なんだけど、今日、新しい発見があったみたいで……」
ピンポーン
「あれ、誰か来たみたい」
私は窓から玄関先を覗きました。大造さんです。
「大造さんが来たみたい」
「えっ?! まさか……」
「ん? 何?」
「美優~! 降りてきて~!」
お母さんが私を呼びました。
「は~い! 龍馬、呼ばれたから切るね」
「あっ、ちょっと……」
私は、龍馬が何か言いかけたのが少し気になりましたが、後で連絡すれば良いと思い、電話を切りました。部屋を出て、階段を降りると、大造さんが靴を脱いでいるところでした。
「こんにちは、大造さん」
「こんにちは、美優ちゃん。ちょっと大事な話があるんだ」
大造さんは神妙な面持ちで言いました。いつも笑顔で優しいイメージだったので、私は少し恐怖を感じました。その時。
ピンポーン……ガチャ!
息を切らしてドアを勢いよく開けたのは龍馬でした。手には何故かノートを持っています。
「龍馬?! どうしたの?」
「ハァハァ……美優、俺も家に入れてくれ」
「龍馬君、ちょっと大事な話なんだ」
大造さんが龍馬に告げました。
「じゃあ、尚更一緒に聞かせてください」
私には、龍馬がどうして必死なのか分かりませんでしたが、何故か龍馬にも聞いて欲しいと感じました。
「大造さん、龍馬も一緒に聞いて良いですか?」
大造さんは少し考えた後、承諾してくれました。
リビングのこたつ机にお父さん、お母さん、大造さん私と4方向に座り、龍馬は私の右後ろに座りました。そして、大造さんが意を決したように言いました。
「美優ちゃんに陽性判定が出ました」
不幸中の幸いと言うか、インドでは感染源の男性がハッキリしています。この男性の血液を調べたところ、細菌の増殖を抑える抗体が普通の人の10倍近くあったそうなんです。また中国でも、感染源の人物を3人に絞りこみ、その内の1人の抗体量がかなり高いという事が分かったそうなんです。この結果により、感染源の病になりうる人物は、細菌を抑える抗体量がかなり高いと言う仮説が立てられました。病院で血液を調べれば、感染源になりうる人物を予め絞り込めるのですが、もし、感染源の人物がいた場合、院内感染する可能性があり、大変な事になってしまいます。なので、自宅で採血キットを使って、採取した血液を郵送するのが理想の方法との事です。検査代は約1万円って話です。島民全員を検査するとなると、100万円程度掛かります。でも、大造さんは惜しみ無く購入して、島民全員に配ってくれました。島民と「フラワーランド」を第1に考えてくれています。
採血キットは、指先を消毒して針が内蔵された物を指先に押し付け、少しだけ出血させた後、血を押し出し、吸い取るという簡単なものでした。先端恐怖症の私でも針の先端が見えない様になっているので、問題無く出来ました。後は結果待ちです。
ネット上では、私が想定していたより、遥かに酷い書き込みがあるようです。感染源の人を隔離するだけでは足りず、殺してしまえ! という意見が多数あるとの事です。皆、自分や家族が危険にさらされますし、しょうがないのかもしれません。私は少し怖くなって、龍馬へ電話しました。
「どうした?」
「龍馬、元気?」
「ああ。サッカーも出来ないし、感染のニュースについてずっと調べてるよ」
「どう? 何か分かった?」
「ああ。抗体量の検査には重大な欠陥があることが分かったよ」
「えっ?! 欠陥?」
「ああ。抗体量の検査は血液中の、細菌を抑える抗体量を調べて、一定値以上あれば陽性と判断するみたいなんだけど、感染源じゃない人でも、100人に1人は抗体量の多い人がいて、陽性と誤判定されるみたいなんだ」
私は、誰かが関係無いのにバイ菌扱いされるのでは? と危惧しました。ネット上に書かれている様に、殺されるとまでは思いませんが、誹謗中傷で自殺に追い込まれる人が出てくるかもしれません。
「ということは、この島の1人は必ず誤判定されるって事?」
私は100人に1人誤判定されると聞き、そう思いました。
「いや、必ずじゃない。1人以上陽性の判定が出るのは約63%だ」
「63……。そうなんだ……。陽性判定が出たらどうなっちゃうのかな?」
「取り敢えず隔離しないと駄目なんだけど、今日、新しい発見があったみたいで……」
ピンポーン
「あれ、誰か来たみたい」
私は窓から玄関先を覗きました。大造さんです。
「大造さんが来たみたい」
「えっ?! まさか……」
「ん? 何?」
「美優~! 降りてきて~!」
お母さんが私を呼びました。
「は~い! 龍馬、呼ばれたから切るね」
「あっ、ちょっと……」
私は、龍馬が何か言いかけたのが少し気になりましたが、後で連絡すれば良いと思い、電話を切りました。部屋を出て、階段を降りると、大造さんが靴を脱いでいるところでした。
「こんにちは、大造さん」
「こんにちは、美優ちゃん。ちょっと大事な話があるんだ」
大造さんは神妙な面持ちで言いました。いつも笑顔で優しいイメージだったので、私は少し恐怖を感じました。その時。
ピンポーン……ガチャ!
息を切らしてドアを勢いよく開けたのは龍馬でした。手には何故かノートを持っています。
「龍馬?! どうしたの?」
「ハァハァ……美優、俺も家に入れてくれ」
「龍馬君、ちょっと大事な話なんだ」
大造さんが龍馬に告げました。
「じゃあ、尚更一緒に聞かせてください」
私には、龍馬がどうして必死なのか分かりませんでしたが、何故か龍馬にも聞いて欲しいと感じました。
「大造さん、龍馬も一緒に聞いて良いですか?」
大造さんは少し考えた後、承諾してくれました。
リビングのこたつ机にお父さん、お母さん、大造さん私と4方向に座り、龍馬は私の右後ろに座りました。そして、大造さんが意を決したように言いました。
「美優ちゃんに陽性判定が出ました」
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