純白のガンブレイダー 〜TSアルビノ美少女、産廃職でエンジョイプレイします〜

神無フム

文字の大きさ
41 / 68

嵐を穿つ星撃④

しおりを挟む
 
 ……アレ、なんで無事なんだろう。

 黒い嵐が発生した後。
 それが迫ってくる時間はあっという間だった。
 為す術もなく呑み込まれたはず。

 しかしHPは全く減っていない。
 ヒンヤリする大理石のような床に、ボクの身体は寝転がっていた。

「ううん……ありぇ、誰かくっついてる……」

 身体の上に覆い被さる形で誰かが倒れている。
 上半身を起こし確認したら、それはHPを残り一割まで減少させたソフィアさんだった。

 スタン状態で動けない彼女。
 だがどこか幸せそうな顔をしていた。
 ボクは慌てて取り出したポーションを、彼女に掛けて全回復させる。

「……えへへ、ありがとうございます。とっさに押し倒してすみません。あのままだと直撃していたので、とっさに盾になる事しかできませんでした」

「そ、ソフィアさん、ボクの方こそ助けてくれてありがとうございます」

「良いんですよ。1分間動けないみたいですけど、シエルさんを合法的に抱きしめられたのですから結果オーライの大満足です……にゅふふ」

 助けてくれた彼女は、不気味な笑い声をもらす。
 そういえばブルワークさんと同じで、ソフィアさんも中々にアレだった事を思い出した。

 こんな姿を全世界に生放送して良いのか。
 気になったボクは、先程の嵐を受けても無傷で宙を浮いているカメラを見た。

 チャット欄に書き込んでいる人達は知っているらしい。
 流石は百合姫と大盛り上がりしている。

 緊張感を木っ端みじんにするコメ欄。
 もはや苦笑いするしかない。
 とりあえず地面から起き上がり、ボクは戦況を確認する事にした。

「戦闘音が全くしていなかったけど、シース姉さん達だけじゃなく敵も全員スタンしてる……?」

 黒い嵐を受けた者達は、全員一時的なスタン状態に陥っている。
 流石に最前線は近すぎて、誰も反応できなかったらしい。

 全員膝をついた姿勢で完全に固まっていた。

 嵐に近いとスタン時間が長くなるようで、頭上のアイコンが表示する行動不能時間は2分間。
 今この場で動けるのは、ソフィアさんが盾になり直撃を回避できた自分と胸に抱いているメタちゃんだけ。

「せっかく助けてもらったんだ、この戦いを終わらせようメタちゃん!」

「メタ!」

 最高のパートナーと覚悟を胸に、再び右手にガンソードを構える。
 先程中断した砲撃シークエンスを再開。
 五芒星の陣が切っ先に展開される。

 陣に集まるのは無属性の魔力。
 今回使用しているのは〈アダマンタイト〉の弾丸だ。

 ミノタウロス戦で使用した弾丸とは、比較にならないエネルギーが一点に集まっていく。
 ボスフロア全体の空間が大きく震える。
 阻止しようとケンタウロスが放つ風刃は、全て五芒星の陣に阻まれた。

「なんだろう、この感覚は……」

 身体の中から、湧き上がってくる不思議な力。
 温かくて全てを包んでくれるような、優しい光が身体の中を満たす。

 恐らくこれが、バグを修正する〈リバイズ〉と呼ばれる力なんだろう。
 安らぎを与える光は全身だけではない。
 手にしていたガンソードにまで浸透した。

『RRRRRAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』

 自身が持てる最大の技ではないと、この力に通用しないと判断したのか。
 先程の黒嵐を周囲に展開させ、怪物は更にそれを自身の前で圧縮する。

 シールド五枚ですら止められなかった嵐。
 そんなものを圧縮した一撃なんて受けたら、即死することは避けられない。

 修正の力は十分なチャージを終えていない。
 どうやってこのピンチを切り抜けるか。

 眉間に軽くしわを寄せると、ガンソードの先端に乗ったメタちゃんが嵐と相対する。

「メタメタ」

「メタちゃん……うん、任せるよ」

 アイコンタクトで彼が〈シールド〉の弾丸を求めている事を理解する。
 ストレージから出した五つの弾丸。

 それ等をメタちゃんに放り投げる。
 弧を描いた弾丸は、寸分違わず届く。
 大口を開けて全て丸呑みした彼は、勢いよく前に飛び出し巨大な純白の障壁となった。

「メッタァァァァァァァァァァァァッ!」

 敵から放たれたレーザービームのような一撃。
 タンク複数人ですら蒸発しそうなソレを、メタちゃんは真正面から受け止める。

 心の中で負けるなと応援し、ボクは彼のことを信じて力をため続けた。

 五つのシールドを一つに束ね。
 更に防御スキルを全解放したパートナー。
 彼の防御値は、今この世界で最強と言っても過言ではない。

 現に一切の衝撃を背後に通さない。
 メタちゃんは主を守る盾として立ちはだかる。
 コンマ数秒にも満たない刹那の果て。

 嵐の一撃は力を失い、最強の壁に阻まれて散る。

 使命を果たしたメタちゃんは〈メタモルフォーゼ〉を解き、ボクの方を向いた。

「メタメタ!」

「ありがとう、メタちゃん。──これで終わらせるよ!」

 ようやく完成した全てを修正する力。
 五芒星は純白に輝き、光は浴びるだけで敵対してたガーディアン達を漂白する。

 身を守ろうと黒嵐を纏う怪物。
 怪しい光を放つ頭部に照準を定め。
 ボクはトリガーに指を掛け、最後の祝詞のりと寿ことほぐ。

 ──天に輝く星々よ。

 ──あらゆる邪悪を浄化せし五つの光輝。

 ──我が前に立ちはだかる世界をおびやかす災厄を討ち払え。


「──〈ペンタグラム・リバイズブレット〉!!」


 トリガーを引いて解き放たれた流星のような一撃が、先ず敵の竜巻を消し飛ばす。

 続いて二撃目が防御の両手、三撃目がその頭部に隠されていた真っ黒なコアを露出させる。

 四撃がコアに突き刺さり、亀裂の入った部分に最後の光弾が炸裂した。

 吹き出したバグの塊みたいなものは、全て光が修正してその機能を無力化した。

 純白の太陽に包まれたケンタウロスは、断末魔の悲鳴を上げながら粒子となって散る。

 更に光はボスフロア全体の漆黒を漂白し、世界は再び色を取り戻す。

【Quest Complete】

 ようやく目の前に表示された、勝利を告げるメッセージ。

「メッター!」

「うん、やったねメタちゃん!」

 勢いよく飛び跳ねてきたパートナーを胸に受け止める。

 そこにシース姉さん達が駆け寄ってきて、ボクは抱きしめられたり頭を撫でられたりと揉みくちゃになった。

 数百ものガーディアン達からたくさんの拍手を貰う。

 戦いを見守っていた視聴者達から贈られる、お祝いの爆速コメントに感謝しながら。

 ボクは勝利の余韻を噛み締め、満面の笑顔を浮かべた。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...