16 / 31
マダム・マリエールの遺産
終章 エピローグ ~やっぱ、物語ってのは続かないとな
しおりを挟む
「ずいぶん昔の写真を見ているじゃないか。いまどき紙にプリントされた写真なんて──何が写っているんだい」
機関室からブリッジへあがってきたシュタイナーが、俺が座っている椅子の後ろから、身をかがめて覗き込んできた。
「これは……」
「懐かしいだろ。お前が宇宙海賊に転職した、輝かしい記念日に撮ったあの写真だ」
その紙切れの中には、タナトスのブリッジが写っていた。俺の仲間達全員がその中に写っている。
「だけどどうして、今ごろになって、この写真を見返しているんだい?」
「ん……いや……」
俺はあいまいに答えて、
「この頃はまだタナトスも可愛らしかったなぁ、と思ってね。
今じゃもう、神経も図太くなっちまって。ブッ飛んだ性格の宇宙船になってしまったからなあ」
『そりゃ、キャプテン・カーチェスの教育の成果の賜物ですよ』
「俺がお前を、そんな風に育てたと言いたいらしいな」
『その通りです。私は持ち主に忠実で素直な性格ですからね』
「……一生言ってろ!」
俺とタナトスのやりとりを見て、シュタイナーが楽しそうに笑った。俺がじろりと睨むと、彼は腹を押さえて、
「……いや、いつ見ても楽しいなと思って。こんなに人間臭い宇宙船の主電脳なんて、捜したってまずいないよ」
と言った。その点に関しては、俺も同意できる。
「最近じゃソーニャも自立してきたし……。志織は昔から人形にしてはトんだ性格だったけど──まあ、トーマが作ったんなら、それも納得できるかな」
ああ、そうか。ソーニャのメンテナンスは全部トーマがやっているんだから、彼に影響を受けたのかも知れないな。
そんなことを言っていると、シュタイナーが腹を抱えて笑い出した。
「なんだカーチェス。君は気付いてなかったのかい?」
「何がだ?」
「君の側にいると、機械でも人形でも、みんな人間になってしまうってことをさ」
シュータイナーにそう言われて、俺はガラにもなく赤くなった。
(完)
機関室からブリッジへあがってきたシュタイナーが、俺が座っている椅子の後ろから、身をかがめて覗き込んできた。
「これは……」
「懐かしいだろ。お前が宇宙海賊に転職した、輝かしい記念日に撮ったあの写真だ」
その紙切れの中には、タナトスのブリッジが写っていた。俺の仲間達全員がその中に写っている。
「だけどどうして、今ごろになって、この写真を見返しているんだい?」
「ん……いや……」
俺はあいまいに答えて、
「この頃はまだタナトスも可愛らしかったなぁ、と思ってね。
今じゃもう、神経も図太くなっちまって。ブッ飛んだ性格の宇宙船になってしまったからなあ」
『そりゃ、キャプテン・カーチェスの教育の成果の賜物ですよ』
「俺がお前を、そんな風に育てたと言いたいらしいな」
『その通りです。私は持ち主に忠実で素直な性格ですからね』
「……一生言ってろ!」
俺とタナトスのやりとりを見て、シュタイナーが楽しそうに笑った。俺がじろりと睨むと、彼は腹を押さえて、
「……いや、いつ見ても楽しいなと思って。こんなに人間臭い宇宙船の主電脳なんて、捜したってまずいないよ」
と言った。その点に関しては、俺も同意できる。
「最近じゃソーニャも自立してきたし……。志織は昔から人形にしてはトんだ性格だったけど──まあ、トーマが作ったんなら、それも納得できるかな」
ああ、そうか。ソーニャのメンテナンスは全部トーマがやっているんだから、彼に影響を受けたのかも知れないな。
そんなことを言っていると、シュタイナーが腹を抱えて笑い出した。
「なんだカーチェス。君は気付いてなかったのかい?」
「何がだ?」
「君の側にいると、機械でも人形でも、みんな人間になってしまうってことをさ」
シュータイナーにそう言われて、俺はガラにもなく赤くなった。
(完)
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる