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番外
登場人物紹介
しおりを挟むアレクシス・ターナー (20)
本編の主人公。
黒髪に眼光鋭い青年。
上背もあり、体格もよく、魔法使いというよりも剣士といったほうが似合う風貌をしている。
射抜くような目線と、鮮やかなタンザナイト・ブルーの瞳が印象的。
黒魔法と黄魔法を使いこなす「魔法使い」で、魔王ブラックファイアの最後のダンジョンマスター。
驚異的な魔力を操る高位の魔法使い。
ネリスの失われた王家の直系の子孫にあたる。
性格は、「とことん我が道を行く」タイプ。
他人の事も他者の思惑も一切気にも留めず、自分の目的の為だけに生きる。いい迷惑。
魔王のダンジョンマスターであるが故に、自己も他者も破滅への運命に巻き込んでしまう。
先祖も、両親も、恋人も、若くして非業の死を遂げている。
──だが自分の定めに正面から立ち向かおうとする意思の強い人物でもある。
「オレの運命は残酷で無慈悲な宿業に縛られている。大事な人間が増えれば増えるほど、その宿業は彼らを喰い潰すだろう。──地獄に落ちるよりも辛い、残酷な方法で。だがオレは自分に与えられた宿業から逃げ出す気はない」
ルイス談:
「あー、アレクね! 熱い男だよ、あいつは!!」
「他人のことなんてまるで気にしてなさそうだけど、そう振舞ってるだけで、殆ど失敗してるね!(笑)」
「破壊者だしね! 物事をより複雑かつ悪い方へ転がす名人だよ。うん。借金大魔王だし」
「ダンジョンを作るために資金集めにバイトしてるんだけど、俺が見るに、資金を貯めるよりも借金を増やしてるだけって気がするね!!」(ビシッ!!)
「間違いないよっ!!」
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トリニティ・ダンズワード・ネリス (18)
本編のもう一人の主人公。
花も恥らう18の乙女。ネリスの「呪われた」第1王女。
年齢は18歳だが、体の成長は10歳頃のまま。だが、体細胞年齢は60を越える老婆。
えーと。……時期をはずした萌え系美少女? (だれかここでツッコミ入れて)
「老いずして老いて死ぬ」呪いを魔王ブラックファイアより受けた、全てのものから忌み嫌われる悲劇の王女。
茶色く萎びた枯れ枝のような体に、己の気高き矜持のみを支えにして立つ、意志の強い少女。
20歳くらいには老衰死するといわれている。
意外と素直な一面もある。なんというか……幼い子供のような性格。
アレクシスと出合って彼を愛するようになるが──火の様なその性格に似合わず、かなりけなげだ。
「残された時間。自分に出来る事をするわ。あたう限りの努力を。尽くせる限りの力を尽くす。どこまで出来るかはわからないけれど、この世に生まれて来たことを後悔せずに死んでいけるよう、この国の為に尽すわ。──ウェリスに顔向け出来るように、王家に生まれた者に恥じぬ生き方をするわ。この世に生きる最後の一瞬まで、民の為に生きるわ」
ルイス談:
「プライドばっかり高くてさ、いけすかない女だと思ってたよ、ほんと」
「悲劇の王女なんていうと、本人に張り倒されそうだね。そのくらいプライドが高い。プライドだけじゃ食ってけないと俺は思うわけだけど」
「でも、恋する女の子としては、かなり健気なほうだと思うよ。……とはいえ、相手がアレクじゃあ……」
「誰か、『絶対苦労するからやめとけ』って助言してやれよ!」
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ルイス・バーグ
23歳。傭兵。時折アレクシスとコンビを組む。細身で、薄い色の金髪の柔和な美男子。
しばしば、言動が大げさで芝居がかっている。金銭は命より大事だと言うのが信条。
そのために仲間を裏切ることもしばしば。本編ではその片鱗はあまり見せないが、傭兵仲間でついた二つ名は「裏切り者」。
幼少時に親に食肉屋に売られて生き残った経歴を持つ彼は、生き延びるために悪魔に魂を売り渡し、どんな汚いことをしてでも生き残ってきた。
あまり信用できない相手だが、アレクに対しては、目が離せない…というか、世話をしてやらなくては…というような義務感に駆られるらしい。
アレクシスの危うい生き方から、目が離せないのか? ソコを考えると、実は結構な善人だという気も。
誰もがアレクシスやトリニティのような自分に正直な生き方が出来るわけではない。
そんな意味でいけば、ルイスはこの時代の一般人の代表者のような人物でもある。
「生きるためになんだってしてきた。裏切りも、他人を陥れるのも平気。見捨てるのも、見殺しにするのも馴れたものさ。──そこになんの感傷もない。この世界の人間は、皆そうしてる。他の連中がするのと同じように俺もする──ただそれだけだ。でも……だからと言って、『それ』が世界のすべてでないことくらい、こんな俺でも知ってるつもりだ。そう。俺にとってアレクシスはそんなものの最たるものの代表だ。ただし……あいつに付き合ってると、損な性格だと後悔する事はしょっちゅうだがな」
トリニティ談:
「口で言ってることと、実際にやってることと。……さらに言えば思ってることが全部違う人なのね」
「どうしてかしら──そうでなきゃ生きていけないから?」
「そりゃ私だって、自分に正直でいることって、本当にシンドイことばかりだと思うわ。他人と衝突する事もしょっちゅうだしね。何に対しても、真正面から向き合わなくちゃならないから、その覚悟も、度胸も、勇気もいる。できれば逃げてしまうのが一番楽。……でも、そうやって生きることに何の意味があるの? あたしはそう思うんだけど……」
「でも、誰もが私と同じように生きていけるわけじゃないことくらい、私だって知ってるわ。だからきっと……ルイスには心から信じられる誰かが必要なのよ」
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ウェリス・ベルクトスカ
黄魔術師。最年少の宮廷魔術師。
王女トリニティの幼馴染み。控えめで、落ち着いた青年で、トリニティをとても大切に思うが故に、彼女の呪いを解くためには、魔王ブラックファイアを滅ぼす必要があると考え、無謀な行動に出る。
「私は姫君の遊び相手兼守役として幼少時から登城するようになりました。そんな私にとってトリニティ王女は守らなければならない大切な御方なのです」
「私が魔術師になったのは、魔法の力でトリニティ王女の呪いを解くことが出来るかも知れないと考えたからです。……もっともそれは無駄に終わってしまいましたが」
「ターナーですか? 彼についてはあまり語りたくはありません。ですが、あのような魔術の使い手が実際に居るということは非常な驚きですね……。出来れば姫様
に関わって欲しくありません」
ルイス談:
「本当はネリスでも将来有望な、才能のある魔術師なんだぜ。作中じゃ、あんまりパッとしなかったけど」
「真面目すぎるのがたまにキズだよな。思い込んだら、もうこれしかないっつーか。エリートだけに折れると脆いっつーか」
「でもまぁアレだね。魔術師殿にとって運のツキだったのは、生まれて初めて会った市井の魔術師がアレクだったって事につきるよな。そういう意味でいえば、メッチャかわいそうな人だよ」
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フェルク・ワーナー
30代半ば。ネリスの勇者。
灰色の波打つ豊かな髪を後ろで一つに束ねる。ワーナーズタワーの教授もしているが、魔術師というよりは剣士なので、ローブを身につけたりはしない。
騎士よりも騎士らしいと定評のある優雅な紳士だが、彼自身は自分の事を紳士だとは言わない。やはり、名より実を取る戦士なのだ。
トリニティ達の保護者として行動を共にする。
ルイス談:
「なんつーか、一般人なんだけど貴族的な雰囲気がする人なんだよな。物腰とか、言動とか。・・・戦場でしか暮らしたことがないような人のはずなんだけど。なんでだろうな」
「あと、これはアレク談なんだけどさ、ムッチャ、策士でエゲツナク強い剣士&魔術師らしいんだぜ。普段は見た目、温和そうな紳士なのに、ハンドル握ると性格変わるタイプなんだろうか」
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悪魔 ディーバ
召喚魔法学院の生徒が不用意に呼び出した下級悪魔だが、アレクシスにつかまり、使役される。
悪魔の中でもはみ出し者で、不平ばかり言うが、結構動き、わりと使える。
アブリエルとは、なかなかいいコンビだ(天使と悪魔なのに)。アブリエルに差し出す為の専用のハンカチをいつも持ち歩いているくらいには(笑)。
トリニティと相性が良いらしく、彼女には辛抱強く付き合ってやっている。
一見、破壊的で破滅的で凶暴な性格なのだが、かなり人がいいようだ。
だからハグレ悪魔なのか?
悪魔……なので、当然もとは天使。髪や翼が黒い以外はアブリエル同様、究極的に美しい。
トンがってる。トンガリ大王。
「あー。うるさい。うるさい。うるさい。うるさいっ! 俺に話しかけるんじゃねぇっ!!!」
ルイス談:
「天使も悪魔も、こいつらの綺麗さと言ったらもう、人外! そう、人外ですよ! マジで!!」
「なんつーか、人間の綺麗な容姿とかと違って、身体の内側から光って見える? みたいな? 正視できないわけ。・・・特に悪魔はね。そばに居るだけでゾワゾワして、吐きそう。それってつまり、俺が汚れた大人ってこと......?」
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天使 アブリエル
下級天使。
天使としては「純粋な」精神を持つがゆえに、上級天使に昇級できない。
天使として神の意思の執行を執り行うには、あまりにも慈悲の心が強すぎる彼は、時には無慈悲な行動もとらざるを得ない職務に忠実であることが出来ない。
天界初の落第記録を更新中。
このままでは後数回で堕天……というところで、上司の配慮で追試の名目でアレクシスの僕になる。彼に仕え、幸せにすることがアブリエルに与えられた使命だ。
堕天前にていよく放天され、落第による堕天が先か、地上での生活で聖性を失うことによることによる堕天が先か、の瀬戸際にいる。
お人よしで、決断力がなく、うじうじとしていて、まったくもって頼れない天使だが、優しさだけは人一倍だ。
「私、頑張りますから! 無事この試練を乗り越えて天界へ戻れるよう、頑張ってマスター・アレクシスの人生を幸せにして見せます・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・本当にできますかね・・・。その、あの・・・大丈夫でしょうか・・・。あ、いえ、勿論頑張りますけど、・・・・じ、自信が・・・・」
ルイス談:
「悪魔とは逆に、綺麗過ぎて清廉すぎて困っちゃうのが天使様。やっぱり、正視しずらい~。申し訳ないんだけどさ」
「でも、この鈴が鳴るような、頭の中で響くような綺麗な声は、聞くとメッチャ痺れるぜ~! でも天使だから、女の子じゃないんだよな。天使って、男も女もないんだろ? 確か・・・」
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セリス・ダンズワード・ネリス(16)
ネリスの第二王女。トリニティの妹で第二話から登場。
『神の愛娘』『ネリスの至宝』とまで言われた、儚げな外見をした美人。
6歳の時に嫁したが、夫が反乱を起こした為に、『傾国』と呼ばれるようになり10年に渡って南の修道院で暮らしていた。このたび、トリニティの廃嫡に伴って首都へ呼び戻された。
「幼い頃より長らく辺境の地に退いておりましたので、政治のことはもちろん王宮での暮らし方やしきたり等も疎く、心細い事ばかりでございます。早く新しい生活に慣れなければと思うのですが、生来臆病なものですから・・・」
「お姉さまが廃嫡され、わたくしを新たな嫡子に・・・という件については、わたくしの望むところではございません。だって、そうでございましょう? それは、とりもなおさず・・・お姉さまが──。わたくし達は長く離れて暮らしてきたとはいえ、たった二人きりの姉妹なのです。姉を心配しない妹などおりまして?」
ルイス談:
「見た目は清純そうなお姫様なのに、苦労してきたからかな? 中々どうして、したたかで強い意志の女の子だぜ。さすが、姫さんの妹ってトコだな」
「行動力ありすぎ。──無鉄砲だろって言うくらい。・・・でも、一生懸命なんだよな。こんな女の子が惚れてくれて、ポロポロッと可憐に泣いたりしてくれたら、俺、鼻の下伸びるぜ。──地面くらいまで。イヤ、ホント」
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グラディス・ペリペ
マダム・ペリペが商う「ハーンの店」の店主。
絶世の美女。女の体の美しさをあます所なく体現した、完璧な曲線美。
店の客を客を喜ばせるためか、単なる趣味か、酒場の踊り子もかくや、と言わんばかりの露出度の高い服──けれど、踊り子達のようにこれみよがしな服ではなく、もっと上品で洗練された服を──いつも身に着ける。
長い、鮮やかなブロンドの髪。印象的なブラウンの瞳。
ネリスの有名な戦士でもある。
「天も。地も。風も。あたしの周りを巡る世界のすべても、あたしにはどうでもいいこと。あたしにとって大切なのは、あたしの愛した男を愛し続けることだけ……。
それが為に世界を捨てることになっても、あたしは後悔しないの。誰もあたしを止める権利はないし、誰にもあたしの生き方に口出しなんてさせないわ」
ルイス談:
「すげー美人。極上の女ってのは、ああいうのを言うんだろうね」
「アレクだけに名前で呼ばせるのはいただけないけどさ。二人はきっと何か、俺の知らない関わりがあるんだろうね」
「興味はあるけど、あえて聞きたいとは思わないぜ。……怒ると怖そうだから」
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ベルダ司祭
ちょいやくで出たはずの嫌味爆発頑固中年坊主だが、実は実直で敬虔な僧侶。
自分がとことん意思を貫くタイプなので、他人のいい加減さが許せないのだろう。
後に、トリニティの後見人になる。
「天には騒乱。地は病み、人々は疲弊し、拠り所を失う。今の世は末世の様相で、人々が道徳心や神への敬虔さを失って久しい。この困難な時代に、私たちは何を信じて生きていけばいいのか。神か? 王か? それとも──目前で泥と血にまみれても民を救おうと足掻く王女にか? それがどれ程みすぼらしく、愚かな様であっても、誠の心で動く王女の姿に心を動かされぬ民はいまい。我々は、天が何かをしてくれるのを待ち続けて──世界の終わりまで待つつもりか? そう──我らの王者の為に、今、動かずしていつ動くのだ? なぜなら、明かりは誰かが灯してくれるのを待つものではなく、自らが灯すものなのだから」
ルイス談:
「すげー頑固ジイさんだぜ。頑固さと意志の強さなら、ネリス王の向こうを張れるってくらい」
「何しろ憧れの天使様アブリエルが堕天したら即、掌を返したように嘲ると言ってのけたくらいだからな。……けど、あれはあれで司祭自身、反省するトコロがあったようだぜ」
「頑固で、権力者や王家を毛嫌いしてるのかと思ったら、意外にもすごく公平な目で物事を見るんだよな。意外……つーか、僧侶なんだから、僧侶らしいったらそういうことになるか」
「自分にものすごく厳しい分、他人にも同じものを求めるんだろうけど。坊さんならもうちょっと悟れよっていいたい面もあるな」
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クリスター卿
神聖都市ザルツハイトの宮廷魔術師。緑魔術師で、150歳くらいの高齢だが、30代半ばくらいの外見をしている。茶目っ気たっぷりの笑みが魅力の好人物(ウザイとも言うかな)
だが、政治家としても魔術師としても超やり手。
アレクシスを欠席裁判でザルツハイトの『勇者』にしてしまうくらいのやり手ぶりだ。
第3話で登場。
「小さなトラブルは些細なこと。大きなトラブルは、ドラマチックな叙事詩(バラッド)の幕開け。……自分だけが主人公の、ね。
──人は誰も皆、自分の人生の主人公です。物語の舞台の大小に係
わらず。自分の一世一代の舞台を自分が納得する方法で、精一杯演じることができる貴方は果報者ですよ──ね?」
ルイス談:
「あ~、いい加減。めちゃめちゃいい加減な励まし方だよな~。でもこの人に、にっこりされながらこんな励まし方されると、『ウザイ』っとか、『絶対口先だけだろっ』とか、『言ってろよっ!』とか思うのに、誰も反論できなくなくなるのが、卿のコワイところなんだよ」
「こう……さ、明らかに、『そりゃゴリ押しだろ』って分かってるのに、結局言うこと聞いちゃうんだ。顔は笑顔なんだけど、逆らえない怖さが……全身からオーラとなって発散されてるって言うか。 ──ギャッ!? そ、そそそそ、それだけは、お助け~!」
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