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三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて

第二百六十四話 謎の生命体ラブドス族

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「……凄い変なこと言うぞ。真っ黒い細長い棒が歩いてる。変な顔のパーツだけくくりつけたようなやつが」
「ルイン、目わりぃからな。俺様心配だぞ……」
「疲れてるんじゃない? その……私が膝枕するわよ」
「は? あんたが何でするのよ。私の番じゃない」
「それじゃ癒されないっしょ。目は保養するものっしょ」
「賑やか。楽しい。ブレディー、嬉しい」
「女の子っすか? あっし、見に行っていいっすかね?」
「あああ、なんかこっち近づいてくる。平気か? 戦闘態勢とらなくても」
「大丈夫。それ、多分、無害」

 無害ならいいか……って容姿じゃないんだよな。紙にさらさらーっと書いた棒人間に顔だけ適当に
書いたようなやつだぞ。怖いよ。

「ホロロロー」
「戻って来たか、変幻ルーニー」
「ウェィ」
 特別警戒音を鳴らしてはいない。本当に安全のようだ。
 アデリーの方も問題なかったようで、一回転して手を振り、消えていった。

「ボロッフォー!」
「うぉおあっ ちょ、びっくりしたー!」
「ぼ、ボロッフォー?」
「ツイン、今、求婚した。それ、ラブドス族への求婚。
ウォア、チョビック、リーシタ」
『えーーーー!』
「はい? 驚いただけなんだが?」
「ボンボ、ブルッフー……」
「ツイン、振られた。好み、違う」
「……受け入れられても困る」
「そ、そうだぞ! 結婚なんて出来るわけねーじゃねーか!」
「ボルボンボルッフチャゴーゴン?」
「何て言ってるかわからないな。通訳する方法ないのか?」
「ドルドー。いきーし」
「はぁ、ファナちゃんみたいな子が好みなんすけどねぇ」
「さっさといきーし!」
「わかったっすよ! 闇の言葉纏い! 闇影真似言葉!」

 ドルドーが影になり、ラブドス族とやらの影に入った。

「なにっす? 今の影なにっす? 覗きっすか?」
「言葉、わかる。喋り方は、ドルドー。変わる」
「あ、ああ。色々圧倒された。便利なんだなドルドーって。それで……先ほどは
失礼。驚いただけなんだ。求婚したわけじゃない」
「そうだったんすか!? あっしはてっきり……ぽっ」
「うおお、色々おかしくなってきた。一応女性……なんだよな。見分けがつかないけど。
それで、君はここに住んでいるのかい? 俺たち更に下の海底とやらに行くため休憩してたんだ」
「そうっすよ。この先に住んでる町があるっす。こっちで物音がしたから来てみたんすよ。
変な鳥も飛んでたっすから」
「騒がしてしまってすまない。見ての通りただの旅人だ。気にせず村に戻ってくれていい」
「そうはいかないっす! せっかくこんな海底まで面白そうな人たちが来たんすから、町で
もてなしたいっす! ……そういえば会話は通じてるっすけど、あっしの言葉わかるんすか?」
「いや、まったくわからないから、術でどうにかしてるんだ」
「お兄さんたちみたいになれば会話できるっすかね。じゃああっしはそこの小さい女の子で……えいっす!」

 ……黒い棒が突如と変身した。
 黒い棒のままだ。
 そして……顔だけメルザになった……。

「あのー、それは変身じゃなくて似顔絵能力だろうか」
「おお、俺様だ! 顔だけ俺様になったぞ、すげー!」
「すごいけど、すごい変よ、これ」
「ぷっ……あはははっ、おかしい、おなかいたいわ」
「面白いっしょ。ルインにもなれる人いるかな?」
「だはー、追い出されたっす! 顔の形が変わって影が変わったっすよ!」
「ドルドー、いい能力持ってるな。貴重だぞその能力。今度俺の馬にやってみてくれ」
「馬ってなんすか? まだ変なの支配してるっすか?」

 ラブドス族の顔を見てわいわい話していると、目の前のメルザ棒が喋り出した。

「俺様と一緒に町にいこう! 楽しいとこだぞー!」
「おお、声までメルザになるのか!? 分かり辛くなるから少しだけ話し方変えてくれない?」
「俺様と一緒に町にいこうっす! 楽しいとこだぞーっす!」
「語尾にドルドーのスを付けただけか……まぁいいか。
どうだろう、皆行ってみるか? イーファたちが目を覚ますまで次の階層には向かえないだろうし」
「そうだね。僕も少し興味あるな。こんな種族、地上じゃお目にかかれないだろうしね」
「それもそうね。どんな町が出来上がっているのかしら。私も興味あるわね」

 結局ベルローゼさんも菓子があるかもとついていくことになり、全員でラブドス族の町へ向かう事になった。
 海底の一層、結構広いんだな。上空は相変わらず海。上を見上げると少し気持ち悪い気分になる。
 この不思議空間についても色々聞いてみたい。ブレディーと会話を重ねると、どんどん難しい話に
なってしまうが、このゲンドールについて新たな知識が得られるのは非常にありがたい。
 俺の仲間は随分と知識豊富な者が増えた。
 そのうち、俳句大会とか開いたら面白そうだな。

「それじゃ俺様について来てくれっす! ゆっくり行くからっす!」
「ところでルイン。海底にも封印出来るようなモンスターっていると思うかい?」
「いるんじゃないか? それこそ妖魔国にいたら捕まえられないようなレア中のレアなやつが」
「楽しみね! 私たち妖魔は封印してなんぼのもんでしょ!」
「それに頼り切ってるようではまだまだだな、サラよ」
「うへぇ。相変わらずベルローゼは厳しすぎるのよねぇ。女子にはもっと優しくしないとダメよ?」
「ふん……俺には興味の無い事だ。フェルドナージュ様のような方こそ真の女性だ」
「それは否定しないけどね。でもベルローゼだってそろそろいい人の一人位見つけないと」
「それは気になるな。先生の好みの女性タイプか」
「ふっ……貴様らには死んでも教えん」
「ってことはやっぱりあるんだね。好み」
「……下らん話をしてないでさっさと行くぞ」

 凄い気になる引っ張り方をして話さない先生はずるいです。
 今度みんなで予想してみよう! 
 そう考えつつ、メルザ棒についていった。
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