純白のガンブレイダー 〜TSアルビノ美少女、産廃職でエンジョイプレイします〜

神無フム

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嵐を穿つ星撃③

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「はぁ、はぁ……」

 もうこれで、終わったのかな。
 体感的には5時間戦っていたような気がする。
 だが実際に確認すると、1時間と半くらいだった。

 クエスト達成の表示は出ている。
 ボスのHPは、完全にゼロになって爆散した。
 流石にここから復活する事は、今までの経験上ないはずだが。

 ……でもなんだろう。

 今まで何度も助けてくれた直感が、油断するなと警告している。
 背筋の真ん中がピリピリする感覚は、昔から自身や身近な人達に迫る危険を全て的中させてきた。

 しかしどれだけ集中しても、敵の存在は全く感じられない。

「シース姉さん、なにか感じる?」

「? いや、私の感覚では敵の気配は感じないな」

 念の為、従姉に聞いてみるけど。
 残念ながら首を横に振られてしまった。
 これはフルダイブゲームの仕様の一つだが、上級ゲーマーは空間に何か有る場合それを知覚できる。

 これは情報圧の察知〈シックスセンス〉と呼称されている、ゲーム外の特殊技能だ。
 例えば隠蔽スキルで隠れていた場合。目では完全に見えないけど、本人が発している気配まで消せないというもの。

 自分は完全にマスターしていないが、シース姉さんは完全にマスターしている。

 彼女が何も感じないという事は、少なくとも何かがいたり出現する兆候はないだろう。
 何度タッチしてもクエスト達成の表示が消えない。
 全員どういうことなのか警戒する中。

 ……周りの空気が変わった。
 美しかった周囲の魔術式が、突如エラー表記で埋め尽くされる。

「な、なにこれ……」

 エラーの文字は中央の装置に集中。
 ケンタウロスの身体を再構築していく。
 幻想的だった気色は黒で埋め尽くされ、再顕現した怪物は暴風をまき散らす。

 異様な光景に全員が固まる中、ボクはようやく何故召喚装置がバグに侵されたのか理解する。

 ──発生源は召喚陣ではなかったのだ。

 そもそも召喚陣を構築していた大元は装置ではなく、壁を埋め尽くす程に展開されていた膨大な魔術式。

 つまり台座を触れるだけでは、第一階層をむしばんでいる原因を取り除くことはできない。

 目の前に浮かんでいた、消えないウィンドウ画面に大きなノイズが発生する。

 ERROR、ERRORERRORERRORERRORERRORERRORERROR─────────

 画面を埋め尽くす、恐怖演出のようなERROR表示。ホラー耐性の低いユウが悲鳴を上げる。

 全員が息を呑む中、全てのメッセージが消える。

 その末に出たのは一つの指令だった。



 ──正ス者、人類ノ闇ヲ修正セヨ。



「メタ!?」

「え?」

 誰よりも敏感に危険を察知したメタちゃん。
 とっさにボクの前で壁になり〈メタル・ガード〉を発動した。

 完全に視界が覆われる寸前。
 巨大な風刃が自分達に向かってくるのが見えた。
 壁を形成した後、物凄い衝撃が叩きつけられる。

「──う、ぐぅ!?」

「メタメタァ!」

 ガギンと衝撃に地面が揺れ、危うく転倒しそうになる。
 風刃による振動が収まった後。メタちゃんが防御を解除したら仲間達がHPを残り、一割以下にまで減少していた。

 とっさにタンクのリッカとブルワークさん達が防御したようだが、大ダメージでスタンしている。

『ここは私が!』

 対戦車ライフルを構えた角付ガーディアンが、ケンタウロスに向かって引き金を引く。
 ズドンと轟音を響かせて空中を飛ぶ弾丸。
 真っ直ぐ頭に命中するけど。

『ッ! ダメージが入りません。スキャンした結果、アレは特殊な汚染で守られています!』

 ライフルが効かなかった事から察するに、通常攻撃は全て同じ結果になるだろう。

「……ど、どうしたら」

 予期していなかった事に、全員眉間にしわを寄せる。
 前方に汚染された〈ガーディアン〉達が出現するのを確認しながら、シース姉さんが推測を語った。

「先ず一つ目。罪を修正しろという事は。恐らくアレはシエルの攻撃しか通用しないと思われる。そして二つ目に、あの嵐の中シエルを連れて行くのはムリだ。という事は残る選択肢は一つかない」

「シース姉さん……」

「ガンブレイダーの遠距離砲撃に、あの修正のスキルを込めて撃ち込むしかない。……シエル、やれるか?」

 問われて目の前にストレージ画面が表示される。
 そこには、この一週間で奇跡的に入手することができた〈アダマンタイト〉の弾丸が輝いていた。

 まるでやれると言わんばかりに存在を主張する。
 ボクはシース姉さんの言葉に頷いて見せた。

「やった事ないけど、やってみるよ」

「あのガーディアン達からは私達が全力で守るから、全力の一撃を叩き込んでやれ」

「うん、わかった」

 ストレージから取り出したのは五つの弾丸。
 白銀に輝くソレは、依頼を受けて村人達から譲り受けた『アダマンタイト』で作られた特別製。

 十字架に天翼と光輪が描かれた弾丸は、任せろと言わんばかりに純白の輝きを放つ。
 回転式弾倉を展開、五つ全てを込める。

「全力でいくよ。──〈セラフ・グランドブレット〉フュンフ・ブースト!」

 五回の引き金を引いた後、ガンソードの刃がスライド展開した。
 背中からはベータ版の頃と同じく、ニ枚の天翼が生えて頭上には光輪が浮かんでいる。
 この姿は誰がどう見ても、天使にしか見えないだろう。

「久しぶりに見たけど、やっぱ良いわそれ!」

「きゃー! シエルの天使モード来たーッ!」

 とベータ版で見たことがあるリッカとユウは、嬉しそうに緊迫したこの場で写真を連写。

「可愛すぎだろおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「なにそれなにそれなにそれ美しすぎるわ!?」

「……」

 ブルワークさんとソフィアさんは感涙して、シース姉さんは一人無言で頷く。
 生放送の視聴者達は百万人を超えており、その全てがボクの天使姿にハイテンションと化していた。

 もうお祭りのような状態。
 先程の緊張感もどこかに吹っ飛んでしまった。
 これ以上ない士気の高まりに、ユウとソフィアさんの回復を受けながら全員が気合を入れる。

「よーし、英気も養ったし雑魚敵はアタシ達が受け持つ。リッカ、お前達突撃するよ」

「シエルの守りは任せるぞ、メタスラ」

「メタメタ!」

 シース姉さんに任せろ、と答えるメタちゃん。
 向かってくる数百体の敵に、従姉とブルワークとリッカが率いるガーディアン部隊が突撃する。
 角付もガトリングに持ち替えて参戦し、前線は凄まじいぶつかり合いとなった。

「それじゃ、敵が多くて苦戦しそうだし私も最後は大暴れしてくるわ」

「うん、頑張って」

 杖を左手に槍を右手に持ったユウが、拮抗する戦線の戦いに向かっていく。
 バーサークヒーラーの名を持つ彼女は、前衛の誰よりもキレのある動きで敵を圧倒する。
 回復スキルで自身と周りを回復しながら、猛然と戦う姿にソフィアさんが苦笑した。

「なんで前衛職を選ばなかったのか、不思議な戦いっぷりですね」

「前にそれを聞いたんですが、ユウいわく回復しながら戦えば最強だと思ったらしいです」

「根っからの戦闘狂ですか、良いですね」

 VRMMOでは色んなスタイルがいるけど、ユウみたいな前衛回復思考は数少ない。
 何故なら回復職を選べば、当然攻撃スキルを獲得する事はできないから。

 だがシース姉さんの次に、ユウはダメージを出す。
 それは鋭い槍さばきで、的確に急所を叩きクリティカルダメージを出している。

 スキルではなく、自身の技術を用いて戦う槍使い。
 アレこそが後衛職にして、前衛最強の一人だと言わしめた〈閃光の槍〉。

 相方であるリッカは、彼女の戦力を最大限活かす為にヘイトを集めて防御に徹す。
 ダメージ総数が一定まで貯まると〈アヴェンジャー・ナイトソード〉で広範囲を薙ぎ払う。

 見事な連繫をする二人は、戦況を優勢にまで持っていく一端いったんになう。

「……負けれられない。ボクも自分にできることをやらないと」

 標的は召喚陣の上にたたずむ怪物。
 ケンタウロスの身体は外しようがない程のスケールだ。

 ガンソードの切っ先を向け、発射準備に入ったボクは敵を見据える。

『RAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』

 身の危険を感じたのか叫び声を上げる。
 周囲に身を守るように発生したのは、禍々しい怨念をまき散らす黒い風。

 なんだろう、もの凄く嫌な予感が……。

 その予感はすぐに的中し、黒い風は高速回転した後に巨大な嵐となって吹き荒れた。
 敵も味方も、全てを巻き込む黒嵐こくらん

 砲撃を中断し回転式弾倉を展開。
 慌ててシールドの弾丸を込めて五連射した。

 前方に展開される純白の盾。
 しかし嵐はそれを容易く全て破り、仲間達を巻き込みながら迫ってくる。

 回避……いや、範囲広すぎムリ。メタちゃんに守って────ううん、メタちゃんでも耐えられないかも!

「メタ!?」

 限られた状況下で選んだのは、パートナーに守ってもらう事ではなく抱き上げ背中を向ける悪手。

 不意に真横から誰かに抱きしめられたボクは、地面に倒れ視界が暗転した。
 
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