純白のガンブレイダー 〜TSアルビノ美少女、産廃職でエンジョイプレイします〜

神無フム

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【世界の再起動完了──〈SPIRIT〉の全活動を再開させます】

「すぴり、と……?」

【お帰りなさいませ。〈ディバイン・ワールド〉はアナタの帰還をお待ちしていました】

「え? ……あ、はい」

 声を掛けられて目を覚ましたら、真白な世界の中に一人ポツンと立っていた。
 目の前には半透明の見慣れたウィンドウ画面があり、引き継ぎ完了のメッセージが表示されている。

 なんかすごい質問をされた気がするけど、アレはまさか夢オチというヤツだったのだろうか……。

 鈍い思考を回転させて、取りあえず周囲の状況から未だゲームの中だと理解する。
 メッセージ画面には、今の時刻が確認できた。

 午前5時……という事は、少なくとも日付が変わりベータテストが終了した際に寝落ちをしてしまったらしい。
 今日は金曜なので学校がある。朝食の支度を考えて少しくらいならプレイする余裕があった。

「けっこうギリギリになっちゃうけど……よし、決めた!」

 プレイ欲求に負けた自分は、右手を持ち上げ画面を指先で軽くタッチ。
 キャラデータの確認画面に移行した。

——————————————————————

PN:シエル
JOB:ガンブレイダー
Lv:1
HP(体力):30/30
MP(魔力):20/20
STR(筋力):20
VIT(耐久):10
AGI(敏捷):20
DEX(器用):50
INT(知力):50

右手:ヴァリアブル・ガンソード
左手:装備不可
頭部:空欄
胴体:空欄
腕部:空欄
足部:空欄
装飾:空欄
使い魔:メタルスライム

【スキル】
・ブレット作製技術
・セラフ魔術
——————————————————————

 ぼんやりしながら眺めるステータス。
 改めてこうして見ると、やはり後衛向きなだと思う。
 おさらいをする為に〈ガンブレイダー〉の知識を頭の中から引っ張り出した。

 誰もが産廃職業と口を揃えて言うの〈ガンブレイダー〉。
 主に火力を出すことで味方に貢献するダメージディーラー的な役割だけど、ステータスは完全に後衛担当の〈魔術師〉と殆ど同じ。

 前衛で戦うために必要となるSTRとVITとAGIは、最低ラインの30にすら満たない。
 トータル200ポイント中の半分が、前衛職ではいらないINTとDEXに割り振られているのもヤバい。

 もちろん問題は、それだけではない。
 致命的ともいえるモノが〈ガンブレイダー〉にはあった。それはメイン武器のガンソードに必要不可欠な〈セラフ・ブレット〉が店売りしておらず、自作しなければいけない事。

 主に鉄片を面倒な工程で作った〈メタル・ブレット〉に魔力を込めたセラフのシンボルを描いてようやく完成するのだが、残念な事に苦労して作ったこの〈セラフ・ブレット〉は一度使うと消費されてしまう。
 数十発作るのに専用の道具とか使って数時間も掛かるのに、使用したら一秒以下で無くなるとか製作者の心が耐えられるわけがない。

 前衛も後衛スタイルも、地獄しかない産廃だぞ〈ガンブレイダー〉。

 ロマンはあるけど、面倒臭い作業が多すぎるぞ〈ガンブレイダー〉。

 これを使っているだけで、もれなくベテラン達が優しくしてくれるぞ〈ガンブレイダー〉。

「……でも昔からクセの強い職業って、誰も使ってないからつい面白そうで選んじゃうんだよね」

 可能性を模索していた『ガンブレ道』の仲間達が、次々に脱落する中でボクは使い続けていた。
 元々無心になれる作業が大好きだし、数時間かけて鉄片を掘った後に弾丸に加工する作業も自分にとってはすごく楽しかった。

 シンボル描くのも内職ってこんなかんじなのかな、と思いながら黙々とやっていた。 
 そして何よりも大きいのは、作り溜めた弾丸をダンジョン攻略で思いっきり使う快感は筆舌に尽くしがたい。

 とんでもない火力出しちゃうから、周りから一人だけ違うゲームしてるって言われてたけど。

「ステータスの確認と引き継ぎは問題なし。……メタちゃんは、ちゃんと引き継ぎされているけど大丈夫かな」

 もしも初期化されていたら、ショックの余り引退してしまうかも知れない。
 不安を抱きながらも、次の【キャラクリエイト】で自身の全身をチェックする。

「うん、こっちも問題なし」

 目の前に出現した鏡には、ベータテストで使用していた長い白髪の美少女が映し出された。
 来ている服は初期の草原地帯を意識した民族衣装で、このアバターによく似合っている。

 くるっと一回だけターンをして、全身を背中の方まで細かくチェックする。
 どこも変わっていない、コレならば後は承認して最初の地点に降り立つだけ。
 二重チェックを即決で済ませると、ベータ版には無かった選択肢が出てくる。

「チャンネル開設……って、動画配信したりするやつ? なにかメリットがあるのかな?」

【上位配信者になりますと、イベントの先行挑戦権を獲得することができます】

「おお、面白そうだから一応作っとこう」

 Yesをタッチしたら、今まで真っ白だった周囲の景色が変化を始めた。

【本ゲームの最終目標をお伝えします。〈ディバイン・ワールド〉に参加するプレイヤーは十層のダンジョンを踏破し、最果てに至り真実を知る事です。期限は有りませんが、くれぐれもお忘れなきよう】

【ご武運をお祈りします、シエル様】

「うん、行ってきます」

 世界の言葉に答えて、ボクは〈ディバイン・ワールド〉に再び降り立った。







 真白な霧が晴れるように現れたのは、古代遺跡のような巨大空間。
 大体三万人くらいなら、天の塔は収納できるとシスターから以前聞いたことがあった。

 天に向かって螺旋を描くように作られた建造物は、見上げても天井は全く見えない。
 視線を上から下に戻す。

 塔の中には既に、ログインしているプレイヤー達の姿があった。
 初めてプレイを開始した者達は塔に圧倒されて、友人らしき者達と口を揃え「ヤバい」をひたすらハイテンションで連呼している。

 逆に周りに見向きもしないで、中央カウンターに真っ直ぐ向かうのは恐らくベータプレイヤーだろう。
 職業に〈召喚術師〉を選んだプレイヤーが最初に契約を結ぶ使い魔を召喚しているのを確認した後、自分も右手を広げ前に向けた。

「出ておいで、メタちゃん!」

 所持枠の中からポンと音を立て、グレーカラーの直系二十センチくらいのスライムが姿を現す。
 初めて会った時と同じように、スライムは黒いまん丸な目を開いて此方を見上げた。
 今まで眠っていたのか、少しだけボンヤリしている様子。

 ──ヤバい、すごくドキドキする。

 果して目の前にいるのは、ベータテストを共に戦ったメタちゃんなのか。
 強い不安に駆られながらも、じっと見守っていると。

「メタメタ~!」

「うわっぷ!?」

 メタちゃんは、すぐ会えたねと言ってボクの胸に大ジャンプしてきた。
 どうやらベータ版で育てた心ごと、運営が正式版に引き継ぎをしてくれたらしい。
 体感的には一時間も経っていないのだが、嬉しさの余りボクは大喜びする。

 良かった、本当に良かった……。
 強く抱きしめて喜びあった後、学校の時間まで1時間程度しかない事を考えて迅速に動くことにした。

「よーし、先ずは時間までできる事をしようか!」

「メタ~?」

「うん、ボクとメタちゃんの為にも先ずは───ツルハシを手に入れよう」

 周りにいた新規の人達が「え、ツルハシ?」と目を丸くしたが、それを無視して受付に向かった。
 
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