1 / 68
プロローグ
しおりを挟む
──〈ディバイン・ワールド〉
それは世界初のフルダイブ型VRMMO。
十層の廃都市ダンジョンを舞台にした、剣と魔法のファンタジー物語。
ベータテストの応募は15歳から16歳を限定に実施、世界中から寄せられた希望者は数百万人以上にも上る。
その中で奇跡的に当選を果たしたボクは、いつも愛用しているプレイヤーネーム。
『シエル』で参加した。
プレイ時間は180時間。
作製の難しい〈セラフ・ブレット〉を無限に使用し、ガンソードを手に超人的な反射神経で敵を殲滅する、小さな蹂躙姫。
または美しき〈純白のガンブレイダー〉と呼ばれ、他の人達から〈ディバイン・ワールド〉で最も美しいプレイヤーと評されていたけど。
ボクの現実は、女の子ではなく男の子だった。
世間ではネカマという人種にカテゴライズされるらしいが、自分の場合それとは大きく異なる。
物心がついた時から、いつも心と身体に大きなズレを感じていた。
女の子の服を着たい衝動が強かったり。
常に自分の身体に違和感を感じていたり。
──女の子になりたいと強い憧憬を抱いていたり。
だから仮想世界では女性になりたいと考え、ゲームの中でアバターの性別を変えた。
NPCが運営している宿屋のベッドの上、横たわるリアルの姿を再現した身長は150もない。
フルスキャンで作成したアバターの髪色は、現実と同じアルビノで色素の薄い純白。
キャラメイクは顔以外は自由だったので、取りあえず髪の長さを思いっきり膝まで伸ばしてみた。
病弱で細い身体に纏っているのは、お姫様のような白の鎧ドレス。
自分は普通だと思っているが、顔立ちは全てキャラメイクをしたんじゃないかと思われる程の美形らしい。
お世辞だと思うけど、綺麗とか可愛いとか言われるとやっぱり嬉しい。
性別と髪の長さを除けば、この身体は現実にあるのと全く変わらないのだから。
外見と心は女性寄り。
これで生物学上は男なんて、世界はバグっているんじゃないかと思う程に歪だ。
──いや、もしかしたら本当にバグっているのかも知れない。
ボクだけではなく、この世界のシステムそのものが。
例えば先日テレビで報じられていたが、世界の環境汚染や地球温暖化は進んで絶滅危惧種は増加中。
更には人類の経済も悪化する一方、このままでは経済恐慌に陥るとの事。
「悪いことばかり起きるよね。これが人の歴史が積み重ねた自業自得なのか、それとも……」
以前学校の図書館で何となく手に取った、一冊の本に書かれていた内容を思い出す。
自分達人類が生活しているこの世界は、すべて『シミュレーテッドリアリティ』である一説だ。
これはコンピュータを使ったシミュレーションによって、真の現実と区別がつかないレベルでシミュレートすることを指す。
内部で生活する意識は、それがシミュレーションであることを知っている場合もあるし、知らない場合もあるらしい。
以上の話をまとめて、一つの仮説を提唱する。
この世界が高度なプログラムで出来ているのなら、バグが生じている可能性はゼロではない。
それ程までに、この世界に住む自分達は徐々に追い詰められているのだから。
「という事はバグを修正したらこの世界は良くなって、オマケにボクは女の子になれたりするのかな?」
──なんて、全ては自分に都合の良い妄想を口にする。
ふと乾いた笑いがこぼれた。
実に虚しい、ただの現実逃避だと思った。
「……あ、まずい。そろそろ学校に行く準備しないと」
時間表示が6時30分になるのを確認。
慌ててメニュー画面を操作し、ログアウトした。
本日は二学期が始まる日。
現実世界に戻ったボクは、頭がすっぽり入るサイズのVRヘッドセットを外す。
お気に入りの猫さんパジャマから男子の制服に着替えると、眼鏡をかけて姿鏡の前で身だしなみを整えた。
綺麗な鏡面に映っているのは、ゲームの中と同じ白髪の少女みたいな姿。
──しかし男である。
これがボクのリアルだった。
それは世界初のフルダイブ型VRMMO。
十層の廃都市ダンジョンを舞台にした、剣と魔法のファンタジー物語。
ベータテストの応募は15歳から16歳を限定に実施、世界中から寄せられた希望者は数百万人以上にも上る。
その中で奇跡的に当選を果たしたボクは、いつも愛用しているプレイヤーネーム。
『シエル』で参加した。
プレイ時間は180時間。
作製の難しい〈セラフ・ブレット〉を無限に使用し、ガンソードを手に超人的な反射神経で敵を殲滅する、小さな蹂躙姫。
または美しき〈純白のガンブレイダー〉と呼ばれ、他の人達から〈ディバイン・ワールド〉で最も美しいプレイヤーと評されていたけど。
ボクの現実は、女の子ではなく男の子だった。
世間ではネカマという人種にカテゴライズされるらしいが、自分の場合それとは大きく異なる。
物心がついた時から、いつも心と身体に大きなズレを感じていた。
女の子の服を着たい衝動が強かったり。
常に自分の身体に違和感を感じていたり。
──女の子になりたいと強い憧憬を抱いていたり。
だから仮想世界では女性になりたいと考え、ゲームの中でアバターの性別を変えた。
NPCが運営している宿屋のベッドの上、横たわるリアルの姿を再現した身長は150もない。
フルスキャンで作成したアバターの髪色は、現実と同じアルビノで色素の薄い純白。
キャラメイクは顔以外は自由だったので、取りあえず髪の長さを思いっきり膝まで伸ばしてみた。
病弱で細い身体に纏っているのは、お姫様のような白の鎧ドレス。
自分は普通だと思っているが、顔立ちは全てキャラメイクをしたんじゃないかと思われる程の美形らしい。
お世辞だと思うけど、綺麗とか可愛いとか言われるとやっぱり嬉しい。
性別と髪の長さを除けば、この身体は現実にあるのと全く変わらないのだから。
外見と心は女性寄り。
これで生物学上は男なんて、世界はバグっているんじゃないかと思う程に歪だ。
──いや、もしかしたら本当にバグっているのかも知れない。
ボクだけではなく、この世界のシステムそのものが。
例えば先日テレビで報じられていたが、世界の環境汚染や地球温暖化は進んで絶滅危惧種は増加中。
更には人類の経済も悪化する一方、このままでは経済恐慌に陥るとの事。
「悪いことばかり起きるよね。これが人の歴史が積み重ねた自業自得なのか、それとも……」
以前学校の図書館で何となく手に取った、一冊の本に書かれていた内容を思い出す。
自分達人類が生活しているこの世界は、すべて『シミュレーテッドリアリティ』である一説だ。
これはコンピュータを使ったシミュレーションによって、真の現実と区別がつかないレベルでシミュレートすることを指す。
内部で生活する意識は、それがシミュレーションであることを知っている場合もあるし、知らない場合もあるらしい。
以上の話をまとめて、一つの仮説を提唱する。
この世界が高度なプログラムで出来ているのなら、バグが生じている可能性はゼロではない。
それ程までに、この世界に住む自分達は徐々に追い詰められているのだから。
「という事はバグを修正したらこの世界は良くなって、オマケにボクは女の子になれたりするのかな?」
──なんて、全ては自分に都合の良い妄想を口にする。
ふと乾いた笑いがこぼれた。
実に虚しい、ただの現実逃避だと思った。
「……あ、まずい。そろそろ学校に行く準備しないと」
時間表示が6時30分になるのを確認。
慌ててメニュー画面を操作し、ログアウトした。
本日は二学期が始まる日。
現実世界に戻ったボクは、頭がすっぽり入るサイズのVRヘッドセットを外す。
お気に入りの猫さんパジャマから男子の制服に着替えると、眼鏡をかけて姿鏡の前で身だしなみを整えた。
綺麗な鏡面に映っているのは、ゲームの中と同じ白髪の少女みたいな姿。
──しかし男である。
これがボクのリアルだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる