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おまけ
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五色叔父さんが入院してる個室の部屋は最上階ですんごく広かった。
ベッドの向かいにはソファセットとテレビがあるし、その横にはデスク。ホテルみたいな配置だ。普通の家にあるようなお風呂場があって、別室には会議机と付き添い人が泊まれるためのソファベッドがある。簡素なキッチンも付いた小さなダイニングテーブルの部屋まであった。
俺がきょろきょろと病室を探索してると五色叔父さんは少し呆れたような、しょうがないなと言うようなかんじで声を掛けてくる。
「まずは私の心配をしてほしいな」
おいで、って風に腕を広げるから俺は素直に叔父さんが背を持たせている上部が上がったベッドに近寄り、左足のギプスを見る。
「痛かった?」
「まあね」
いつも仕事中は後ろに撫で付けている髪がぱらりと目もとに落ちていて少し疲れているみたいに見える。固いギプスを爪でかりかりして遊ぼうとすると五色叔父さんは俺の腰に腕を回してきた。
「いたずらしないでこっちにおいで」
叔父さんは軽く俺を誘導してベッドの端に俺を座らせる。
「ここは付き添いで泊まることもできるんだよ」
「うん。さっき部屋見た」
「入院中、京が一緒に居てくれると寂しくないな」
「えー‥」
うっそだあ。五色叔父さん一人で寂しいとか思うタイプじゃないじゃん。
でも、五色叔父さんに一緒に居てほしいなんて言われるとちょっと胸がそわそわする。
俺がもじっ、って身体をよじると凱にいちゃんがつまんなそうな口調で割り込んできた。
「こんなとこに居てもヒマで飽きるよ。荷物も運んだし帰ろう。京」
まあ、たしかにスマホしかやることないか。
凱にいちゃんのほうを向くと、五色叔父さんが俺の小さな顎をそっとつまんで自分のほうに振り向かせる。
「今日はシャワーを浴びることが出来ないから身体拭いてほしいな」
「あ、うん」
ちゃんとボディシート買ってきたし、まあそんくらいやってもいい。
「怪我人には優しくね、凱」
五色叔父さんが凱にいちゃんに優しいけど反発出来ないような口調で言って聞かせる。
俺は凱にいちゃんが片付けた荷物の中からフェイスタオルを出すとあったかいお湯で濡らして絞って叔父さんに渡した。
「はい。顔、拭いて」
叔父さんはふふ、って笑う。
「京がやってよ」
「えー‥」
「怪我してる時くらい甘えていいだろう?」
五色叔父さんは掛けていたおカタいフレームのメガネを外して隣のチェストに置いた。
五色叔父さんが俺に甘えたいって。胸がこしょこしょする。悟られないように俺はしょうがないな、って態度で叔父さんの顔にあったかいタオルを乗せた。
男らしく整った綺麗な顔‥。形のいい眉と、長くてびっしり生えてるまつ毛。男らしくて色っぽいんだ。五色叔父さん。
ゆっくりと真っ直ぐスッと通った鼻すじにタオルを当てる。それから薄くてやらしいかんじの唇。
タオルを首筋まで持っていくと大きめのはっきりした喉仏がハリのある皮膚を持ち上げてる。俺、叔父さんの喉仏好き。
「気持ちいいな」
なんかちょっと艶を含んだやらしい声色で言ってくる。
「身体も拭くから、脱いで」
俺は知らんぷりしてぶっきらぼうに答える。
「京がやっててば」
もう。怪我人だからしぶしぶやってんだからね。しぶしぶ。
病院から借りたガウンタイプの患者衣のおへその横で結ばれている紐をほどく。
昔、武道をやっていた身体は今も定期的に運動をしているみたいでしっかり厚みとハリがあってたくましい。姿勢も良くてさらにかっこいいんだ。
ボディシートで身体を拭く。きゅっと締まってて、お腹割れてていいな。まあ凱にいちゃんと嶺にいちゃんほどじゃないけど。にいちゃん達はバッキバキでむっちむち。
叔父さんはガウンの下に何も履いてなくて裾が捲れると下半身があらわになった。
「ここは自分でやってよ」
煌々と電灯の明るい部屋で晒された下半身をいじるのやだ。
不貞腐れた風にボディシートを叔父さんに突き出すと五色叔父さんは美しくっていやらしい顔で俺の顎を持つと親指で下唇を少し下げた。
いやな予感。
「おくちできれいにして?」
五色叔父さんの命令口調。やばい。俺のおしりがきゅうんって勝手に反応する。
「京、しなくていいよ。もう帰るよ」
見ていた凱にいちゃんが俺より先に言葉を発した。
「凱、黙って見てて。静かにしてたら京は返してあげる」
しばらく沈黙したあと、面白くなさそうに凱にいちゃんはそのままベッドの目の前にあるソファにまた腰を下ろした。
「いい子」
俺に言ったのか、凱にいちゃんに言ったのかわからないけど五色叔父さんはそう呟くと俺の後頭部に手を当てやんわり力を入れた。
顔が叔父さんの下半身へと近づく。叔父さんの匂いがする。やらしいやつ。やらしい気持ちになるやつ。
ベッドの向かいにはソファセットとテレビがあるし、その横にはデスク。ホテルみたいな配置だ。普通の家にあるようなお風呂場があって、別室には会議机と付き添い人が泊まれるためのソファベッドがある。簡素なキッチンも付いた小さなダイニングテーブルの部屋まであった。
俺がきょろきょろと病室を探索してると五色叔父さんは少し呆れたような、しょうがないなと言うようなかんじで声を掛けてくる。
「まずは私の心配をしてほしいな」
おいで、って風に腕を広げるから俺は素直に叔父さんが背を持たせている上部が上がったベッドに近寄り、左足のギプスを見る。
「痛かった?」
「まあね」
いつも仕事中は後ろに撫で付けている髪がぱらりと目もとに落ちていて少し疲れているみたいに見える。固いギプスを爪でかりかりして遊ぼうとすると五色叔父さんは俺の腰に腕を回してきた。
「いたずらしないでこっちにおいで」
叔父さんは軽く俺を誘導してベッドの端に俺を座らせる。
「ここは付き添いで泊まることもできるんだよ」
「うん。さっき部屋見た」
「入院中、京が一緒に居てくれると寂しくないな」
「えー‥」
うっそだあ。五色叔父さん一人で寂しいとか思うタイプじゃないじゃん。
でも、五色叔父さんに一緒に居てほしいなんて言われるとちょっと胸がそわそわする。
俺がもじっ、って身体をよじると凱にいちゃんがつまんなそうな口調で割り込んできた。
「こんなとこに居てもヒマで飽きるよ。荷物も運んだし帰ろう。京」
まあ、たしかにスマホしかやることないか。
凱にいちゃんのほうを向くと、五色叔父さんが俺の小さな顎をそっとつまんで自分のほうに振り向かせる。
「今日はシャワーを浴びることが出来ないから身体拭いてほしいな」
「あ、うん」
ちゃんとボディシート買ってきたし、まあそんくらいやってもいい。
「怪我人には優しくね、凱」
五色叔父さんが凱にいちゃんに優しいけど反発出来ないような口調で言って聞かせる。
俺は凱にいちゃんが片付けた荷物の中からフェイスタオルを出すとあったかいお湯で濡らして絞って叔父さんに渡した。
「はい。顔、拭いて」
叔父さんはふふ、って笑う。
「京がやってよ」
「えー‥」
「怪我してる時くらい甘えていいだろう?」
五色叔父さんは掛けていたおカタいフレームのメガネを外して隣のチェストに置いた。
五色叔父さんが俺に甘えたいって。胸がこしょこしょする。悟られないように俺はしょうがないな、って態度で叔父さんの顔にあったかいタオルを乗せた。
男らしく整った綺麗な顔‥。形のいい眉と、長くてびっしり生えてるまつ毛。男らしくて色っぽいんだ。五色叔父さん。
ゆっくりと真っ直ぐスッと通った鼻すじにタオルを当てる。それから薄くてやらしいかんじの唇。
タオルを首筋まで持っていくと大きめのはっきりした喉仏がハリのある皮膚を持ち上げてる。俺、叔父さんの喉仏好き。
「気持ちいいな」
なんかちょっと艶を含んだやらしい声色で言ってくる。
「身体も拭くから、脱いで」
俺は知らんぷりしてぶっきらぼうに答える。
「京がやっててば」
もう。怪我人だからしぶしぶやってんだからね。しぶしぶ。
病院から借りたガウンタイプの患者衣のおへその横で結ばれている紐をほどく。
昔、武道をやっていた身体は今も定期的に運動をしているみたいでしっかり厚みとハリがあってたくましい。姿勢も良くてさらにかっこいいんだ。
ボディシートで身体を拭く。きゅっと締まってて、お腹割れてていいな。まあ凱にいちゃんと嶺にいちゃんほどじゃないけど。にいちゃん達はバッキバキでむっちむち。
叔父さんはガウンの下に何も履いてなくて裾が捲れると下半身があらわになった。
「ここは自分でやってよ」
煌々と電灯の明るい部屋で晒された下半身をいじるのやだ。
不貞腐れた風にボディシートを叔父さんに突き出すと五色叔父さんは美しくっていやらしい顔で俺の顎を持つと親指で下唇を少し下げた。
いやな予感。
「おくちできれいにして?」
五色叔父さんの命令口調。やばい。俺のおしりがきゅうんって勝手に反応する。
「京、しなくていいよ。もう帰るよ」
見ていた凱にいちゃんが俺より先に言葉を発した。
「凱、黙って見てて。静かにしてたら京は返してあげる」
しばらく沈黙したあと、面白くなさそうに凱にいちゃんはそのままベッドの目の前にあるソファにまた腰を下ろした。
「いい子」
俺に言ったのか、凱にいちゃんに言ったのかわからないけど五色叔父さんはそう呟くと俺の後頭部に手を当てやんわり力を入れた。
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