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初夏の強い日差しに蒸し暑さが加わる四時限目。
紅丸と璃央は額に玉の汗を浮かべながら屋上で今日もサボっている。
紅丸はさっきから目を閉じて音楽をずっと聴いていた。
「さっきから何聴いてんの」
紅丸はイヤホンを外すと照りつける日差しから避けるように顔に手を当てた。
腕には少年には不釣り合いな高級腕時計が嵌まっている。
「思い出の曲」
「なー。何でお前最近時計なんてつけてんの」
「ずっとつけてられんじゃん」
「意味わからん。邪魔くない?」
「全然」
紅丸は目を閉じる。
あの日の出来事はたまに夢に見る。
悪夢が一つ増えた。
もう二度と熀雅から連絡はない事を紅丸は分かっている。
再びイヤホンを耳につけボリュームを上げた。
照りつける日差しの中で、何度も熀雅と一緒に聴いた音楽が耳元で奏でられる。
紅丸は熀雅の静かで伏し目がちな目元、高い鼻、それから薄い唇を思い出す。
そして何より上品で美しい手つき。
「あー、ネバーランド行きたい」
紅丸はぽつりとこぼす。空は青く高い。強い真夏の太陽は容赦なく紅丸に注ぐ。
そんで今度は手を繋ぎたい。
紅丸と璃央は額に玉の汗を浮かべながら屋上で今日もサボっている。
紅丸はさっきから目を閉じて音楽をずっと聴いていた。
「さっきから何聴いてんの」
紅丸はイヤホンを外すと照りつける日差しから避けるように顔に手を当てた。
腕には少年には不釣り合いな高級腕時計が嵌まっている。
「思い出の曲」
「なー。何でお前最近時計なんてつけてんの」
「ずっとつけてられんじゃん」
「意味わからん。邪魔くない?」
「全然」
紅丸は目を閉じる。
あの日の出来事はたまに夢に見る。
悪夢が一つ増えた。
もう二度と熀雅から連絡はない事を紅丸は分かっている。
再びイヤホンを耳につけボリュームを上げた。
照りつける日差しの中で、何度も熀雅と一緒に聴いた音楽が耳元で奏でられる。
紅丸は熀雅の静かで伏し目がちな目元、高い鼻、それから薄い唇を思い出す。
そして何より上品で美しい手つき。
「あー、ネバーランド行きたい」
紅丸はぽつりとこぼす。空は青く高い。強い真夏の太陽は容赦なく紅丸に注ぐ。
そんで今度は手を繋ぎたい。
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