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第三章 知令由学園 後編

第二百十九話 ベルディスと一緒

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「おいライラロ。何度も言わせるな! ひっつくんじゃねえ!」
「もーう照れすぎよベルディスったら。ようやく邪魔者無しで二人きりになれたのよ? チューしようよー、ね?」
「黙れ、嚙み殺すぞ」
「あーんもう、熱烈ね! はい、どうぞ」
「ばかやめろ! それ以上口を近づけるんじゃねぇ! あー!」
「よし、今度こそ既成事実成功ね!」
「お前そのために俺が運転するよう仕向けやがったな……」
「あら何の事かしら? おほほほ」
「はぁ。なんでこいつと二人旅になったんだ? ハーヴァルに八つ当たりしてやる、畜生」
「そういえばあのアホ二人は今どこにいるのよ」
「ドラディニア大陸だ。だから行きたくもねぇ知令由学園から一旦出たんだろ。
辛気臭ぇ人間がわらわらいるクソみてぇな場所だぜ相変わらずよぉ」
「ベルディス……もうシーザーに戻るつもりはないのね」
「ねぇよ。だが名前を捨てたわけじゃねぇ。ルインに会った時はそう名乗った。
あいつは他の奴がベルディスって呼んでようがずっとシーザー師匠のままだしな」
「そうね。けどいいじゃない。あなたはシーザーでもあり、ベルディスでもあるんだから。
私は勿論ベルディスの方が好きだけど」
「はんっ、今更どっちでも構いやしねぇよ。俺ぁ俺だ。
小僧の成長を見るのが楽しみになっちまった、ただのウェアウルフだ」
「違うわよ、私のダーリンじゃない」
「まったくライラロ。てめぇは諦めが悪ぃな」
「諦めも何も事実じゃない。ほら」
「ば、ばかやろういつの間に指輪を! くそ、何だこりゃ外れねぇ! 呪われてやがる! てめぇ図りやがったな! 話をしてる隙に!」
「えっへへぇ……特注の新婚指輪よぉー! やったわーー!」
「ライラロてめぇーーー!」

 完全なオシドリ夫婦を決め込むのに成功したライラロ達は、新風斗車でドラディニア大陸へ赴く。
 そしてルクス傭兵団のアジト、ルクセンブルクに到着した。

「おいハーヴァル。随分と探したぜ」
「俺もだ。状況は?」
「芳しくねえな。おめぇの方はどうだ」
「ここに来てるって事を考えれば察しは着くだろ? それより
結婚したのかお前ら」
「えっへへぇ。そうなのよ、ここに来る前にチューされて指輪を……」
「どっちもてめぇがやったんだろ、ライラロ!」
「おいうるっせぇぞてめぇら! ギャーギャー騒ぎやがってよぉ!」
「おうセフィア。わりーけどライラロ引きはがしてくれ」
「ああん? 何でんな事しなきゃならねぇんだ? コラ」
「ふん、アパずれ女が。ベルディスと気安く喋ってんじゃないわよ」
「ああん? ユニカババアが偉そうな口をききやがって」
「おいハーヴァル」
「はぁ……ほらよ。ここで飲ませるのもう五回目だぞ」
「そんらり飲んでらへんて。わらし苦手れすから、あらたも飲みすぎれすしれっ」
「んで、ルシアはどうした。もう探しにいったのか?」
「ああ。依頼は出した。お前さんからある程度情報は聞いてたが、驚きはしなかったぜ。
俺はライデンを疑ってたからな。なるべくセフィアも近づかせなかった」
「そーいやおめぇはそうだったな。俺ぁ裏切られた気持ちでいっぱいだがよ。
早く八つ裂きにさせろ」
「いくらお前さんでも単独でアレに挑むのはやばいだろ。
ジムロの裏には常闇のカイナもいるんだろ? 
下手に動くとトリノポートがやばいってのはわかってるよな?」
「ちっ……だからこうしてここまで来たんだろうが。
それで、イーファのやつを治せる方法はわかったのか?」
「お前さんが寄越した情報より前にルシアを出しちまった。
探すのは戻ってからだな。
あいつの事だ、運よくあたりを引いてやっほーうって叫んでそうだがな」
「今のうちにセフィアをひん剝いてリボンでもつけておけよ」
「それじゃルシアに殺されるわ……」
「ほら、んじゃこれでも渡しなさいよ。新しくスカート買ったの、丈が合わないから
こいつに履かせておいたわよ」
「お、助かるぜライラロ。これなら十分喜びそうだ」
「全く、あいつ全然変わってないのね。どこがいいのかしら、こんなやつ」
「んー? ライラロの弟子の嬢ちゃんもこいつみたいじゃなかったか? 
ルインの坊やはその嬢ちゃんに惚れてるんだろ?」
「確かに似てるけど、全然違うわ。バカ弟子は可愛げがあるのよ。口は悪いし態度もでかいけどね」
「確かにタイプは似てやがるが、セフィアは酒がねぇと可愛げがねぇからな。
俺ぁ嫌いじゃねえが」
「ちょっとベルディス? 私という者がありながら何セフィアが可愛いとか言ってるの? 
私に喧嘩売ってるのね、そうなのね?」
「おいばかやめろ! こんな所で究極幻術使おうとするんじゃねえ! 一面水没するだろうが! 悪かったって!」
「ふん、後でハネムーンの計画を立てるわよ。飲み物でもとってくるわね」

 プンスカしながら歩いて行くライラロ。
 ハーヴァルとベルディスは二人で深いため息を吐いた。
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