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第四章 諦めない者たち 妖魔の国編
第八十一話 ルインの領域
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シャドウムーブの中は完全なる暗闇。
何も見ることができない。
リルの説明によれば、場所はファルス皇国妖兵エリア東南端だからわかりやすいとの事。
急激な疲労感で倒れた俺は、そのまま意識を失っていた。
「着いたよ。ここが泉前さ。ここからは君が領域を開いた上で
僕らに入っていい許可を出さないと辿り着けないから。
ちなみに領域はその人の想像力にもある程度左右される。
区画は決まっているけど中を構築するのは君自信さ。
楽しい場所を用意してね」
「ジオラマアートみたいなものか。それは願ったりだな」
「ジオラマアート? また変な物を想像してとんでもない事を
しようとしていないかい?」
「大丈夫だ。住みやすい場所とこうしたいという場所は用意したい」
「言っておくけど君が実際目にしたものとかじゃないと難しい
と思うよ」
「そりゃそうか。空中に浮かぶ城とかお菓子で出来た家とか
想像しても実際現物を見たこともないしな」
「そういうこと。出来ることと出来ないことはある」
「じゃあ行ってくる。期待して少し待っていてくれ」
そう言うと俺は泉に飛び込んでいった。
俺が思い描いたのは、メルザに会って目を治してもらった時に
見えた夢。
巨大な木に大きな穴が開いていて。
美味しそうな食事ができるスペースと厨房。
そこでよくわからない仲間たちととても楽しそうにしていたその場所。
武器も見えたから鍛冶場や、温泉も欲しい。
沢山の個室と来客用に寝れる部屋。大部屋も欲しい。
畑もあるとカカシが喜ぶな。
パモやココットやここで捕まえたモンスターが放し飼いにできる
牧場みたいのもあればなぁ……これは願い過ぎなのかもしれない。
そう思い描きながら、どれか叶ってくれると嬉しいと
俺は泉から浮上していった。
これ、絶対呆れられるな。
泉を出て真っすぐ北へ道がある。まず右手に牧場らしきもの。
左手に畑が見えてくる。更に道なりに北へいくと、右手に温泉らしきもの。
左手に宿舎みたいな物が見えた。
更に北へ行くと右手と左手に建物がみえる。きっとこれ個室だ。
そこから北へ行くと、超巨大な木があり、中がくり抜かれている。
その中に入ると厨房と広い食事処があった。
夢でみたような、本当に楽しそうな空間。
ここにメルザ達を呼べたなら、俺はどれほど嬉しいのだろうか。
そしてメルザの事を、とても強く思い出してしまい――――。
俺は膝から崩れ落ちた。
会いたい、会って安心させたい。
会って頭を撫でてやりたい。
あいつはきっと今泣いている。
俺のせいで。
考えないようにしていたのに。
早く会えると思っていたのに。
領域に来て一人きりになりようやく、俺は内に溜めていたもの全てをぶちまけるように
泣き叫んだ。
何も見ることができない。
リルの説明によれば、場所はファルス皇国妖兵エリア東南端だからわかりやすいとの事。
急激な疲労感で倒れた俺は、そのまま意識を失っていた。
「着いたよ。ここが泉前さ。ここからは君が領域を開いた上で
僕らに入っていい許可を出さないと辿り着けないから。
ちなみに領域はその人の想像力にもある程度左右される。
区画は決まっているけど中を構築するのは君自信さ。
楽しい場所を用意してね」
「ジオラマアートみたいなものか。それは願ったりだな」
「ジオラマアート? また変な物を想像してとんでもない事を
しようとしていないかい?」
「大丈夫だ。住みやすい場所とこうしたいという場所は用意したい」
「言っておくけど君が実際目にしたものとかじゃないと難しい
と思うよ」
「そりゃそうか。空中に浮かぶ城とかお菓子で出来た家とか
想像しても実際現物を見たこともないしな」
「そういうこと。出来ることと出来ないことはある」
「じゃあ行ってくる。期待して少し待っていてくれ」
そう言うと俺は泉に飛び込んでいった。
俺が思い描いたのは、メルザに会って目を治してもらった時に
見えた夢。
巨大な木に大きな穴が開いていて。
美味しそうな食事ができるスペースと厨房。
そこでよくわからない仲間たちととても楽しそうにしていたその場所。
武器も見えたから鍛冶場や、温泉も欲しい。
沢山の個室と来客用に寝れる部屋。大部屋も欲しい。
畑もあるとカカシが喜ぶな。
パモやココットやここで捕まえたモンスターが放し飼いにできる
牧場みたいのもあればなぁ……これは願い過ぎなのかもしれない。
そう思い描きながら、どれか叶ってくれると嬉しいと
俺は泉から浮上していった。
これ、絶対呆れられるな。
泉を出て真っすぐ北へ道がある。まず右手に牧場らしきもの。
左手に畑が見えてくる。更に道なりに北へいくと、右手に温泉らしきもの。
左手に宿舎みたいな物が見えた。
更に北へ行くと右手と左手に建物がみえる。きっとこれ個室だ。
そこから北へ行くと、超巨大な木があり、中がくり抜かれている。
その中に入ると厨房と広い食事処があった。
夢でみたような、本当に楽しそうな空間。
ここにメルザ達を呼べたなら、俺はどれほど嬉しいのだろうか。
そしてメルザの事を、とても強く思い出してしまい――――。
俺は膝から崩れ落ちた。
会いたい、会って安心させたい。
会って頭を撫でてやりたい。
あいつはきっと今泣いている。
俺のせいで。
考えないようにしていたのに。
早く会えると思っていたのに。
領域に来て一人きりになりようやく、俺は内に溜めていたもの全てをぶちまけるように
泣き叫んだ。
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